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2014年8月21日 (木)

映画『365日のシンプルライフ』@オーディトリウム渋谷

映画『365日のシンプルライフ』を観に、東京・渋谷の映画館オーディトリウムへ行ってきました。

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オーディトリウム外観

この建物内に上から4Fシネマヴェーラ、3Fユーロスペース1・2、2Fオーディトリウム、1F&B1F映画美学校、1F入口にカフェ・テオ、という映画一色な空間(建物名キノハウス=映画の家)。上映、宣伝、配給、製作、メシ! という映画自給自足ホーム(?)である。

で、矢印のところ、階段にひとがいますが、これはユーロスペース名物“公開初日の行列”です。今回はオーディトリウムなので2Fの当日整理券(当日上映ぜんぶの回を朝11時から受付)の対面販売カウンター⇒階段⇒建物を蛇腹状に往復。スタッフさんは有能なのでとくにストレスなく行列できます(130席くらい)。ここだけは映画不況と無縁? それとも初日に客集中する傾向にあるってこと? いや、消費増税したしガソリン高いし映画不況関係なくないよね? 都内ミニシアター最後の牙城(危惧!)におかれましてはぜひとも踏ん張っていただきたい(おれは無責任なライトユーザーだけど。ここは会員の方がちょうおおい)。

この日の見た感じお客層 男女比4:6 年齢層 平均すると20代~30代くらい?
満席のお客さんが落ち着くまで待って予告編なしで本編から上映。ごちゃ~。けっこう男女ペアで観に来ているっぽいお客さんがおおいのを見るたびに、映画はいまでも娯楽(勉強じゃなくて)なのにな~、とおもう。

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※ネタばれちゅうい

『365日のシンプルライフ』2013年 80分 フィンランド語・日本語字幕付き
ちなみに原題『TAVARATAIVAS』はTAVARA=モノ、TAIVAS=空・天国、なので『モノ天国』だろうか。それとも日本語の“空”どうよう“空っぽ”というニュアンスはあるんだろうか、うーむ。なさそう?
フィンランドの首都・ヘルシンキ在住のペトリ・ルーッカイネン(監督・主演。1984年生まれ)がじぶんの生活を見直すために(当時の彼女にフラれた!)40㎡の自宅(集合住宅)にあふれていたモノをすべて(下着も!)レンタルスペースに預けて、必要なモノを①1日1コまで②365日間③なにも買わない、という厳格なルールの下で生活するという、バカな実験の記録映画である。裸&裸足で夜のヘルシンキ=雪道を全力疾走するところから実験がはじまるし(冬のヘルシンキは-40℃まで下がることもある。なんで冬にはじめちゃったんだ? と一瞬おもったけど夏短いし、季節がいつでも外は東京より寒いか。でも建物はセントラルヒーティングだから凍死しない)。
ちなみに“バカな”と発言しているのは作者ではなく、映画に登場するペトリの身内&友人たちである。
「どうしたんだ?」「どうしてこんなバカなことを……」「バカみたい」「実験のほうが大事なんだろ?」「退屈じゃないの?」
カメラにもピンマイクにも慣れていない、ほんきのペトリ身内&友人たちはすこしハニかんだり、言いにくそうにしたりしつつ、でも結局は“バカみたい”とペトリに告げる(そう言いつつ、ちゃんと家具や家電の運搬を手伝ってくれるんだけども)。ペトリにとっては大事なことで一生懸命だったんだけど“バカみたい”という表現は適切だし、ペトリ本人も「完全にバカバカしく思ったときがあった」と語っている。そりゃそうだろ。否定しなかったのは、ペトリの大好きなおばあちゃんだけである。
「そう、それはいいことね。なにが本当に必要かは自分で決めないとね」
!!! おばあちゃん! なんて、やさしい! しかも、おばあちゃんは土に水がしみ込むようにゆっくりフワッと微笑む。きゃ~♡ もっとおばあちゃんを出演させるべきだ! そして今現在おばあちゃんはお元気なのだろうか。

ちなみに本国フィンランドでの公開後は、おなじ実験をするひとが出現し、Facebookで1日1コモノを選ぶという簡易実験も流行(?)したらしい。そのせいか日本での映画宣伝の仕方にプロパガンダ感が強いんだけど、べつにペトリ自身はこの実験をだれかにすすめたりシンプルライフを提唱したりしていない(個人的に幸せについて考えたかった動機だし、バカバカしい、って言っちゃってるし)。ちょっと、ビールメーカーが「ビールは健康にいい!」とか血迷っているのに似ているかもしれない。「この映画観ると人生が豊かになれますよ!」みたいな。なれないだろ。それに映画観てカンタンに生活様式変えちゃうようなライフスタイルはシンプルライフとは呼べないでしょ。いや、なにかを感じたりやったり考えたりするのみんな自由だけど。
たぶん作者がじっさいに実験30日目あたりに近い生活(実験じゃなくて)していたせいか、うっとうしいと感じちゃう(啓蒙されてもなー)。ちょっと前まで全財産が25×30×35cmの箱×6個、+洗濯機&マットレス&傘1本だけだった(いまはもっとおおい)。家具テレビPC冷蔵庫電子レンジなしで生活できるから、シンプル啓蒙いらねっす(エアコンは備え付け)。おれは、空っぽなのが好きなんだ!
この生活の問題点は①「いつも小汚い恰好をしている」と他人に不評(それは今も)、②自宅訪問者から「殺風景で不便」と不評(べつに問題ない)、③知人にクローゼットを占領された! ③が大問題でクローゼットが丸々空っぽであることに気付いた知人が突然、じぶんの不用品をクローゼット1個分運び込んできた(おれの全財産よりも大量)。量的にも期間的にもちょっとどころでなく、新手の不法投棄。もしも日本でペトリの実験(それとも生活?)をやるつもりのひとがいるなら、クローゼットが空っぽであることはナイショにしておくことを強くオススメします!

