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2018年1月18日 (木)

ムーミン問題

13日に実施された大学入試センター試験・地理Bに、ムーミン問題がでたとネット上で話題だった。まちがえた受験生(たぶん)がムーミン公式ツイッターに八つ当たりしたことで。作者は詳細をしらなかったけど、16日付の新聞に問題の写真が掲載されてておもしろかったのでぜひ口をはさみたい☆

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2018年1月16日(火)付け日本経済新聞『センター設問ムーミン谷どこ?』

設問は「北欧3か国の文化の共通性と言語の違い」がテーマで、『ニルスのふしぎな旅』とスウェーデン語「Vad kostar det?」の組み合わせを例示したうえで、アニメの選択肢は『ムーミン』『小さなバイキングビッケ』、言語の選択肢は「Hva koster det?」「Paljonko se maksaa?」、それぞれ「ノルウェーとフィンランドのいずれか」であり「フィンランドに関するアニメーションと言語との正しい組合せを選べ」とゆうもの。配点は3点。

おもしろいよね? これ、高校生はどうやって解くんだろか、とおもった。
「教科書に載ってない題材の問題を基礎的な知識を生かして解く“実用的な思考力”を試す近年の問題傾向」らしい。

ムーミン谷シリーズ(文学)好きな作者だってムーミン・アニメ(東京ムービー⇒虫プロダクション1969年制作ほか)って見たことない。こんな絵なんだね。高校生はほぼ100%ないのでは。だから出題したのか。平等? 「バイキング」ゆってるからそっちノルウェーだろ! でも二択だしOKでしょ。
言語のほうは、ノルウェー語×スウェーデン語×デンマーク語でいちお話せる、フィンランド語×エストニア語でいちお話せる、とゆう語族の分類から「例示のスウェーデン語に近いほうがノルウェー語」と類推できるか。
文学なりアニメなり知ってたら迷わないだろうけど、知らなくてもそんな時間かからない気がする。ただ前後の設問が不明だけど、テストにきゅうにノルウェー語とフィンランド語が書いてあったらびっくりはするかな。

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ちなみに設問の出典元:全編をとおしてトナカイ(ヘラジカにも見えるけど)キャラが添えられてる

このイラストを見て「言語はわからないけど、トナカイ=フィンランド!」って確信できる高校生がいたら、それはそれで相当察しのいいお子さんだとおもう。トナカイ絵はヒントにはなんないかな。


『旅の指さし会話帳35フィンランド』(2002年)←作者このシリーズ好きでおすすめはスペイン語版です


問題文の問題点:「ノルウェーとフィンランドを舞台にしたアニメーション」
設問冒頭の「3か国の童話をモチーフにしたアニメーションが日本のテレビで放映……」はOKだけど、選択肢を説明する↑の一文はNGなやつだ。なにしろどちらもファンタジーなので作品ちゅうに明示されてないよね? とゆうことで大阪大大学院スウェーデン語研究室が意見書を提出する予定とか(新聞記事より)。

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ムーミン谷とはこうゆうところ(ヤンソン女史による扉絵)


下村隆一訳『ムーミン谷の彗星』(1946年→1956年改稿→1968年改稿)

トーベ・ヤンソン(1914~2001年)はフィンランドにげんざい5%ほどの割合で暮らすスウェーデン系フィンランド人だったので、ムーミン谷シリーズなどの作品はスウェーデン語で書かれました。この『ムーミン谷の彗星』原題は『KOMETEN KOMMER(彗星せまる) Written and Illustrated by TOVE JANSSON』です。
邦訳した下村隆一さん(1928~1969年)の初版への解説によれば「ここに描かれている、ムーミン谷からはなれた洞窟や森や海岸などは、ヤンソンさんが少女時代にいつも夏をすごされたフィンランド湾の一部なのだそうです。」(1969年1月24日)
とあるので、「現実のフィンランドの風景が少なくとも作品のイメージソースの一部だったことは断定できる」結論でよいとおもう。

むろんファンタジー作品のファンタジーならではの自由度の高さを狭めるような違和感があって、解けなかった受験生はさておき、専門家が意見書をだす気持ちはわかる。
ムーミンの生みの親であるトーベ・ヤンソン女史はスウェーデン系フィンランド人で、げんざいムーミンワールド(テーマパーク島)はフィンランドの首都ヘルシンキとスウェーデンの首都ストックホルムの中間ぐらいに位置する観光地ナーンタリにある。フィンランド国籍でまちがいないけど、スウェーデン語でまちがいないので「舞台がフィンランド」はアニメ作品のことだとしても首をひねっちゃう。
たとえば宮部みゆきさんのお気楽ファンタジーには以下のような文章があります。

「アクアテクは水と緑の街。デン湖という大きな火山湖の畔にあり、湖水を引いた水路が縦横に街中を巡っている。住民たちはボートやゴンドラを生活の足として使っている。さあ出番だ、頼むぞタカヤマ(※イラストの高山としのり画伯)。ずばり、ベニスとニースとジュネーブを足して三で割ったみたいな感じでよろしく。カリフォルニアもちょっと入っててもいいかも。」

宮部みゆき『ここはボツコニアン②』

ヤンソン女史の描いた作中の海岸線がフィンランド湾での思い出ソースだとしても、ムーミン谷じたいはまた別の場所、おさびし山とか砂州とかはフィンランドじゃないとこ、スウェーデンやノルウェーがモデルでもべつにいいわけである。MIX。
だから、問題文は×「舞台にした」→○「モチーフにした」でOKかとおもう。モチーフ:芸術表現をする動機である着想をさす


蛇足:センター試験で高得点だったヒトの5年後
センター試験に高得点で国公立大学へ進学し5年後社会人になったあるヒト(実在)の口癖は「これだから早稲田卒のバカはつかえない」である。ちなみに親しい間柄どうしの軽口ニュアンスではなく純粋な暴言(侮辱罪は30日未満の勾留または1万円未満の科料)だ。
だから、とゆうのもおかしいけど、センター試験で思うような点数でなかったとしても気に病まないのがおすすめだし、センター試験で高得点だったとしてもカンチガイしないのがおすすめです。

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