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2014年9月22日 (月)

SPAC「マハーバーラタ」@KAAT

宮城聰・演出のお芝居『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』を観に、神奈川県・横浜港にある神奈川芸術劇場(=KAAT)へ行ってきました。

誤解を生む言い方をすると、いい~三文芝居でした~☆

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ふだんよりちょっと派手なKAAT外観

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11月まで現代美術作家・曽谷朝絵さんによるパブリックビューイングでガラス面が艶やか

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入口の吹き抜けとマハーバーラタ・ディスプレイ

お客層 男女比3:7 年齢層 女性は若そうな(アンダー25歳)ひとからいるんだけど(見た目)、男性は40代以上のみ(見た目)といったかんじだろうか。若い男性(アンダー25歳)ってあんま劇場で見かけない気がする。それとも作者の目におじさんっぽく映っているだけ? いや、ちがうだろ。席は98%くらいの稼働率で若干当日券も出たらしい。

そう、席! 全席指定なんだけど、なにしろ円形(サークル状)の舞台の真ん中に座席が並んでいる設計なので、……どこが観やすいんだ??? という賭けごとだった。
サークル城壁に囲まれた客席、正面1.5mほどの高さに囃子方=パーカッションエリア(パッと見ても20種類以上の打楽器が並べられていたけど作者が名前わかるのはスティールパンだけでした~)、3mくらい高さの足場の上(サークル状)が舞台、という劇場および役者泣かせ(?)な構成だ(登退場のたびに階段かハシゴ昇降)。まず入り口がおかしい。ホールの入口を通ってすぐ文化祭の裏側かなーという暗い道を通らされて座席に着くと、普段ならじぶんが座るべき3Fまでの客席の赤い椅子(もちろん無人)が目の前にそそり立っているわけである。通常、舞台上に値する場所に完全に入り込んでしまって、しかも客席側を向いている、という、なんかもうワクワクする状況である。

7月の仏・アヴィニヨン演劇祭では1000席収容のブルボン石切り場(もちろん屋外)で好評だったそうなので(フランス語字幕付き)、それよりはスケールダウン(KAATの特設舞台で500人収容くらい? もっと少ないかも。もちろん屋内)。
ちなみにアヴィニヨンはフランスの軽井沢みたいなところです。パリからTGV(仏・新幹線)で約3時間くらいの南仏(海には面していない)の避暑地。ローヌ川ぞいに中世・アヴィニヨン捕囚時代のローマ教皇庁の宮殿が残っていて(向こう岸まで渡れないサンベネゼ橋とともに世界遺産)、観光地でありセレブも住んでいる街(たしか)。冬には山からミストラルが吹き下ろす(寒冷強風!)ところ。いいな~、アヴィニヨン。おれも、行きたかった。

『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』 ごくまれにフランス語混じりの日本語 110分
演出 宮城聰(SPAC芸術総監督)
台本 久保田梓美
音楽 棚川寛子
空間構成 木津潤平

語り 阿部一徳
ダマヤンティ 美加理
ナラ王 大高浩一
ほか総勢20名くらい(? もっといた気がするんだが1人2役以上あり)
パーカッション 10名(少なくとも3名は1人2役以上で舞台上にも出演あり)
スタッフたくさん
SPAC(静岡県舞台芸術センター)制作

まず、アップヘアに白いアオザイ(ベトナム女性の民族衣装・ほんとはクワンアオ)風の衣裳を着て、白足袋を履いたパーカッショニスト(?)8名が登場。客席に尻を向けて軽快に演奏をはじめる……なんで、後ろ向きだったのか。オーケストラピットなら指揮者だけが客席に背を向けて奏者は客席を向いているもんだよね? リズムだから? スペースの都合?
真後ろからの強い光線で舞台(高さ3m以上)上を歩く登場人物(神話だから悪魔とか帝釈天とかヒトじゃないのもいるけど)の影がほんらいの劇場客席いっぱいに縦に伸びる。ああ、廻り灯籠だ。(廻り灯篭のイメージはコチラ
廻り灯籠の内側にみんな入ってしまったので、登場人物は“アクマ”を除き、真っ白い。なんか白粉(ベビーパウダー? それともホコリ? コーンスターチ?)の匂いもする。

ちなみにマハーバーラタはインドの超長編民族叙事詩で、日本でいうイザナギイザナミ神話みたいなかんじ(たぶん)。作者は長すぎてストーリーが追えず……未読了。

未読でも今回のお芝居においては問題ナシ

なにしろ背景がすっぽり抜け落ちているので小道具がおおい。衣装も大仰でダマヤンティ姫や帝釈天たちは十二単みたいな(衣擦れの音からすると絹じゃなくて綿か麻か化学繊維生地?)かなりボリュームのある装束を身にまとっている。白いお雛様でてきたなーとおもった。
下手に語り部と“スピーカー”と呼ばれるひとたちが腰掛け、上手では“ムーバ―”役の神様たちが合わせて舞う(あれは舞か、まあいいや)。
フランスでは“能・歌舞伎・幻想的な亡霊”って評価された(配布されたチラシによれば。ざっくり)そうですが、お人形=文楽と白足袋パントマイム=狂言、に見えるんだよなー。べつに能×狂言×人形浄瑠璃×歌舞伎×あの世、はクロスしているからどれでもいいっちゃいいか。
写真を見たかんじで壮麗で幻想的な舞踊中心の公演をかってに予想していたんだけど……びっくりした。ちょう小芝居、三文芝居、狂言だった(楽しんだうえの誉め言葉)。
白いお雛様みたいに登場したからダマヤンティ姫(主人公はナラ王だけど、姫が大活躍する物語)はそのままいくのかとおもいきや、ガンガン跳んだり走ったり人を殺したり登ったり、動き激しい。どんどんダマヤンティを好きになっていくから不思議。春夏秋冬は紙をグルグルして表現されるし、砂漠をゆくキャラバン一行は指人形だし、ゾウ(動物)は実物大くらいの鼻だけだし、パーカッショニストたちが蝶ネクタイをごそごそ身につけてから“ダマヤンtea”キャンペーンをくりひろげるし。そうだ、『演奏タイム』(←これも紙で告知された)がはさまれたんだけどパーカッショニストが全員でしりをプリプリしながら演奏するっていう、ああ、このために後ろ向きで演奏していたのかー(ちがう)。
古代の祝祭劇ってこれのことだな、とおもった。でもわざと(たぶん)あちこちチープな作りにしているらしく、現代の文化祭のようなハシャギっぷりが好感度たかい、のか、それともアザトイと感じるのかは観客によるかも。

カーテンコール(緞帳ないけど)の4回目くらい(お客さんたちは御世辞でなく気に入っているようすで拍手を続けていた)で、出演者スタッフ一同お辞儀をしながら
「あの、もう、てきとうに帰って頂いて……」って促すし、KAATのお客さんも、じゃ、帰ろう☆ って席を立ちはじめるし。すなお。この距離感は文化祭のほうだね。

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横浜公園(ハマスタがある公園)が黒いTシャツを着た若い女の子でいっぱいだったので「ベイスターズ人気あるな~☆」とおもっていたら、ワンオクロックだった……ちがうのか。

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