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2015年5月17日 (日)

文楽5月公演@国立劇場小劇場

東京・半蔵門にある国立劇場小劇場へ文楽5月公演を観に行ってきました。五月晴れ(誤用のほうのイミで)&薫風が心地よい日でした~。

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皇居側から見た入口(もさもさ)

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あまり目立たないインフォメーション(もさもさ)

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風に舞う“二代目吉田玉男”襲名お祝いのぼり(もさもさ)

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鯉のぼりもビュンビュン泳いでいた(もさもさ)

国立劇場の前庭にはめずらしい梅とか桜とかがたくさん植樹されていて、今回の公演『一谷嫩軍記』に登場する“熊谷桜”が確かここらへんにー…………、とおもってウロウロしてたんだけど…………なんか全体的に緑色がまぶしすぎてよくわからないなー、ま、いっか☆ ←ちゃんと見れば樹種プレートある。もっとがんばれ☆

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新緑が目と心にまぶしい☆ (右手のもさもさはたぶん桜の樹です)

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小劇場入り口の1分刻みタイムスケジュールはオンタイムで定時運行されます

≪文楽五月公演 縦書き字幕付き≫

第一部 『五條橋』ごじょうばし 11:00-11:17
      (休憩10分)
      『新版歌祭文』 しんぱんうたざいもん 11:27‐12:42
      野崎村の段
      (休憩30分)
      吉田玉女改め二代目吉田玉男襲名披露口上 13:12‐13:22
      (休憩10分)
      襲名披露狂言『一谷嫩軍記』いちのたにふたばぐんき 13:32‐15:22
      熊谷桜の段・熊谷陣屋の段

第二部 『祇園祭礼信仰記』ぎおんさいれいしんこうき 16:00‐17:49
      金閣寺の段・爪先鼠の段
      (休憩30分)          
      『桂川連理柵』かつらがわれんりのしがらみ 18:19‐20:21
      六角堂の段・帯屋の段・道行朧の桂川

作者が観たのは第一部のみです。基本的に玉女さんの襲名披露めあてなわけですが、第二部も『桂川連理柵』の帯屋長右衛門は玉女さん改め二代目吉田玉男さんが主遣いなので、ほんとは全部みるべきかな。
ご存じない方のために説明すると、休憩時間はロビーや2Fだけでなく劇場外をウロウロするのもオッケーです。(再入場時にチケット半券提示)

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満員御礼

お客層 男女比 3:7 年齢層 平均すると50~60代くらい

※古典演目だけど公演期間ちゅうなのでネタばれちゅうい

『五條橋』ごじょうばし 1731年初演・時代物舞踊劇←お人形がおどります☆
大夫さん 豊竹睦大夫・豊竹始大夫・竹本小住大夫・竹本文字栄大夫
三味線さん 野澤喜一朗・豊澤龍爾(←イケメンと評判)・鶴澤清公・鶴澤清允
人形遣い(主遣い)さん 桐竹紋臣・吉田勘市
牛若丸(源義経)と武蔵坊弁慶の橋の上での運命的な出会いを描いた、現代人にもうっす~ら馴染みのある一場面。17分というコンパクト演目でもある。
秋、月夜の川にかかる橋上で、あでやかな女姿をした牛若丸のふわっと軽い動きと、力強く武器を扱う弁慶のコントラストが闇に浮かび上がって(2人きり)視覚的にほれぼれします。
背景は京都の東山三十六峰(か、どうかわからないけど)の山々と東寺の五重塔のシルエット。牛若丸が広げる黒地に日の丸の扇子と背景の満月が重なり、また三味線さん4人の撥のストロークと弁慶の頭の動きがピッタリ揃うなど、秩序だった様式美がギュッと詰まっております(たぶん)。あと黒衣の足遣いさんが一生懸命足を踏み鳴らしているのが丸見えなのも見どころ(たぶん)。欄干の右側に「五條橋」、左側に「ごぜうばし」って書き込んであるユーモラス(?)なセットも見どころ(たぶん)。

