2015年5月17日 (日)

文楽5月公演@国立劇場小劇場

東京・半蔵門にある国立劇場小劇場へ文楽5月公演を観に行ってきました。五月晴れ(誤用のほうのイミで)&薫風が心地よい日でした~。

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皇居側から見た入口(もさもさ)

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あまり目立たないインフォメーション(もさもさ)

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風に舞う“二代目吉田玉男”襲名お祝いのぼり(もさもさ)

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鯉のぼりもビュンビュン泳いでいた(もさもさ)

国立劇場の前庭にはめずらしい梅とか桜とかがたくさん植樹されていて、今回の公演『一谷嫩軍記』に登場する“熊谷桜”が確かここらへんにー…………、とおもってウロウロしてたんだけど…………なんか全体的に緑色がまぶしすぎてよくわからないなー、ま、いっか☆ ←ちゃんと見れば樹種プレートある。もっとがんばれ☆

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新緑が目と心にまぶしい☆ (右手のもさもさはたぶん桜の樹です)

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小劇場入り口の1分刻みタイムスケジュールはオンタイムで定時運行されます

≪文楽五月公演 縦書き字幕付き≫

第一部 『五條橋』ごじょうばし 11:00-11:17
      (休憩10分)
      『新版歌祭文』 しんぱんうたざいもん 11:27‐12:42
      野崎村の段
      (休憩30分)
      吉田玉女改め二代目吉田玉男襲名披露口上 13:12‐13:22
      (休憩10分)
      襲名披露狂言『一谷嫩軍記』いちのたにふたばぐんき 13:32‐15:22
      熊谷桜の段・熊谷陣屋の段

第二部 『祇園祭礼信仰記』ぎおんさいれいしんこうき 16:00‐17:49
      金閣寺の段・爪先鼠の段
      (休憩30分)          
      『桂川連理柵』かつらがわれんりのしがらみ 18:19‐20:21
      六角堂の段・帯屋の段・道行朧の桂川

作者が観たのは第一部のみです。基本的に玉女さんの襲名披露めあてなわけですが、第二部も『桂川連理柵』の帯屋長右衛門は玉女さん改め二代目吉田玉男さんが主遣いなので、ほんとは全部みるべきかな。
ご存じない方のために説明すると、休憩時間はロビーや2Fだけでなく劇場外をウロウロするのもオッケーです。(再入場時にチケット半券提示)

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満員御礼

お客層 男女比 3:7 年齢層 平均すると50~60代くらい

※古典演目だけど公演期間ちゅうなのでネタばれちゅうい

『五條橋』ごじょうばし 1731年初演・時代物舞踊劇←お人形がおどります☆
大夫さん 豊竹睦大夫・豊竹始大夫・竹本小住大夫・竹本文字栄大夫
三味線さん 野澤喜一朗・豊澤龍爾(←イケメンと評判)・鶴澤清公・鶴澤清允
人形遣い(主遣い)さん 桐竹紋臣・吉田勘市
牛若丸(源義経)と武蔵坊弁慶の橋の上での運命的な出会いを描いた、現代人にもうっす~ら馴染みのある一場面。17分というコンパクト演目でもある。
秋、月夜の川にかかる橋上で、あでやかな女姿をした牛若丸のふわっと軽い動きと、力強く武器を扱う弁慶のコントラストが闇に浮かび上がって(2人きり)視覚的にほれぼれします。
背景は京都の東山三十六峰(か、どうかわからないけど)の山々と東寺の五重塔のシルエット。牛若丸が広げる黒地に日の丸の扇子と背景の満月が重なり、また三味線さん4人の撥のストロークと弁慶の頭の動きがピッタリ揃うなど、秩序だった様式美がギュッと詰まっております(たぶん)。あと黒衣の足遣いさんが一生懸命足を踏み鳴らしているのが丸見えなのも見どころ(たぶん)。欄干の右側に「五條橋」、左側に「ごぜうばし」って書き込んであるユーモラス(?)なセットも見どころ(たぶん)。

