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2014年11月11日 (火)

『驚愕の谷』東京芸術劇場

ピーター・ブルック&マリーエレーヌ・エティエンヌ作演出の舞台『驚愕の谷』(The Valley of Astonishment)を観に、東京・池袋の東京芸術劇場プレイハウスへ行ってきました。

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夜も目立つ建物

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プレイハウス入口は吹き抜けの2F

お客層 男女比 6:4 年齢 20代~60代まで?
ひとりで観に来ているっぽい壮年男性の姿がたくさん目についた、ような。ピーターブルック・ファン(?)は男性がおおいのだろうか。属性がまったくわからない。
当日券お買い求めに列ができていたりして劇場は盛況だったんだけど、開演前から埋まっている客席がしん、としていた。明るい照明のもとで静謐。ぺちゃくちゃおしゃべりもしない様子を見ると、やっぱりちょうコアなピーターブルック・ファンばっかり! みっちり! ということだったんじゃなかろうか、とおもう。空気はりつめているかんじではなかったので居心地はよかったけど。

※ご存じないかたのために説明すると、ピーター・ブルックはすてき無敵なおじいちゃん(89歳)で現役演出家の巨匠です☆ そしてマリーエレーヌ・エティエンヌは相棒(?)です。ざっくり。

以前書いた記事⇒
ピーター・ブルックとシェイクスピア展
シルヴィ・ギエム×アクラム・カーン『聖なる怪物たち』
映画『注目すべき人々との出会い』
映画『ピーター・ブルックのザ・タイトロープ』




『驚愕の谷』英語・日本語字幕付き 75分間
およそ3m、客席にして6列分くらい前方にせりだした奥行きの深い舞台床に正方形の区切り、スタンドランプ、イス、キャスター付きテーブル、ポールハンガーとコート、それに楽器が置かれている。緞帳は開場時からあがったまま。簡素な風景。
共感覚によりずば抜けた記憶力を持つことが44歳にしてはじめて判明し、同時に編集部をクビになった(!)サミー(キャサリン・ハンター)が主人公。出演者はほかに編集長ほか役のジャレッド・マクニール、博士ほか役のマルチェロ・マーニ。オーケストラであり囃子方(効果音)はキーボード&アコーディオンを弾くラファエル・シャンブーヴェ、パーカッション&笛を演奏する土取利行さん、の2人。あわせて5人による演劇です。
ハンガーにかけられた上着(ジャケットや白衣)を着替えることで場面転換&役替えをして進行してゆくので、登場するキャラクターは編集長、博士助手、ほかの共感覚者、パフォーマーなど多数(う、おもいだせない)。さらにキーボードを弾いていたラファエルも舞台中央に連れて行かれ、共感覚者として「ミロ、カンディンスキー、ド・スタール……」と台詞を言ったりして柔軟に舞台空間が変化してゆく。←ほかに照明の変化も大事な場面転換。
客席がいちばん笑ったのは、際立った記憶術を持つことが判明した結果「優秀すぎるからクビ!」とサミーが突如宣告されたシーンと、片腕男(マルチェロ・マーニ)による客席を巻き込んだマジックショーの場面だった。←最前列のお客さんが指名され舞台に上げられ(合計3人)日本語まじりの英語でカードマジックについて指示されるのだけど、意思疎通に時間がかかる。ショーのあいだは客席のいちばん後方まで舞台空間内に収まった。
ざっくり説明すると、、、泣き、笑い、ジャズ、笑い、笑い、泣き、風の音。おしまい。おれはたぶん笑いすぎだけど。ただ、主人公サミーはずっと不安そうな表情をし続け(突然じぶんが“特別”だと気付かされた)、ときおり目がキラッと光っていた。←涙

ああ、あそこにイヴリィがいる、とおもった。

「さとりは突然訪れ、うたがう余地がなかった。さからうのは無駄なことだ。彼、イヴリィは影の民のほかのみんなとちがっている。それをさとったとき、イヴリィはうれしいとは思わなかった。」


田村都志夫訳ミヒャエル・エンデ著『自由の牢獄』収録“ミスライムのカタコンベ”冒頭

エンデの物語だとイヴリィの冒険は、歓喜か絶望か判じえない絶叫で幕切れである(作者のだいすきな物語です!)。
サミーの結末は、土取利行さんの奏でる笛の音(竹林の風の音にきこえる)である。緞帳はおりず幕は切れない。まだどこまでもつづいていくという強い意志が波のようにひろがって、美しかった。


3
場内はずっと新しい木の香り(?)がしていました

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