『新版歌祭文』しんぱんうたざいもん 1780年初演・世話物←“お染・久松”として有名な心中事件がテーマ☆
≪野崎村の段≫
中 豊竹芳穂大夫&鶴澤清馗
前 豊竹呂勢大夫&鶴澤清治(←人間国宝)
奥 竹本津駒大夫&鶴澤寛治(←人間国宝) ツレ鶴澤寛太郎
おもな役の人形遣いさん 娘おみつ 吉田勘彌
         丁稚・久松 吉田清五郎
         親・久作 吉田文司
         娘お染 吉田一輔
舞台は大阪、ウグイス鳴く梅の季節。油屋の丁稚である久松(美少年)が奉公先の娘さんであるお染(美少女)と恋仲になってしまったうえに(主家と奉公人の恋はタブー)お店でモメモメしたあげく(ざっくり)、養親である久作の家(野崎村の農家)へ戻される。久作はこのタイミングでかねてより久松の許嫁としていた自分の妻の連れ子・おみつと祝言をあげさせ、いま病床にあるおみつの母親を喜ばせようと提案する(決定)。
そこへ久松を追ってきたお染ちゃん(こちらも親のすすめる縁談あり)登場。まっさきに気付いたおみつは嫉妬で怒り追い払ってなおプンスカ……ちょうかわいい。きゃわ~♡ ※しばらくお待ちください
久松におみつという許嫁がいたうえに(知らなかった)いじわるされて外でションボリするお染ちゃん……きゃわ~♡ ※しばらくお待ちください
モメモメしたあげく(ざっくり)おみつが尼になって自ら身を引く、けなげ展開です。さらにお染の母、お勝が登場してふたりとも店へ戻るんだけど、久松は駕籠、お染は母と船に乗ってバラバラに帰るのが遠慮(?)だという。
ハッピーエンドと呼ぶにはびみょうに後味よくないせいか、ラストは船頭のコミカルな動きでお客をホッとさせておしまい、だ。
お客さんほぼ全員がおみつちゃんのけなげ展開を知っているせいか(たぶん)、おみつちゃんのプンスカを温かく見守ってケラケラ笑っていた。伝統芸能における女の子の描写はほんとに可憐だよな、とおもう。

吉田玉女改め二代目吉田玉男襲名披露口上
2006年に逝去された初代・吉田玉男さんのお名前を襲名することになった吉田玉女さん改め二代目吉田玉男さんのお披露め会。裃姿の大夫さん・三味線さん・人形遣いさんがズラッとならんで壮麗である。
竹本千歳大夫さんの仕切りで順番に口上が述べられるんだけど、豊竹嶋大夫さん(8代目・切場語り大夫さん・83歳)の口上が“切”だった。間違いなくマイクいらないよね、ってゆう語りに感激したあとの、鶴澤寛治さん(7代目・人間国宝の三味線さん・86歳)のふわっとした関西弁に胸キュンである。三味線さん普段しゃべんないから舞台上でもごくふつうのしゃべり方なので新鮮。
鶴澤寛治「……玉男にいさんの身の回りの世話をしている、かわいらしい学生さん(※大学生ではなく当時・中学生の玉女さんのこと)がいたので、にいさんのお子さんですか? ときいたら、ちがう、あれは近所の子や、というので……」
客「!」
現在61歳の玉女さんがいまでも“近所の子”なんだな、という驚き(たぶん)で客席はドッと笑った。その後さらに桐竹勘十郎さん(3代目・人形遣い・62歳)のお話を要約すると「中学生のころから50年来つき合いの玉女さんが師匠の名前を襲名してうれしくおもっている」という話、勘十郎さんほんとにうれしそうだな、と感じた。っていうか軽く50年の仕事仲間か、浮世とは時間の流れ方がちがうよなー、ともおもう。戦後の文楽界の分裂とか、松竹の撤退とか、こないだの大阪市からの補助金廃止決定とか……ちょういろいろあったのによく今こうして目の前で観られて……よかったな、とおれも客席でおもう。玉女さん改め吉田玉男さんは大事にされている。