『新版歌祭文』しんぱんうたざいもん 1780年初演・世話物←“お染・久松”として有名な心中事件がテーマ☆
≪野崎村の段≫
中 豊竹芳穂大夫&鶴澤清馗
前 豊竹呂勢大夫&鶴澤清治(←人間国宝)
奥 竹本津駒大夫&鶴澤寛治(←人間国宝) ツレ鶴澤寛太郎
おもな役の人形遣いさん 娘おみつ 吉田勘彌
         丁稚・久松 吉田清五郎
         親・久作 吉田文司
         娘お染 吉田一輔
舞台は大阪、ウグイス鳴く梅の季節。油屋の丁稚である久松(美少年)が奉公先の娘さんであるお染(美少女)と恋仲になってしまったうえに(主家と奉公人の恋はタブー)お店でモメモメしたあげく(ざっくり)、養親である久作の家(野崎村の農家)へ戻される。久作はこのタイミングでかねてより久松の許嫁としていた自分の妻の連れ子・おみつと祝言をあげさせ、いま病床にあるおみつの母親を喜ばせようと提案する(決定)。
そこへ久松を追ってきたお染ちゃん(こちらも親のすすめる縁談あり)登場。まっさきに気付いたおみつは嫉妬で怒り追い払ってなおプンスカ……ちょうかわいい。きゃわ~♡ ※しばらくお待ちください
久松におみつという許嫁がいたうえに(知らなかった)いじわるされて外でションボリするお染ちゃん……きゃわ~♡ ※しばらくお待ちください
モメモメしたあげく(ざっくり)おみつが尼になって自ら身を引く、けなげ展開です。さらにお染の母、お勝が登場してふたりとも店へ戻るんだけど、久松は駕籠、お染は母と船に乗ってバラバラに帰るのが遠慮(?)だという。
ハッピーエンドと呼ぶにはびみょうに後味よくないせいか、ラストは船頭のコミカルな動きでお客をホッとさせておしまい、だ。
お客さんほぼ全員がおみつちゃんのけなげ展開を知っているせいか(たぶん)、おみつちゃんのプンスカを温かく見守ってケラケラ笑っていた。伝統芸能における女の子の描写はほんとに可憐だよな、とおもう。

吉田玉女改め二代目吉田玉男襲名披露口上
2006年に逝去された初代・吉田玉男さんのお名前を襲名することになった吉田玉女さん改め二代目吉田玉男さんのお披露め会。裃姿の大夫さん・三味線さん・人形遣いさんがズラッとならんで壮麗である。
竹本千歳大夫さんの仕切りで順番に口上が述べられるんだけど、豊竹嶋大夫さん(8代目・切場語り大夫さん・83歳)の口上が“切”だった。間違いなくマイクいらないよね、ってゆう語りに感激したあとの、鶴澤寛治さん(7代目・人間国宝の三味線さん・86歳)のふわっとした関西弁に胸キュンである。三味線さん普段しゃべんないから舞台上でもごくふつうのしゃべり方なので新鮮。
鶴澤寛治「……玉男にいさんの身の回りの世話をしている、かわいらしい学生さん(※大学生ではなく当時・中学生の玉女さんのこと)がいたので、にいさんのお子さんですか? ときいたら、ちがう、あれは近所の子や、というので……」
客「!」
現在61歳の玉女さんがいまでも“近所の子”なんだな、という驚き(たぶん)で客席はドッと笑った。その後さらに桐竹勘十郎さん(3代目・人形遣い・62歳)のお話を要約すると「中学生のころから50年来つき合いの玉女さんが師匠の名前を襲名してうれしくおもっている」という話、勘十郎さんほんとにうれしそうだな、と感じた。っていうか軽く50年の仕事仲間か、浮世とは時間の流れ方がちがうよなー、ともおもう。戦後の文楽界の分裂とか、松竹の撤退とか、こないだの大阪市からの補助金廃止決定とか……ちょういろいろあったのによく今こうして目の前で観られて……よかったな、とおれも客席でおもう。玉女さん改め吉田玉男さんは大事にされている。