なので、“シンプルライフ啓蒙”っていう位置づけを外しての、この映画のみどころは 
①ペトリは預けたモノのなかから何を、どういう順番で選ぶのか?
②ヘルシンキ在住の若者♂の日常風景(友人とどういう会話をするのかファッションとか家の作りとか移動手段とか意外にもトラムの床がゴミだらけだ! とか、男女平等の国って言われているけどそれでも女性はじゃがいもの茹で方が上手くないと云々とか言うんだなー、とか含む)
③新しい彼女はできるのか? (フラれて始めた実験だから)
④おばあちゃん!
以上の4点である。

なにより、ペトリのヘッポコぶりがチャーミングである。

そういえば、フィンランドで使われている教科書を邦訳した『世界の教科書シリーズ33 世界史のなかのフィンランドの歴史』という本を読んでから、あまりの難しさに(フィンランド第7学年~第8学年=日本の中学1年~2年生に相当する歴史教科書。ちゃんと考えないと答えられない設問しかない。おれフィンランドで中学生に進級できないと確信した)フィンランドのちびっこや若者はしっかりしているんだろーなーとおもっていたんだけど……そうでもねぇな! (誉め言葉)。


日本に関する記述がちょっと間違っているとことか読みどころです

あと、デートの定番がキノコ採りなところとか、べつにわざわざ啓蒙しなくてもフィンランドらしさ(?)みたいなのが自然に感じとれるのが(せっかく!)いいとおもうんだけどなー。

フィンランドにある【夏のかぞえ歌】をおもい出した。

ヒバリを見たら夏まで1か月
ズアオトリから半月待って
ハクセキレイならもう少し
ツバメを見たら夏が来た


マリア・ヴオリオ『リスとツバメ』訳者あとがき“花鳥を愛する人びと”より

ディレクターが本職(長編映画デビュー作なので)のペトリによる映像のよさ、ティモ・ラッシーによる音楽のかっこうよさに対して、ペトリ本人のへなちょこっぷりが際立ってアンバランス(誉め言葉)。
ちなみにフィンランド映画界には日本におけるポスト・宮崎駿問題どうよう、ポスト・アキカウリスマキ問題みたいな危機意識があるらしい(映画教育が盛んだそうです)。そんななかで、ペトリは“久々の大型新人”という触れ込みなのですが……こんな、へなちょこ男にフィンランド映画の未来を託して大丈夫なのか!? …………いや、おもしろいから、いっか☆

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プログラムの裏表紙はエンドロール“取り出したモノ一覧”の英語訳

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コメント

はじめましてで大変恐縮ですが、どうか教えてください。
365日目に取り出した物ってなんでしたか?
本編で出ませんでしたよね。エンドロールも最初しか日本語訳が出ず
最後くらい出るだろうと待っていたのに、結局出なくて
目を凝らしてフィンランド語の単語見たけど、??
プログラム販売していたんですね。都合で急いでいたので失敗です。
upしていただいた画像の英語訳も拡大して目を凝らしましたが読めません・・・
気になって眠れないのでよろしくお願いいたします!

映画は、目からウロコ!を期待していたのですが
私に哲学的なものを残したような、モンモンとした感じでした。笑
女性が本当に真似するのは無理ですけど、観て良かったと思います。

“DAY 365 A JAR OF SWEETS”
おばあちゃんのアレのことではないでしょうか。
ちなみにプログラム裏だけでなく、厚紙のフライヤーにもコレはさり気なく記載されています。
フィンランド語エンドロールの日本語訳はぜんぶ字幕だしてくれたほうが、映画としての完成度は高かったんじゃないかなー、と正直おもったので、全アイテム日本語訳をかってにココで掲載しようか迷いました。公開ちゅうだから遠慮しました。

ソファミレミファレ様

あっ、そういうことですか!ご親切にありがとうございます!
確かに、ネット上でお聞きするのはどうかなとも思ったのですが、なるほど・・・
日本語訳されていたのは10コ?でしたっけ。
本当に必要なものを示す意味で絞ったのでしょうかね。
けれどもう少し教えてほしかったな・・・英語でもないし、厳しかった・・・
私は365日目だけは字幕が再び出るのかと思い、今か今かと待っていたのですが
途中で退出する人が何人もいて驚きました。
観るのが二度目だったのか、その後は意味がないと思ったのか?
私は普段からエンドロールは最後まで必ず観る派なのですが
そうでなくても、この場合は最後までいようよ~!と言いたくなりました。

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