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2012年9月 5日 (水)

ヤニス・クセナキスのオペラ「オレステイア」

ヤニス・クセナキスのオペラ「オレステイア」を聴きに東京・赤坂サントリーホールへ行ってきました。

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サントリーホール名物の滝             開演前

お客の年齢層は団塊世代より上。男女比は5:5。
30~40代おひとり様男性が目についた。夏休み最後の平日だったためかちびっこ連れもちらほらいた。
ちなみにこの公演の一番お求めやすい席(すみっこ)は2000円。最低料がストリップ劇場と一緒だ。
最も高級なお席でも8000円なのでリーズナブルかとおもいます。
某テノール歌手の来日オペラなんて数万円で、都内の1か月の駐車場代くらい払えるな~とおもったものだ(値段見ただけ)。

そう、作者ははじめてオペラを生で観た。いや、聴いた。
ギリシャ悲劇なら(『オレステイア』は紀元前458年生まれの2470歳。生みの親はアイスキュロス)好きだし、なんとなくストーリー知っているから初舞台(観客として)にいいだろうと判断したが果たして……。神々と人間の隔てがない、という点では日本のイザナギイザナミ神話にも通じる構成と言えるかもしれない。ただ、それは原作の話でオペラを作曲したヤニス・クセナキスは1922~2001年のジューシーな現代音楽家だった。というか、コルビュジェ父さんの弟子って! 残念ながらよくわかってなかった。
そして、正直もっと古典古典しているのかと思いきや、ラ・フラ・デルス・バウスの演出もあって(舞台演出家集団のお名前)完全に現代アートだった。

『オレステイア』3部作
アガメムノーン
供養する女たち
慈しみの女神たち

指揮;山田和樹
演出:ラ・フラ・デルス・バウス
バリトン:松平敬
打楽器:池上英樹
合唱:東京混声合唱団
児童合唱:東京少年少女合唱隊
演奏:東京シンフォニエッタ

全編ギリシア語・日本語字幕付き

そっと現れた指揮者がサイリュームを掲げ、「え? いまの失敗じゃないの?」とおもうほどの不協和音が鳴り始めた時点で、おそらく演者の勝ちだった。
舞台は勝ち負けじゃないし、演者が勝ったからと言っていい舞台とは限らないし、むしろ勝っちゃいけないような気がしないでもないけれど、
とにかく、指揮者たち(何人もいる)と演者たちの勝ちだった。観客負けた~。

プラネタリウムっぽい演出さえも、太古の夜空のロマン! というよりは歓楽街のネオン! みたいな偏った人工的な生々しさみたいなものを感じた。神話モチーフなのに、アンチ神秘。たまたま作者好みだが、オペラのイメージとはぜんぜんちがった(というか、こんなに右も左もわからないのによく観に行ったなーと今にしておもう)。

はじめ昆劇(中国)かHUUTAJAT(フィンランド)か能(日本)みたいな雰囲気で
途中、劇団四季から『欽ちゃんの仮装大賞』かオバケ屋敷みたいになって、流星雨っぽい視覚エフェクトが登場して、J.S.バッハ「マルコ受難曲」っぽさから「荒城の月」みたいになった。ホールの天井まで長く伸びた影は、バリ島の影絵芝居「ラーマーヤナ」を思い出したし(見たことないけど)、お囃子みたいな音もして、最後は移動遊園地みたいだったし。風船がほしかったな。
ぜんぜんちがうけど、だいたいそんな感じ。グローバル。

クライマックスに近付くにつれ不協和音、というか不穏な音が最高潮に!

おれ今、一生分の不協和音の演奏を聴いているなー、と一瞬おもったけど
いや、ルー・リードとか、エレキギターを引きずり回していたのはソニック・ユースじゃなかったっけ、ああ、マシュー・ハーバートもメルツバウも居るな、と思い直す。
それはさておき
こんな不協和音を大音量で! なんて聴く側じゃなくて鳴らしている側のがおもしろいだろうなー、とおもっていたら客席が参加していた(※ネタバレ注意。いまさら)。前列の一画に楽器? をあらかじめ渡してあったのか今渡したのかしらんが、鳴らしている。
やっぱり! こんな不穏な音はぜったい鳴らす方がおもしろいよな! いいな!

最終的に、とんでもない騒音と混乱でしかない歓喜の叫び。

思い出したのは、ダンテの神曲に書かれた「歌とは嘆きながら祝福すること」という注釈。
それに、詩や哲学の面で古代ギリシアの影響下にあった古代ローマの風習に、ローマにおける凱旋パレードのあいだじゅう、主役である凱旋将軍の耳元で「死すべき人間であることを忘れるな」とささやき続けたという奴隷の存在。

限界まで歓喜の叫びが極まったら、そのとき静寂がおとずれるんじゃなかろうか。
もっと殺されるほどの大音量で「静寂を聴く」というおもしろいことが出来るかも! と思ったけど、たぶん客席が卒倒しちゃうから無理ね、と考え直した。

ところで縁遠いクラシック界に片足をつっこむたびに感じるのは、いくらなんでもお客の拍手ながくない? 自由だけど。慣習なのかな。

堪能した~。

うっかり金曜日の夜だったためちかくの国会議事堂をぐるっと囲むように反原発デモをやっていました。
とんでもない数のデモの人、それを撮る腕章を付けた報道陣、とんでもない数の警官……に、なんの心の準備もなく遭遇したときの驚き。そうか今日って金曜だった(そこ)。ふだんは人も猫もあんまり歩いていない永田町の歩道が大人気! (ランナーと車は通るけど)ビビる。そうか、ふだん人通り少ないから大規模にデモしやすいのか、とひとり納得。それでも普段利用している人はひ~え~! ってなっているだろうな。
国会議事堂前駅の出口は一箇所をのぞき封鎖。そして曲がり角にくるたびに『デモに参加される方ですかー?』と警官に声かけされる。
ちがう! おれはただの通行人なんだ! 用事があるのは駅なんだ! 通してくれろ~!
溜池交差点(六本木通りと外堀通りのぶつかるところ)まで厳重警戒していてなんだかすごいことに! と思ったらココ↑総理大臣官邸の裏手だった。敷地がひろすぎて全然気付いてなかったよ。
関係ないけど、いい月だった。
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サントリーホールはもっと六本木一丁目駅寄りです

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