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2013年9月12日 (木)

山海塾『降りくるもののなかで―とばり』

神奈川県・相模原市南区にある相模女子大学グリーンホール(ネーミングライツ。旧・グリーンホール相模大野)へ舞踏カンパニー・山海塾の『降りくるもののなかで―とばり』を観に行ってきました。
小田急線相模大野駅からの正式な(?)道順は、伊勢丹相模原店の正面玄関を突っ切るルートです。

Img_0732
当日券あり

お客層 男女比 4:6 大学生~60代くらい
若い舞踏ファンばっかりかと思いきや、おひとり様っぽいおいちゃんがけっこういらした。
この日はゲストに元ぴあ編集者でプロデューサーの坪池栄子女史を招いてのアフタトークがありました。主催の天児牛大(あまがつうしお)さんが化粧(白塗り)を落としている間に客席の属性アンケート(挙手するだけ)が実施されたわけですが、山海塾を【初見】【2回目】【3回以上】観ている、という選択肢のなかで【3回以上】が半分くらい? (アフタートークは自由参加なので本編終了時に退席された方々もいるため分母は正確ではない) という結果になった。
つまり、舞踏ファンorコアな山海塾ファンがみみっしり!

プログラム
Ⅰ 虚空から
Ⅱ 夢の中の闇
Ⅲ 写しあうものたち
Ⅳ 闇の中の夢
Ⅴ 夜の青
Ⅵ 降りくるもののなかで
Ⅶ 虚空へ

「“とばり”とは
室内に垂れさげて
室内を隔てるのに用いる布のことである
が、古来“夜のとばりにつつまれる”
など、昼から夜への変化に用いられた言葉である 天児牛大」

ホールに一歩入って「お」と思ったのは緞帳が開いていること。ぽっかり開いたステージ、スピーカーからさらさらと流れる音楽、ゆるゆると席に座るお客。すでに浮世からいくぶん浮いた空間になっている! (※公演開始前の演出についてもアフタートークで天児さんからお話があった)
開演前に緞帳が開いているというのは、登場と同時に客席に乱入してお客さんとハイタッチしちゃうTOMOVSKYとおなじくらい覚悟のいる(?)、でもお客にとっては嬉しいことである。きっと。

実はおれは緊張していた。もう10年前か何年前なのか、どの作品だったのかさえ、資料をひっくり返さないと思い出せないのだが、山海塾を観たのだ。おれは舞踏ファンではない(というより、おれはなんでも観るが何のファンでもない、残念ながら。もっと言えば存在自体がなんでもない)。
なぜか作品は思い出せないけど、ピリッとした空気感だけ憶えている。それに対する客席の抵抗反応の咳払いの多さも(「客席では公演が始まると、咳がたくさん出るのが普通です。僕はこれを防御反応だと思っています」ジェローム・ベル⇒KAAT『M!M』)。

そういうわけで、おれはただ客席に座るだけのくせに「前日はしっかり睡眠とっとかなきゃ~」なんて考え、よく寝てよく食べてよく身体をほぐしてから出陣した。客の分際で気合い入れ過ぎである。

まっくらな中、白い舞踏手たちに柔らかなライトが当たってその身体のラインをぼんやり浮かび上がらせる。砂がフッと舞い上がり光の筋がはっきり見える。
車のヘッドライトに照らされた夜の霧雨みたいだ。
あ~、ほんとにきれいだな~、と見とれていたので、きっと口は開きっぱなしだった(※アフタートークで天児さんは「失礼な意味じゃなく、客席は闇で、闇の中に目と耳があって……客席を意識したことは一度もありません」とお話された。ほ。それはよかった)。

舞台奥の天空幕とも呼べそうな暗幕に少しずつ光が入り(穴から光を漏らすプラネタリウム方式)、星空が完成した。舞台床中央に置かれた楕円形のラグにもLEDライトの青白い光が灯る(※アフタートークで天児さんは「南米なんかの劇場に行くと、舞台後ろの暗幕が古くなってポツポツ穴が開いていることがある……公演だと埋めるのだけど……それが星みたいに見える。実際に使うまで慎重に15年くらい温めていたアイデアだ」という旨のことを話され、客席は愉快そうに笑った。「どちらの舞台装置も蝉丸が中心となって舞踏手たちが手ずから作っている。幕は8月の北の星空を再現するためにそれぞれ大きさの異なる穴を6600個正確な配置で開けている。床のLEDは4000個」←値がうろおぼえですが。それを聞いた客席は、うへー、と引いた)。

人間は奥行きを感じたいために夜空やプラネタリウムをわざわざ見るのだと、だれかが言っていた。

奥行き全開の星空の前で、白い人たちが静かにふわふわ(と言っても、高度な身体能力に由来する安定感あってこそのフワフワ)踊っている様は、おれはもともとこれが、この光景こそが見たかったのだ。という気さえしてくるくらい
きれいで、心底きれいで、うれしくて、うれしくて、

寝た。

……なぜだ。ちゃんときっちりばっちり寝ておいたのに~、せっかく天児さん舞われているのに~、びっくりした~。本気で眠ってしまったので、一瞬だったのか何十分も落ちていたのかいまだに不明だ。一生分寝ていたかもしれない。目覚めた時にまだ天児さんが舞台上に居てホッとしたけど。は~、空調がちょうどよいのもいいことばかりじゃないのか。願はくば、おれが鼾などかいて臨席の皆様にご迷惑などかけていませんように。なむなむ。
(※アフタートークで坪池栄子女史はどうしても泣いてしまう、と話された。すいません、あなたが泣いているころおれはグッスリ寝ていました、と思った)

アフタートークにて客席からの質問;舞踏手どうしで異なる動きのスピードを絡めて進んでいく場面がありますが、動きの速度についてはどう捉えていますか? ←そんな主旨だったとおもう

天児さんの答え;ゆっくりとした動きもスローモーションではありません。たとえば、こめかみから数十cmの点に意識があるのと、数十m、数百m先に意識があるのとの違いです。速さではなく距離。←そんな主旨だったようにおもう

……ワーニング! ここに時空を操っている方がいますよ!!

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新作『うむすな』ポスターを確保。壁に掲げると部屋が宇宙の底とつながりました。

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