襲名披露狂言『一谷嫩軍記』いちのたにふたばぐんき 1751年初演・時代物←熊谷直実(くまがえなおざね)は初代・玉男の当たり役らしい☆
≪熊谷桜の段≫豊竹松香大夫&鶴澤清友
≪熊谷陣屋の段≫
切 豊竹咲大夫&鶴澤燕三
後 竹本文字久大夫&鶴澤清介
おもな役の人形遣いさん 妻・相模 吉田和生
                藤の局 桐竹勘十郎
                石屋弥陀六ジツは弥平兵衛宗清 吉田玉也
                熊谷次郎直実 吉田玉女アラタメ吉田玉男
                源義経 吉田玉輝
舞台は兵庫・須磨、桜が満開の季節。歴史的(平家物語的)には一ノ谷の戦いで若侍・平敦盛(笛の名手にして美少年)が討ちとられた件にジツは~後白河院と藤の局の子であることを知っていた源義経が熊谷桜の前に置いた制札で熊谷に暗黙のメッセージ(?)「一枝を伐らば一指を剪るべし」(←書いたのは弁慶)を命じ、自身の子・小次郎(敦盛と同年代の16歳)を身替りにして首をさし出し、敦盛のほうは鎧櫃に隠してそっと生きのびさせていた(天皇家の血筋だから)という大どんでん返しストーリーです(たぶん)。
なにしろ平安時代末期の武士たちの建前と義理で進行するので、本音はグッとこらえ隠されているため、熊谷直実も源義経もあんまし動かない。抑制された感情表現は観ているほうも腹部に力はいる。さいごのさいご「十六年も一昔。夢であつたなあ」でやっと泣く。動きがあるのは妻・相模と藤の局ばかりである。ああ、相模ちゃんかわいそう~とおもった(そういうことじゃ全然ない)。

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ロビーはちゃんと熊谷の清酒“直実”の酒樽でにぎにぎしく☆


雑談:人形浄瑠璃文楽をはじめて観たのは6~8年前だったとおもう。そもそも作者のだいすきな岡本綺堂『半七捕物帳』に「人形使い」という一篇があったため、一生に一回くらい文楽観てみたいな、という軽い気持ちだった。

光文社新装版だと3巻に収録

とりあえず東京は半蔵門の国立劇場で(大阪の国立文楽劇場や地方公演と交互なので毎月やっているわけではない)観られるらしいとわかったのでチケットを取……とれなかった(期間ちゅう自分が行きたい日に)。それまで自分の周囲に文楽ファンがひとりもいなかったのでぜんぜん知らなかったが文楽ファンの方々気合い入っているんだな、ということが判明。で、次の公演時にチケットをゲット、しかもはじめて観劇した日は満員御礼幕(幕だった気がする)出ていて、ほんとに人気あるんだなーと実感したんだけど……いざ、はじまるとわりとすぐ隣席のじいさんがウトウトし始めた。しばらくたつと前方のばあさんもウトウトしていた。文楽ファンの方々、気合い入っているんだか、ゆるいんだかわからん☆ とおもったものである。でも、切(切場語りの最高位大夫さんが語る)やクライマックスになるとムクッと目覚めた。あー、こうやってギアはロー(1速)で観るのが正解なのか、ふんふんと学んだ。長丁場だからね、あ、でももしイビキかき始めたらそれはトントンしてあげてね♡
で、そん時に「人形遣いさんにかわいらしい名前の方がいるなー、お、あの人か。おぐしがすてき♡」と印象に残ったのが玉女さんである。初代・玉男さんはすでに亡くなっていたのでその芸術を知らないのだけど、ただ“かわいらしい”名前じゃなかったら、おれが時々文楽を観るようにはならなかったかもしれないので、名付けた初代にかってに感謝☆

今日まで300年あるいは1000年続いたからって、今日から300年あるいは1000年続くかといえばそんなことはぜんぜんなくて、むしろいずれ滅亡する確率は常に100%である。ある日突然なんの相談もなく生まれさせられて、ある日突然なんの予告もなく死ぬのが人生だ。なにが言いたいのかというと、明日でも来週でもなくて今日、すべて最後の覚悟で観るのが観客としては唯一の正解だとおもっている。でも、ときどきウトウトしながら☆

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劇場裏の伝統芸能情報館は「文楽入門」展示

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玉女さん改め二代目吉田玉男ファイルのマニアックさにときめく☆

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