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2013年7月10日 (水)

太田記念美術館『江戸の美男子』

渋谷区神宮前にある太田記念美術館へ『江戸の美男子―若衆・二枚目・伊達男―』展を観に行ってきました。

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明治神宮の表参道(駅名じゃなくてケヤキ通りの方)から一本内側はいったところ

2
土足厳禁でスリッパのロッカーが入口にある

こじんまりした2階建て。畳敷きの一間がある。中央に石庭と床几。全体に落ち着いた雰囲気。
男女比 3:7 外見と会話による偏見によれば外国人観光客比率 10%
年齢層 10~70代まで幅広
おなじみの「作品保存のため照明を暗くしている」という但し書きがあったが、そんなに暗くない。しかも150~300年前の和紙とはおもえないほど保存状態が良好だった! (さすがに彩色した当初はもっと色鮮やかだったとおもうけど)江戸時代の和紙・印刷技術おそるべし。所有者の愛おそるべし。

ひとつの作品あたり常に1~2人程度が鑑賞している適度な混み具合。作品情報のほか、100~200文字程度の解説が付いている。親切。

『江戸の美男子―若衆・二枚目・伊達男―』なので若衆(文字通り若者か男娼てき色白美少年)、役者絵(当時の人気歌舞伎役者)、ファンタジー(古典文学や講談・歌舞伎・浄瑠璃の人気キャラ)、町奴ゾーン(市井の有名人)、みたいな感じでざっくり分かれている(そんなカテゴライズではないけど)。
江戸美男子における各ジャンルを網羅しているため、江戸時代の彩色・彫摺技術も網羅している。
江戸前期から中期には絹本および紙本著色(肉筆画。手彩色)の掛け軸や画帖や版本。
そのあと墨摺絵・紅絵・漆絵(筆彩色の一枚絵)、紅摺絵(2~3色の色摺木版画)を経て、錦絵(7~8色以上をもちいた完全多色摺木版画)、しかも大判の二枚続や三枚続や五枚続など、どんどん顔のアップに(=大首絵)、そして派手派手になっていくのも見どころかもしれない(幕末にも肉筆画は描かれたし、江戸前期から続絵もあったけど。まあ、だいたい)。とにかくたのしい。

カテゴリー①若衆のみどころ
『美人観菊図』西川祐信 氏家浮世絵コレクション 18世紀前半
『若衆文案図』葛飾北斎 氏家浮世絵コレクション 1840年
しなやかにもほどがある若衆の仕草がみどころ

カテゴリー③伊達男のみどころ
『三代目岩井粂三郎の揚巻&初代河原崎権十郎の助六』歌川国貞 1862年
文久2年(1862)3月の市村座二番目大切「助六所縁江戸桜」に取材、とある。
なんと! 岡本綺堂の短編小説『権十郎の芝居』の事件は「文久二年の市村座の五月狂言は菖蒲合仇討講談で……それに売出しの芝翫、権十郎、羽左衛門というような若手……」とあったぞ。(作品はフィクションです)
つまり、芝居小屋の客席で「権ちゃんは男前」だの「いや山崎屋は大根役者だ」云々と言い争っていたころの河原崎権十郎(=9代目市川團十郎)か! おなつかしい! (現実と色々ごっちゃになっております)

巷談コレクション収録の短編

個人的なみどころ:歌川国芳の描くお衣裳の柄は現代モード界なんて目じゃない描き込みよう。たのしい。

江戸時代の浮世絵版画界は菱川師宣(『ガレ工房』や『藤子不二雄』名義どうよう複数人による共同製作)にはじまり、中期の鈴木春信、後期は喜多川歌麿、歌川国芳、そして幕末・明治期の豊原国周におわります。

ところで、相撲絵がなかったけど……美男子カテゴリーには入らないのだろうか。うむ。理想の男性像としては人気……美意識……。とりあえず入れてほしかった。
あと、役者絵の役者の似顔絵をリアルに描きすぎて10か月で浮世絵画壇を去った東洲斎写楽の作品も並べてほしかった。(似顔絵、とくに役者絵は美化するのがデフォルトだったそうな)当時の庶民に人気のあった歌川豊国の横に、当時の庶民にまったく人気のなかった写楽との比較で江戸庶民の理想像を考察……むりか。

3
神宮前交差点あたりの表参道は満員電車レベル(ファッションスナップ撮影隊が跋扈)

4
通りを一本入るとだれも歩いていない住宅群(作者がひとりで跋扈)

「東京はどこへ行っても混雑」なわきゃない。

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