« 扇風機のアレは手で抜ける | トップページ | 野毛山動物園23 »

2019年8月 8日 (木)

自己実現犯への対処案

※この記事は犯罪に関する記述が多数登場します。犯罪被害に遭ったかたや近親者関係者、子どもには苦痛の可能性が高いです。
そうじゃなくてもかわいい動物の写真とか見たほうが精神衛生にいいとおもうので、以下スクロールしないことをおすすめします。

A_20190724202401
フンボルトペンギンのヒナの写真をお届けしております






2011年8月31日の渋谷ライブハウス放火未遂事件を思い出してもらいたい(以下情報が不確実で申し訳ない)。
場所は渋谷東急ハンズ向かいのビル地下1Fにあるライブハウス・CHELSEA HOTEL(チェルシーホテル)。
2003年2月にオープンしたオールスタンディングで定員300名という、いわゆる「小さい箱」。
当日は「水曜日は無料ライブの日」(受付時に要ドリンク代)とゆうチケット不要イベント中。
お客さん、出演者、スタッフ合わせて100人ほどが店内にいたそうだ。
初めて来た大阪在住の男性客(当時23歳)が受付でドリンク代を払って入場した。
出刃包丁、催涙スプレー2本、マッチ、ガソリン7.7リットル、バケツを携えて。
出演者や客からの知らせで支配人が駆けつけたときにはバケツでガソリンをフロアに撒いてる途中。
さらに催涙スプレーを噴射した犯人を支配人(当時30代男性)やスタッフ・演者・客などで取り押さえ、その後避難通報。
気化したガソリンを吸い込んで気分が悪くなったひと、過呼吸を起こしたひとなど10人弱が救急搬送された。
最も重症だったのは取り押さえる際に、右手を打撲した支配人だったらしい。

作者は現場にいたわけじゃないけど、チェルシーホテルには行ったことがある。
入口に放火されたら絶望的だとおもう。ここに限らず小さいライブハウスはどこも出入り口が狭い。
すぐ思い浮かんだのは、①居合わせた方々が止めてくれてよかったし(無事じゃないけど)無事でよかった
②ここである理由がピンと来ない、とゆうこと。
法廷で被告は「しにたいが、じさつするのはもったいない。悪い形でも注目されたかった。大勢を巻き込んで派手にしにたいと思った」
と証言したらしいけど、渋谷駅周辺に「大勢」入れる「派手な」施設ってたくさんあって、
例えば徒歩圏内にO-EAST(定員1300人)とかオーチャードホール(最大2150席)とか、
なのに「小さい箱」でもお客さん数十人でも「大勢」と認識したのか。大規模施設と比較して警備が手薄だから?
※そもそも1人も巻き込むのも放火もナシだけど、その手前の話をしております

2005年大阪府東大阪市で4歳児がハンマーで殴打された(重傷)事件の殺人未遂容疑で少年院送致(当時17歳)になった当人である。
6年前も、重大犯罪を起こして「有名になりたい」「自己実現」と考えて犯行に至ったと法廷で明らかにされてた(どの程度、本心と呼べるかはだれにもわからないけど)。
6年後も、同様の動機でわざわざ大阪から渋谷まで移動して未遂事件を起こして今回は報道されたので未成年時とは違い、有名になった。判決は殺人予備や現住建造物等放火予備罪などで懲役4年。
これで、犯人はしあわせになったのか?
「放火」とゆう衝動的で暴力的で投げやりな目的のために、綿密で手間のかかる準備を行う忍耐力を発揮し、
「注目されたい」とゆう承認欲求のために、大勢のひとから嫌われる(憎悪される)自己敗北的な犯罪を選択した。
目的と手段の解離性が大きすぎるとおもう。
そもそも「そんなことしたら嫌われる」って事実に気づいてないのか。愛されたいなら、ふつうに親切にしたらいい。
そうゆう意味では脳疾患精神疾患、感覚器系の機能不全等の可能性は高いか、と感じる。
だからといって医師は最後のストッパーにはならない。あのヒトたち、医師国家試験に合格しただけのただのヒトだし。

☆とりあえず精神疾患患者のうち30%を占めるうつ病の基礎知識から押さえておくのがおすすめです☆


加藤忠史『うつ病治療の基礎知識』2014年


そしてこの事件後、支配人によるwebページでの一部始終説明が印象深い。(以下、抜粋)
チェルシーホテル

「私は、前々からこのような無差別殺人のニュースに心を痛めていて、もし自分の周りでこういうことが起こったらどうしようと考えていました。そして、少なくとも自分の店でこういうことが起こったなら、迷わず自分が真っ先に行くんだということだけは決めていました。おかげで迅速な対応が出来たと思っています。」
「誰かに妬まれたり恨まれたりするような要素は全くありませんでした。ただ単に流行っているから客が集まりそうだからということだったのだと思います。」
「今回、来てくれたお客さんや出演者の皆さんには、怖い思いや悲しい思いをさせてしまって、もう2度とチェルシーホテルには行きたくないと思っている方もいるかと思います。(中略)お客さんたちの心が癒えてまた遊びに行こうかなと思ってもらえるようになるまで、また1から頑張りたいと思います。」

