« 騒音寺×Theピーズ@下北沢Q | トップページ | 4年間ひとりでどこにいたのか »

2015年7月31日 (金)

前時代オノマトペのすすめ

みんな大好き! オノマトペ! (きっと)のなかで、現代日本で使っているひとはいなくても個人的におすすめなんだけどな~、と、作者がウズウズしている前時代のオノマトペを3点発表したい。

≪オノマトペ復習≫
オノマトペとは擬声語・擬音語・擬態語の総称で、一般的には「わんわん」「ごろごろ」「うきうき」などのこと。ほかにも「めきめき」や「どしどし」といった程度副詞・頻度副詞、「きりきり舞い」「びしょ濡れ」「ごちゃ混ぜ」といった複合名詞、「とげとげしい」「ほろ苦い」「くどい」「とろい」などの形容詞、「しとやか」「にこやか」などの形容動詞、「ふと」「つと」「ぱっと」「そっと」などの非反復形、宮沢賢治による「ギイギイギイフウ。ギイギイフウ。」(宮沢賢治全集〈5〉貝の火・よだかの星・カイロ団長ほか (ちくま文庫))のような独特のリズムを持つ創作物やオノマトペから派生したと考えられる語まで含めると、オノマトペなしには日本語での会話や広告(広告はオノマトペだらけ)は不可能かもしれない、というちょう重要アイテム。
「一般語彙よりも生き生きとした臨場感にあふれ、繊細かつ微妙な描写を可能にする」言語要素らしいです。

参考文献

以前、NHKかどこかで「オノマトペを使うと一般語彙を使うよりも脳が活性化される」とかなんとかやっていました。やったね☆ ばんばん賢くなっちゃう☆ きゃ☆

では、さっそく♪


おすすめベスト③気分がさっぱりしたときは「気持ちがさばさばした!」と言おう(65年前)
「さばさば」というオノマトペは現在でもふつうに使われているが、もっぱら「さばさばした性格」という使用方法に画一化(?)されてしまった気がする。つまらぬ。前出の辞典(2007年出版)によれば「さばさば」=①油けやしめりけがなく、かわいていて気持ちのよいさま。②動作や性格などにこだわりのないさま。③苦しいこと、いやなことなどがすんで、爽快な気分になるさま。気持ちのうえで、こだわらないさま。用例「試験が終わってさばさばした」←この③の使い方をしているひと、聞いたことない。「さっぱり」「すかっと」「すっきり」よりも「さばさばした!」がかっこいいとおもうの。※個人の感想です

三代目三遊亭金馬さん口演の古典落語『雛鍔』より抜粋(べつにこの時に生まれたオノマトペというわけじゃないけど、1950年代収録音源のようなのでざっくり65年前としました)
ご隠居 (中略)仕事しておくれ、わたしはこれで、さぁばさばした! 
植木屋 ええ、あっしもねぇ、大川(隅田川)でケツを洗ったようで、さばさばしちまいました。やらせてください!

『雛鍔』も収録


おすすめベスト②打ちのめされて傷ついたときは「めろめろ」泣こう(134年前)
「それいけ! アンパンマン」に登場するメロンパンナちゃんというラブリーガール・ヒーロー(空とべる)がいるのだけど、必殺技が「メロンパンナのメロメロパンチ~♡」という甘~い攻撃である。相手はパンチとともに目が♡♡になって即戦闘終了~、という最弱にして最強のテクニックだ。
おれ含め現代では、めろめろ♡ というオノマトペにはハートマークと恋心(相手がヒトでもモノでも猫でも)がピタッと密着している(たぶん)。でも江戸時代から明治時代の「めろめろ」は「めそめそ」に近かった。
「めろめろ」=①締まりがなく、まったくだめになるさま。完全に力なく打ちのめされるさま。用例「酔ってめろめろになる」②いくじなし。たやすく泣くさま。③炎を上げてたやすく燃えるさま。めらめら。④塗り物などがたやすく剝げるさま。
「めろめろ」に恋をするのもいいけど、「めろめろ」泣いちゃうのもカワイイとおもうの。※個人の感想です

