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2014年9月13日 (土)

新作文楽『不破留寿之太夫』@国立劇場

東京・半蔵門にある国立劇場へ新作文楽『不破留寿之太夫』(ふぁるすのたいふ)を観に行ってきました。

ウィリアム・シェイクスピア(1564‐1616年? イングランドの劇作家)による芝居『ヘンリー4世』『ウィンザーの陽気な女房たち』に登場する騎士“サー・ジョン・フォールスタッフ=ふぁるすのたいふ”を主人公にした新作文楽です。文楽は300年も以前に近松門左衛門(近松の門ちゃん!)が作った床本ばっかり演っているわけじゃな……シェイクスピアは軽く400年前の人物か……あれ?
ちなみに原作のフォールスタッフは、金に汚く詐欺盗みを働き、でっぷり太鼓腹の酔いどれヘタレの女好きで恥知らずのコンコンチキ老騎士です。せっかくなのでもう一度いおう、コンコンチキ野郎☆


いや~、お人形がちょうオシャレでした~。せっかくなのでもう一度いおう。ちょうオシャレ☆
そして監修の鶴澤清治さん(←1945年生まれ・人間国宝の三味線さん)はロマンチストだ。そして、ふぁるすのコンコンチキを愛しすぎている。

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夜の国立劇場

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3部構成のうえ第3部が19時はじまりなのは「芸人はうまいもへたもなかりけり。行く先々の水にあわねば~」by噺家、の現代の水に合わせた結果? 別にちがうかも。

第1部 11:00~15:30幕間あり 『双蝶々曲輪日記』ふたつちょうちょうくるわにっき
第2部 16:00~18:30幕間あり 『近江源氏先陣館』『日高川入相花王』
第3部 19:00~20:20幕間なし 新作『不破留寿之太夫』ふぁるすのたいふ

作者は第3部のみ鑑賞です。

お客層 男女比4:6 年齢層 平均しちゃうと40歳くらい
! お若いひとたちがいる! (アンダー30歳くらい。おひとりさま・集団さま問わず) 演目と曜日にもよるけどふだんはジジ&ババが大勢である。それにちびっこ連れのファミリーがいる……! なんで……? シェイクスピアだから? それともコンパクト上演(80分)だから? 国立劇場は3部構成にした甲斐があったな! (←気軽さはだいじ) 席の埋まり具合は7~8割というところだったので当日券でもよかった。

※ネタばれちゅうい

新作文楽『不破留寿之太夫』ふぁるすのたいふ 80分・幕間・字幕なし。
監修・作曲 鶴澤清治
脚本 河合祥一郎
装置・美術 石井みつる
所作指導 尾上菊之丞
作調 藤舎呂英

大夫さん 豊竹英大夫 豊竹呂勢大夫 豊竹咲甫大夫 豊竹靖大夫
三味線さん 鶴澤清治 鶴澤藤蔵 鶴澤清志郎 豊澤龍爾(←イケメンと評判) 鶴澤清公
人形遣いさん
ふぁるす 桐竹勘十郎
春若(ハル) 吉田和生
居酒屋お早 吉田蓑二郎
蕎麦屋お花 吉田一輔
旅人 桐竹紋臣
居酒屋亭主 吉田勘市
蕎麦屋亭主 吉田玉佳

文楽廻し(今回はまわらない)に腰かけた大夫さん&三味線さん全員の肩衣になんか変わったウネウネが入っているなーとおもっていたら、草原をあらわしていたらしい。うん、ちょっとわかりづらい。
さいしょ幕が上がってすぐ、彼方から魔法使いが降ってきたなー、居酒屋の場面でもしれっと座っているなー、とおもっていたら、あいつシェイクスピアだったらしい! え、気付かず。おれ、鈍感なのかな。