襲名披露狂言『一谷嫩軍記』いちのたにふたばぐんき 1751年初演・時代物←熊谷直実(くまがえなおざね)は初代・玉男の当たり役らしい☆
≪熊谷桜の段≫豊竹松香大夫&鶴澤清友
≪熊谷陣屋の段≫
切 豊竹咲大夫&鶴澤燕三
後 竹本文字久大夫&鶴澤清介
おもな役の人形遣いさん 妻・相模 吉田和生
                藤の局 桐竹勘十郎
                石屋弥陀六ジツは弥平兵衛宗清 吉田玉也
                熊谷次郎直実 吉田玉女アラタメ吉田玉男
                源義経 吉田玉輝
舞台は兵庫・須磨、桜が満開の季節。歴史的(平家物語的)には一ノ谷の戦いで若侍・平敦盛(笛の名手にして美少年)が討ちとられた件にジツは~後白河院と藤の局の子であることを知っていた源義経が熊谷桜の前に置いた制札で熊谷に暗黙のメッセージ(?)「一枝を伐らば一指を剪るべし」(←書いたのは弁慶)を命じ、自身の子・小次郎(敦盛と同年代の16歳)を身替りにして首をさし出し、敦盛のほうは鎧櫃に隠してそっと生きのびさせていた(天皇家の血筋だから)という大どんでん返しストーリーです(たぶん)。
なにしろ平安時代末期の武士たちの建前と義理で進行するので、本音はグッとこらえ隠されているため、熊谷直実も源義経もあんまし動かない。抑制された感情表現は観ているほうも腹部に力はいる。さいごのさいご「十六年も一昔。夢であつたなあ」でやっと泣く。動きがあるのは妻・相模と藤の局ばかりである。ああ、相模ちゃんかわいそう~とおもった(そういうことじゃ全然ない)。

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ロビーはちゃんと熊谷の清酒“直実”の酒樽でにぎにぎしく☆

雑談:人形浄瑠璃文楽をはじめて観たのは6~8年前だったとおもう。そもそも作者のだいすきな岡本綺堂『半七捕物帳』に「人形使い」という一篇があったため、一生に一回くらい文楽観てみたいな、という軽い気持ちだった。

光文社新装版だと3巻に収録

とりあえず東京は半蔵門の国立劇場で(大阪の国立文楽劇場や地方公演と交互なので毎月やっているわけではない)観られるらしいとわかったのでチケットを取……とれなかった(期間ちゅう自分が行きたい日に)。それまで自分の周囲に文楽ファンがひとりもいなかったのでぜんぜん知らなかったが文楽ファンの方々気合い入っているんだな、ということが判明。で、次の公演時にチケットをゲット、しかもはじめて観劇した日は満員御礼幕(幕だった気がする)出ていて、ほんとに人気あるんだなーと実感したんだけど……いざ、はじまるとわりとすぐ隣席のじいさんがウトウトし始めた。しばらくたつと前方のばあさんもウトウトしていた。文楽ファンの方々、気合い入っているんだか、ゆるいんだかわからん☆ とおもったものである。でも、切(切場語りの最高位大夫さんが語る)やクライマックスになるとムクッと目覚めた。あー、こうやってギアはロー(1速)で観るのが正解なのか、ふんふんと学んだ。長丁場だからね、あ、でももしイビキかき始めたらそれはトントンしてあげてね♡
で、そん時に「人形遣いさんにかわいらしい名前の方がいるなー、お、あの人か。おぐしがすてき♡」と印象に残ったのが玉女さんである。初代・玉男さんはすでに亡くなっていたのでその芸術を知らないのだけど、ただ“かわいらしい”名前じゃなかったら、おれが時々文楽を観るようにはならなかったかもしれないので、名付けた初代にかってに感謝☆