理不尽にひどい目に遭わされた直後でも、お客さんを心配していた。加害者と被害者の発言の温度差が絶望的に遠い。

この差の根源、諸悪の根源たる悪徳は「ずうずうしさ」じゃないかとおもう。
頭が悪くても、性格が悪くても、病気でも、他人(人間社会)にとってはとくに問題ない。
ただ、ずうずうしいだけで途端に実害がでる。
2015年カナダの有名不倫サイト「アシュリー・マディソン」から約3200万人分の個人情報が漏洩して世界中が修羅場になった。
先月テキサス大学はその個人情報と不法行為のあいだに強い相関を見いだし「不倫をする人は職業上の不正に手を染めやすい」研究結果を発表した。まあ、そうだろうな、とゆう肌感覚通りの結果だ(研究結果が肌感覚と真逆になることはよくある)。

≪囚人のジレンマ≫で知られるように、ぜんいんが利他的に行動するとぜんいんが利益=公益を得られるにも関わらず、己のわずかな利益のために他人の人命を犠牲にするのである。ずうずうしいひとは計算しないらしい。
「世界は囚人のジレンマだらけである。万引き、脱税、不正乗車など、他の人全員が支払っている限り、自分はうまくただで済ませられるが、誰も支払わないと決心すると、全員が痛い思いをする。(中略)二つの国が核兵器を配備するかどうかを決めようというときには、その論拠はこうなる。『相手国が唯一の核兵器保有国になったら、我が国は不利な立場に立たされる』したがって、両国とも核兵器を開発する。だがともにこのような政策をとると、両国が望んだ有利な立場は、実際には不幸な状況を生む。もしも、どちらも最初から核開発を行わなかったとしたら、はるかに安全な状況になっただろう」

レト・U・シュナイダー『狂気の科学/真面目な科学者たちの奇態な実験』2004年

残念なお知らせ:極刑が死罪だなんて、おめでたいやつらの考えたルール
死のペナルティは「殺人のための殺人」の抑止にはならない。しいて言えば2度目のストッパーであり、1度目のストッパーとしては機能しない。1980年代の殺人事件における性差について、加害者の80%が男性、さらに男性加害者は関係性の薄い相手に短絡的に犯行に及ぶ傾向、女性加害者は関係性の高い相手への犯行の傾向が強いとゆうデータがあった。現在は殺人事件の半数以上は親族間(関係性濃い)で起きてる。
通り魔殺人や大量殺人は20代から40代男性による犯行というデータは、いまでも確率論として妥当である。
通り魔殺人事件の定義は、人の自由に出入りできる場所において、確たる動機がなく通りすがりに、不特定の者を、凶器を使用するなどして殺害する事件(未遂含む)。「増えてる」みたいな言動をよく耳にするけど、実態としては年次によりバラバラでとくに増減傾向はないらしい。
現状起きてる犯罪傾向でいえば無差別な大量殺人に遭遇する確率よりも、親族に殺される可能性のほうがよっぽど高いのだ。
そもそも関係性の薄い相手に対して危害を加えようなんてずうずうしいヒトのセンスを踏まえて制度設計しないと予防・防犯効果は見込めない。さらにそこに自己実現の欲求が加わると、無差別よりもより残酷な理由で犠牲者を選択するのだとおもう。

有名だから
楽しそうだから
美しいから
平和だから
将来があるから

他者の美徳を破壊したぐらいでしあわせになれるほど、人生簡単じゃないよ。って言っても得心しないこととおもう。
ずうずうしい=センス悪い、のか、センス悪い=ずうずうしい、のかどっちが先かわからないけど。