ふだんの古典文楽とちがうところ7点(演目にもよるけど)
①黒衣の人形遣いさんによる「東西~東西~○○の段~カチカチ(柝の音)」はなし
②琴&大弓(おおきゅう)がシャラララ~ン♪とはじまってから緞帳があがるため、客席が拍手するタイミングを見失う。っていうか大弓ってはじめて見たぞ。胡弓の大きいバージョンみたいなかんじ。絃を引くための弓が大ぶり。
③ちょうカワイイ音がいろいろ鳴っていた
④LEDやストロボをはじめ舞台エフェクト多用
⑤出遣い(お人形を3人1組で操る人形遣いさんのなかでも頭を操るメインの方。ふだんはオールバック髪型で袴姿)のかたがたが黒衣姿だった。出遣いさんが登場すると拍手したいもんなんだけど(花形だから)お顔が見えないので、「ん? 桐竹勘十郎さん……だよね?」というかんじでやっぱり、客席が拍手するタイミングを見失う。舞台が星月夜設定なので、お人形を浮かび上がらせるため?
⑥花道もないのにお人形が客席乱入ハイタッチ(ハイタッチはしないけど。したらいい)しちゃう
⑦シェイクスピア本人が登場しちゃう

人形がすごいことになっていた。パッと見はお着物なんだけど、時間がたつにつれ14世紀から17世紀半ごろまでフランス(ヨーロッパ?)で流行っていたプールポワン&キャノンズに見えてきた。ガイド本で美術・石井みつるさんが「スラッシュ(=切込み装飾)を入れて……」という話をされていたので、合ってる! 鈍感じゃない! 角度によってオリエンタルにもアジアンテイストにも道化師にも見えるってゆうミステリアスなお衣裳でした。とりあえず、ちょうオシャレ☆
みんな華美なピアスしているし、布地の表面にデコレーションされたビジューがキラキラキラ~☆ ってしてるし。ヘアスタイルも派手! あとファンタジー設定だけどヨーロッパ人っぽく(?)ボディに厚みをかなり出していたような気がする(ふぁるすは破格の奥行き)。逆にふぁるすの“へそピ”はあまり目立っていなかった。もっと下品にしたらよかったのに。

ちなみに一番客席が盛り上がったせりふはラスト場面
ハル「前代未聞の大越冬ぢゃ!」

せりふは幕切れにおけるふぁるすの独白以外は、ほぼずっと軽妙爽快である(独白はちょいマジメ)。

ぜんたいとしては≪浮遊系スペクタクル・ロマンス≫カテゴリーなので(そんなカテゴリーない。いま作った)、現代美術家の杉本博司さん&鶴澤清治さんの演出・作曲で作られた杉本文楽:曾根崎心中とおなじ系譜に属する、とおもわれる(作曲どちらも清治さんだし)。縦に深い空間の使い方に特色がある(古典文楽は平べったい空間がおおい)。
ちなみに≪浮遊系スペクタクル・ロマンス≫というジャンルは、ほかに2003年の野村萬斎さんによる舞台・ハムレット、山海塾、プラネタリウム、それに星月夜と風雪がカテゴライズされています(たったいま作者が認定しました)。

↑こちらも翻訳は河合祥一郎先生でした~。
山海塾『降りくるもののなかで―とばり』
国立天文台三鷹キャンパス観望会

じつは劇場なんか(失礼!)に足を運ばなくても、星月夜や風雪(自然現象)がお芝居としては最高傑作です。浮遊系スペクタクル・ロマンス☆

個人的には原作に登場する口上役“噂”(←キャラ名)がいちばん好きなので、出してほしかった(内容的に不可)。
『“噂”登場。一面に舌の模様を描いた服をつけている。
噂「さあ、耳を開いて聞きな。それがし、“噂”が大声でしゃべろうってんだ、耳に蓋するわけにはいくまい?……」』
……舌の模様って! そう、いちばんの遊び人でコンコンチキなのは、清治さんでも、ハルでも、ふぁるすでもなく、シェイクスピアだ。もっとキツイやつをぶち込まないと、だれもあいつに勝てない。だから、ふぁるすはもっと下品なほうがいいとおもう。

3
床本付きガイドは700円(第1部&2部パンフとは別にわざわざ用意されたスペシャル版)

4
中秋の名月・前夜の小望月

当夜は悪天候。「中秋の名月、10年に9年は見えず」by江戸っ子

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中秋の名月・後夜の十六夜月

舞台の背景は↑こんな≪浮遊系スペクタクル・ロマンス≫で、たいへん眼福でした~☆

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