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2015年1月27日 (火)

舞台『グスコーブドリの伝記』@SPAC

宮沢賢治原作・山崎ナオコーラ脚本・宮城聰演出の舞台『グスコーブドリの伝記』を観に、静岡県静岡市駿河区にある静岡芸術劇場(≒SPAC)へ行ってきました。

昨年SPAC(SPACは劇場名ではなく静岡県舞台芸術センターという1個の舞台制作集団。発表場所として劇場もある、という感じ?)に神奈川県まで出張してもらったので、今回は作者が静岡まで出かけることにしました。
神奈川芸術劇場での公演たのしかったな~記事⇒マハーバーラタ@KAAT

※賢治ぴょん作品はネタばれ済ですが、舞台は公演ちゅうなのでネタばれ注意☆

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JR東静岡駅                                    利用者の最大公約数に合わせた広さ

神奈川県・小田原駅から新幹線で60分、鈍行で90分といったところ。←うまく行けば。

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現代建築のなかの昭和からの伝統“有害図書ポスト”

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本日の目的施設“グランシップ”                          雲隠れの富士山

どう見てもダンス練習にぴったりだが、ダンス等禁止貼り紙。

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太平洋との位置関係はこんな感じ                      古代東海道が埋まっているらしい

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シェルター通路にハンギング・プランツ                      劇場は建物の裏側

ハンギングするにはココ風当たりが強すぎるかもなー。(効果音・ごーごー)

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真新しく見えるけど1999年3月開館。&前庭の造園作業ちゅう。

だれだ、こんな可愛げのないハコ建てたやつは! と、おもったら磯崎新(いそざきあらた。1931年生まれ)だった。……じゃあ、しかたない! ←茨城県・水戸市あたりで地震が起きたときにNHKで“地震発生時の映像”として現れる“ウネウネ”100mタワーを持つ水戸芸術館(1990年開館)も設計した建築家。最近では新国立競技場の英ハディド作品が修正・改悪されたことに対して非を表明した。

明るい白を基調とした吹き抜けは音が筒抜けで、落ち着かないホワイエだなー。←作者の嗜好の問題。床材はカーペットが好み。せめて地味色の布張りソファでも置いてあればなー。椅子はあったけど。どうも落ち着かない。そわそわ。

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2Fのカフェ・シンデレラ(入口上部のガラス張り)では役者さんが労働ちゅう……このへんが文化祭感の源かもなーとおもった。ただ花巻銘菓・賢治最中パサパサだった……。

作者はサクサクパリパリが好みです。

お客層 男女比4:6 年齢層20代~70代まで 平均しちゃうとアラフィフ
入口に“本日満員御礼・当日券あり”って印刷紙が貼り出してあった。ん、立見席ってこと?
ちなみに劇場の外で「あ、宮城さんがウロウロされている」とおもったら、開場時には客席入口で客を出迎えていた。で、終演後も客席出口でにこやかにされていた。支配人だ。ほかにもワークショップやプレトークやアフタートークや懇親会? 全体に物理的距離感がちかい。作者はひとり逃げ出したい気分ですが。


リトルモア版「グスコーブドリの伝記」表紙をポスターに採用


舞台『グスコーブドリの伝記』 日本語・英語電光字幕付き 110分
宮沢賢治(1896‐1933年没)原作
宮城聰(1959年生まれ)演出
山崎ナオコーラ(1978年生まれ)脚本
ドラマトゥルク・西川奏功
音楽・棚川寛子

出演 グスコーブドリ=美加理
    グスコーナドリ&ペンネンナーム=阿部一徳
    クーボ―大博士=渡辺敬彦
ほか総勢11名で17役&お人形、激しくパーカッションも打つ。大忙しである。

場内は世田谷パブリックシアターに似てるな、という印象。石っぽい壁、効果的なライト、赤茶けた椅子、テラス席、オープン形式の舞台。でも世田谷より傾斜がきついので、古代ローマの円形劇場のが似ているかも。仏ニームのやつとか。サイズは静岡400席<世田谷600席なので静岡のがグッと見やすい。
開場の段階で、すでに舞台の上に白いフレームがでーんと置いてある。縦2m×横2.5mほどの長方形を折り紙のようにつないでキャスターを付けて可動式にした装置。閉じるとひし形で広げると8角形くらいになる。フレームにはちょうクラフト感のあるお人形(身長1m超)が飾られていた。
いちおうご存じない方のために説明すると、「グスコーブドリの伝記」は主人公の少年ブドリが自然災害にいろいろ苦労した挙句、イーハトーブ(架空の地名)の冷害を食い止めるために火山を人為的に爆発させて若くして人知れず死んでいく、という賢治ぴょん晩年のフィクションです。ざっくり。
そんな物語を富士火山のお膝下で、今、やる。というのである。あー、、、買った!
で、唯一の事前情報は「人形を使う」というもの。操演するってこと? 文楽の人形遣いさんは「60歳で一人前」とか言っている気の長い技術なんだけどなー、、、宮城演出の“ムーバ―”&“スピーカー”スタイルでも、ある意味ムーバーは人形? あ、テグスをびゅーんと空中に飛ばしたり、クーボ―大博士が飛行船にのってびゅーんと空を飛ばなきゃいけないから、それをこんなふう↓にやるのかなー。