最初、京都アニメーション放火事件は模倣犯かとおもった。8年前の事件と同様に、時期は夏、埼玉から京都まで遠距離移動し、収監歴がある。
それに報道に触れたたいていのヒトが感じたとおもうけど、言動にまるで筋が通っていない。
「小説をパクられた」⇒だとすれば、アニメスタジオではなく原作を書いた小説家に文句いえばいい
「社長を呼べ」⇒脅迫なら放火後ではなく、“社長を呼べ、さもないと火をつけるぞ”じゃないと交渉材料にならない
放火現場から逃げて近隣住民に助けを求めた⇒ガソリン撒いて放火したら真っ先にじぶんがしぬ(痛い思いする)可能性を想定していなかった?
小説にしろ脚本にしろこんな支離滅裂なシナリオじゃ採用できないとおもう。センスが悪いという次元じゃない。
じぶんが何をしてるのかはおろか、じぶんが何をしたいのかすら、理解していないように見える。ふわふわ。
ウケ狙いのヒトに特有の行動様式に思える。自己実現犯じゃないのか? そして、自己実現したいなら小説書けばよかったのに。
断片的な情報をもとに何事も言うべきじゃないけど、どこか効果的なストッパーの置き所はなかったかとずっと考えてる。
システマティックに少なくとも3ヶ所はほしい。でも、いまのところ非現実的か人権侵害な方法しか思い浮かばない。
タイミング0:近隣トラブル時×
事件以前に居住地の近隣トラブルで周辺住民が警察に相談してたらしいが、被害届や刑事告訴=捜査の段階ではなかったようだ。
転居予定あるいは転居後でもないと近隣住民を訴えたりするのは難しい、報復を受ける可能性が高いので。
タイミング1:現地ホームセンターで携行缶・台車・着火剤・ハンマー・包丁購入時×
1度にぜんぶではなく、何度かに分けて購入したのなら不審な点はないので止めるタイミングにはならなかった。
仮に新幹線や長距離バスで手荷物検査実施してたとしても、凶器を現地調達されればこの事件の抑止にはならない。
タイミング2:ガソリン購入時×
携行缶を持って身分証も見せて「発電機に使う」と使用目的を答えて購入したのなら正規手続きなので止めるタイミングにはならなかった。
消防庁が規制強化を検討してるみたいだけど、効果的な手続きが思いつかない。登録制にしたとして、「放火しよう」なんて考えるずうずうしいヒトが有印公文書偽造罪を躊躇するだろうか? どっちみち車や船等から盗めばいっしょである。
タイミング3:下見&野宿時×
もともとオーバーツーリズムなほど観光客の多い京都で、しかも聖地巡礼=コンテンツツーリズムといえば代表例としてまっさきに挙げられるのが『らき☆すた』(2007年)と鷲宮神社である。京都アニメーションの第1スタジオ自体も聖地巡礼地であり、ファンは建物前で記念写真を撮ったりしてたそうだ。かなりウロウロしても怪しくないのである。つらい。
それでも周辺は住宅もあるので、公園に野宿者がいれば不審者通報の可能性はあった。警察が職務質問と所持品検査すれば、包丁購入後なら銃刀法違反や軽犯罪法違反と判断されただろうか。しかし事件前の目撃者は「とくに不審だとは思わなかった」と答えてた。
仮にあともう1日野宿してたら通報されたか。夏休み始まった子どもたちが不審がって。でも犯人もそれをわかっててこのタイミングだったのかもしれない。あるいは玄関が開錠されたタイミング(NHKが来訪予定だったそうだ)を見逃さなかったのかもしれない。

岡本亮輔『聖地巡礼―世界遺産からアニメの舞台まで』2015年

どのルートからもこぼれ落ちてスタジオの入口にガソリン持ってたどり着いてしまうのである。
最後のストッパーは人力になるけど、出火時に「女性の悲鳴が聞こえた」となると運悪く玄関にいたのは女性の方だ。
身長180cmほどある大柄で殺意と武器持った人間を止めるなんてむり。つらい。