河竹黙阿弥作『極附幡随長兵衛』にて、殺されるとわかっているのに水野宅へ行くという長兵衛を仲間と家族が制止する場面(この時生まれたオノマトペというわけじゃないです)
長松(ちびっこ) この春、年始におとっさんの代わりに出たからお屋敷へも、おいらが代わりに行きましょう
清兵(子分) さすがは達師の後取りだけ、おとっさんの代わりに行くとは小さな形で大きな言い分、これが譬えにいう通り、山椒は小粒でひりゝと辛い、大きな形だがおいらは甘い
(↑いま関係ないけど、黙阿弥じいちゃんは子役の活かし方が抜群です)
長兵衛(主人公) 何をめろめろそんなに泣くのだ、おれが死んだら権兵衛を、おれだと思って世話になれ

河竹黙阿弥『極附幡随長兵衛』(きわめつきばんずいちょうべえ=湯殿の長兵衛)も収録


おすすめベスト①ブーイングは「みゅーみゅー」抗議しよう(2426年前)
古代ギリシア悲劇は有名だが、悲劇は単品で上演されていたわけでなく喜劇とセットだった(1日につき3本+1本?)。アテネで毎年春に開催されていたディオニューソス神(ワインと演劇の神様)のための大祭において市民を前に古代劇場で4日間(?)上演し、それぞれ投票により優勝を決めていた(競演、詩人には賞金もでる)。ギリシア喜劇のなかで現存するのはアリストパネース(たぶん紀元前446‐385年の喜劇詩人)作品くらいである(メナンドロス作品もあるけど断片的。今後、世紀の大発見がなければ)。
ギリシア悲劇はちょうおもしろいけど、喜劇もちょうおもしろい。よだれが出るくらい。滑稽なキャラクターたちを動かして社会問題や政治的テーマを風刺する手法は、日本の狂言と同様のスタイルなんだけど、ちょう下ネタ。作品によっては、台詞がず―――っと下ネタ(合唱場面もある)。だからギリシア喜劇全集は注釈も古代の下ネタ解説である。当時の観客席に女こどもがいたかどうかはっきりしないらしいんだけど、ちょう健康的。ちなみに同性愛も容認されていた。
そんなアリストパネース『テスモポリア祭を営む女たち』(荒井直訳)に登場するセリフが「ミューミュー」である。オノマトペというより「ブーブー」くらいのセリフなんだけども……かわい☆ 現代ギリシアで不平を表現する際に「ミューミュー」言っているかどうか知らないけど、言ったらカワイイとおもうの。※個人の感想です
ちなみに古代ギリシアではワインは水で割って飲むものだったんだけど、エーゲ海に浮かぶ島(長寿で有名なイカリア島とか)で伝統的な暮らしをしているおじいちゃんおばあちゃんたちはいまでもワインを水で割って飲んでいた! (1:1) 軽く2500年くらい酒の飲み方がおなじとは……、これは「ミューミュー」も期待できるかもしれない。

荒井直訳『テスモポリア祭を営む女たち』でエウリーピデースが女だけの祭りに潜入させるために縁者の体毛を剃っている場面
縁者 ミューミュー※
エウリーピデース なにをミューミュー唸っているのですか。すっかりきれいに仕上がりましたよ
(注釈※苦痛よりむしろ抗議の声)

荒井直訳『テスモポリア祭を営む女たち』も収録


ウィリアム・シェイクスピア「われわれは夢とおなじ材料で作られている」
アルバート・アインシュタイン「物理的概念は思考の自由な創造物である。どう見えようが、外界によって独自に定められるものではない」
16世紀後半の劇作家と20世紀前半の物理学者がだいたいおなじことを言っている(ご本人がいま生きていたら、それは誤解だ、と猛抗議されそうだけど)。
オノマトペを創作するような言葉遊びこそ、ひとり遊びのなかの最たるひとり遊びな気がする。

善男善女のみなさまにおかれましては、古今東西のオノマトペをどしどし使って&作って、悟り開くくらい賢くなっちゃえ☆

« 騒音寺×Theピーズ@下北沢Q | トップページ | 4年間ひとりでどこにいたのか »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1535230/60851596

この記事へのトラックバック一覧です: 前時代オノマトペのすすめ:

« 騒音寺×Theピーズ@下北沢Q | トップページ | 4年間ひとりでどこにいたのか »

無料ブログはココログ