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※本編とは無関係な写真。NHK放送博物館に展示されていた“にこにこぷん”人形が乗った気球。

という感じで勝手に考えていたら……正解じゃないけど、だいたい当たっていた! びっくり☆ やったね☆
唯一、少年ブドリは美加理さん(マハーバーラタのダマヤンティちゃん)が演じ本人がしゃべる。ただし無表情。手のひらをずっと客席に向けている。シャツにオーバーオールかサスペンダー付きワイドパンツみたいな格好。以外の役者は白いパンツスタイルに白いスタンドネックシングルボタンロングコートを羽織り白いボーラーハットをかぶり、手に1m超くらいのクラフト感の強いお人形を持って(操らない!)しゃべる。ご丁寧にハットの正面にシフォン素材のフェイスカバー付きである。え! ひつよう?
開演直後はブドリと人形がフレーム内に収まって台詞、暗転。フレーム内でポージングして台詞、暗転。を繰り返してメルフェン感と時間経過を伝えていた。舞台の上の静止画。暗転のあいだの移動の足音がぜんぜん聞こえないんだけど、それ、白い地下足袋? レースアップのバレエシューズ? 床材の性質なのかなー。謎だった。
で、お人形はそれぞれの役者の顔写真をプリントしたテルテル坊主みたいな頭部(写真が粗いと指名手配写真みたいでアヴァンギャルド)と中綿ぎゅうぎゅう詰め込んだ四肢……でも身につけている衣装デザインがキュート。パッチワークだらけでボタンが1個ずつバラバラだ♡ は! この服飾のかわいさにだまされて(?)しまっていいんだろうか、と客席で悩んだ。うーむ。迷う。
パーカッションは鉄琴(楽器名がわかりません)の幻想的な音色と太鼓(楽器名がわかりません)をどかんどかん打ち続けるクライマックスの激奏が気持ち良かった。

原作を読んでいるときには感じなかったこと①オノマトペ音声いい
賢治ぴょんや山崎ナオコーラさんが紙に書きつけたオノマトペは音声になるととても心地良い。詩は音読するのが正しいと再確認。
原作を読んでいるときには感じなかったこと②ブドリにイライラ
こうやってブドリを現実の人物として目の当たりにすると、けっこうイライラした。クーボ―大博士とペンネンナーム技師が止めるのも聴かず「イーハトーブのみんなを助けるために、この危険な仕事をしたい! 火山へ行く!」と主張&説得する。で、結局死ぬ。献身の行動なんだけど。イライラ☆
イライラの原因を考えてみたんだけど、賢治ぴょんの底流にある内向きの怒りと懲罰的な自己軽視にある、ような。もう長くないと自覚していた晩年の作品だから健全さは低下していていいんだけども。あいつ、仕事がしたかったんだな。
「もう! 他のひとのことはいいから、とりあえずお前ココにいろよ! むきー!」とお芝居に割り込むところであった。ひゅー、自重自重。ストラテジーとしての死はナシだ。

アフタートーク;ゲスト人形劇俳優・たいらじょう×演出家・宮城聰
たいらさんからは「アースカラーで統一した衣装のパッチワークがだいすき。あれはずいぶん時間をかけたにちがいない。言うのは簡単だけど作るひとはたいへんなんですよ」という主旨のお話など。
宮城さんからは「展覧会の絵」「演出に関する、じぶんのなかのアイデアなんてすぐ枯れた。からっぽになってからコッチがおもしろい。細かいことは言わず、またスタッフに“宮城さんはこうしたいんじゃないかな”みたいに顔色をうかがわせないように気をつけている」「稽古場でこれキタ! という感じでちょう盛り上がっても本番の客席でお客さんが退屈そうにしているな、という温度差が時々ある。だから稽古はなるべく不真面目(?)に見るようにしている。正面ではなく横の方からゴロゴロしながら見ている」みたいな主旨だったかなー。宮城さんゴロゴロしているのが見たいな。あと、宮城さんの手がふっくらしていたのが印象的だった。

まとめ:ごーごーそわそわぱさぱさウロウロこそこそきゃわきゃわびゅーんどかんどかんイライライライラすとん、オーヴァー☆

生前、無名の詩人であった宮沢賢治(1896‐1933年)の詩をたいそう気に入り、肌身離さず持ち歩いていたという伝説(出典しつねん)のある中原中也(1907‐1937年)が見たらよろこ……、いや、怒っただろうか。中也は攻撃的だからな。

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劇場の窓から薄暮の富士

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この日の静岡新聞のメイントピックは「ウナギNOW」「家康公400年祭・記念デザイン消火栓ふた」

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