建物も設備も防火防犯対策もごくふつうか、むしろちゃんとしてるほうだと感じた。
他人事じゃないアニメスタジオは警備強化策とかすでにとってるとおもう。
けど、スタジオじゃなくてもこうゆう小規模な事業所って日本全国津々浦々どこにでもあるよね。
低層建築に階段とエレベーター、入口が社員証で開錠するオートロックで、オープンフロアにデスクPC並べて、仕切りはあってもパーテーションぐらい、夏は窓締め切りでエアコン、窓の外にベランダ、屋上にベンチ、来客があれば社員が開錠して来客用の入館証を渡す。
ごくふつうだよね?
外階段なし、スプリンクラーなし、防犯カメラあり、火災報知器あり、防災ベルあり、消火器あり、サーバールームは防火区画設計。
事件の報道を受けてはじめて気づいたんだけど、おれ、事業所で消火訓練ってしたことない(忘れてるだけかも)。
避難訓練のおぼえはあるけど、消火器使い方うろおぼえ。心肺蘇生とAED講習はおぼえあるけど。
消防法って、ガソリンで放火されることや爆撃機で空爆されることを想定して制度設計されてない。
たとえば陶磁器好きなかたはご存じだとおもうけど、
・陶器:900~1200℃で焼成
・炻器:陶器と磁器のあいだ(半磁器)900~1400℃で焼成
・磁器:1300~1400℃で焼成
あるいは、ごみ焼却炉詳しいかたはご存じだとおもうけど、
・ストーカ式焼却炉の燃焼温度:850~950℃
・ガス化溶融炉の燃焼温度:1300~1400℃
そして本件の凶器、ガソリンの燃焼温度は条件によっては1500℃である。
やきもの窯よりも焼却炉よりも一気に高温になるなんて、どんな防火対策も無価値。
スプリンクラーあったって設備ごと爆発破壊されてしまうわけだし。
それに、しつこく下見してたのなら、外階段あったとして外階段にも放火されただけだとおもう。
かと言って、デスクやパーテーションを不燃材や難燃材にすることまで義務化すると、今度は経営圧迫材料になる。
それにPCなどの機器や書類は可燃物、ノートPCやカメラなどのバッテリーなんてある意味発火装置だけど事業所から排除できない。
最初の爆発で窓ガラスが割れて酸素供給路ができてしまい、玄関付近のらせん階段から煙突効果で建物全体に煙とガスがまんべんなく広がったようである。予想到達時間が30秒。消防車到着が通報から5分後。鎮圧は5時間後、鎮火は20時間後である。
被害者の大多数が階段付近で倒れてたというのは一酸化炭素中毒か高温の煙とガスを吸い込んだ呼吸困難だろうか。
まちがいなく全力で逃げようとして生きようとして階段までしか移動できなかったという現実。
もしも屋上に出られる扉までたどり着いたとして、高温になった取っ手をつかめただろうか。
仮に開けられたとしたら、まずバックドラフトが発生したんじゃないだろうか。
アリアドネの糸がどこにも見つからない。

勤務中に突然亡くなっただけでもご家族の打撃は計り知れない。でもそれだけですまなくて。
こんな高温のなかに5~20時間横たわったご遺体の損傷が著しいことは想像に難くない。おそらく炭化。
警察は事件事故で損傷が激しいご遺体を家族に見せない措置をとることがある。そのまま葬儀を執り行うことをすすめるのだ。
もう話せないだけじゃなく、本人の意思で動けなくなったあと姿かたちを傷つけられたなんて、耐えられるだろうか。
近親者の不在をかなしむのは自然なことである。でも負荷が大きすぎるとそれをきっかけに様々な疾患を発症することはめずらしくない。適切なケアが間に合わずそのまま自死してしまうこともある。
京都府警は案じてるのだ。対応の方向性としては合ってるとおもう。
それが誰であれ家族の自宅へ押しかけるのはほんとうにやめてほしいと思ってる。作品越しでいい。
被害者氏名公表されて何するって、アニメファンがクレジット見ながら泣くだけ。もう散々泣いてるとおもうけど。
むりに公表する必要性が、だれかの疾患リスクや自死リスクより上回ることはない。
現時点でじゅうぶんな悲しみをこれ以上増やさなくていい。


これらぜんぶを踏まえて自己実現犯への対処案
①迷わず逃げる
②迷わずなぐりころす

効果的なストッパーの置き所が見つからない現状では、殺意と武器持ったひとが目の前に現れる確率を今後も下げられない。
でもオン・オフ問わずこちらは丸腰だし、知らないひとに対して一片の殺意も持ち合わせていない。
「止める」「説得する」といった選択肢は捨てる。相手は人間の体温を持った厄災でしかない。
①を選んだ場合、次にやることがあって「救援を呼ぶ」である。もう災害マターか戦場マターだ。
なんで②があるのかというと、生存者の罪悪感はひとそれぞれで罪悪感に耐えられないひともいる。
ただ素手で後手で圧倒的に不利だし、万が一既遂してもひとごろしだし、正当防衛主張するのはたいへんだ。
それでも大事なことは、A前もって、Bじぶんで、決めておくこと。
とっさに出てくる言葉はふだん考えてることだけだし、とっさにできることはふだんやってるあるいはやろうと決めてることだけ。
どうか迷わず逃げてほしいし、そして救援を呼んでほしいとおもう。

でも1番の疑問は、京都アニメーション作品をみたことがあれば自己実現犯になんてならない、という部分。
説得力のあるコンテンツは犯罪をはじめとする社会のネガティブな現象を減らすのに貢献してきたし、これからも作品はポジティブな波紋を広げ続けるとおもう。


最後にかわいい☆チーターの写真をお届けします
1_20190724202401
チーターは背中から見るとほぼ棒(ラブリー♡)

2_20190724202401
足を動かすとチーターだとわかる(ラブリー♡)

3_20190724202401
この姿勢だとチーターの顔を持つ別の生き物っぽい(ラブリー♡)

« 扇風機のアレは手で抜ける | トップページ | 野毛山動物園23 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 扇風機のアレは手で抜ける | トップページ | 野毛山動物園23 »

無料ブログはココログ