今日まで300年あるいは1000年続いたからって、今日から300年あるいは1000年続くかといえばそんなことはぜんぜんなくて、むしろいずれ滅亡する確率は常に100%である。ある日突然なんの相談もなく生まれさせられて、ある日突然なんの予告もなく死ぬのが人生だ。なにが言いたいのかというと、明日でも来週でもなくて今日、すべて最後の覚悟で観るのが観客としては唯一の正解だとおもっている。でも、ときどきウトウトしながら☆

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劇場裏の伝統芸能情報館は「文楽入門」展示

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玉女さん改め二代目吉田玉男ファイルのマニアックさにときめく☆

2014年9月13日 (土)

新作文楽『不破留寿之太夫』@国立劇場

東京・半蔵門にある国立劇場へ新作文楽『不破留寿之太夫』(ふぁるすのたいふ)を観に行ってきました。

ウィリアム・シェイクスピア(1564‐1616年? イングランドの劇作家)による芝居『ヘンリー4世』『ウィンザーの陽気な女房たち』に登場する騎士“サー・ジョン・フォールスタッフ=ふぁるすのたいふ”を主人公にした新作文楽です。文楽は300年も以前に近松門左衛門(近松の門ちゃん!)が作った床本ばっかり演っているわけじゃな……シェイクスピアは軽く400年前の人物か……あれ?
原作のフォールスタッフは、金に汚く詐欺盗みを働き、でっぷり太鼓腹の酔いどれヘタレの女好きで恥知らずのコンコンチキ老騎士です。せっかくなのでもう一度いおう、コンコンチキ野郎☆


いや~、お人形がちょうオシャレでした~。せっかくなのでもう一度いおう。ちょうオシャレ☆
そして監修の鶴澤清治さん(←1945年生まれ・人間国宝の三味線さん)はロマンチストだ。そして、ふぁるすのコンコンチキを愛しすぎている。

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夜の国立劇場

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3部構成のうえ第3部が19時はじまりなのは「芸人はうまいもへたもなかりけり。行く先々の水にあわねば~」by噺家、の現代の水に合わせた結果? 別にちがうかも。

第1部 11:00~15:30幕間あり 『双蝶々曲輪日記』ふたつちょうちょうくるわにっき
第2部 16:00~18:30幕間あり 『近江源氏先陣館』『日高川入相花王』
第3部 19:00~20:20幕間なし 新作『不破留寿之太夫』ふぁるすのたいふ

作者は第3部のみ鑑賞です。

お客層 男女比4:6 年齢層 平均しちゃうと40歳くらい
! お若いひとたちがいる! (アンダー30歳くらい。おひとりさま・集団さま問わず) 演目と曜日にもよるけどふだんはジジ&ババが大勢である。それにちびっこ連れのファミリーがいる……! なんで……? シェイクスピアだから? それともコンパクト上演(80分)だから? 国立劇場は3部構成にした甲斐があったな! (←気軽さはだいじ) 席の埋まり具合は7~8割というところだったので当日券でもよかった。

※ネタばれちゅうい

新作文楽『不破留寿之太夫』ふぁるすのたいふ 80分・幕間・字幕なし。
監修・作曲 鶴澤清治
脚本 河合祥一郎
装置・美術 石井みつる
所作指導 尾上菊之丞
作調 藤舎呂英

大夫さん 豊竹英大夫 豊竹呂勢大夫 豊竹咲甫大夫 豊竹靖大夫
三味線さん 鶴澤清治 鶴澤藤蔵 鶴澤清志郎 豊澤龍爾(←イケメンと評判) 鶴澤清公
人形遣いさん
ふぁるす 桐竹勘十郎
春若(ハル) 吉田和生
居酒屋お早 吉田蓑二郎
蕎麦屋お花 吉田一輔
旅人 桐竹紋臣
居酒屋亭主 吉田勘市
蕎麦屋亭主 吉田玉佳

文楽廻し(今回はまわらない)に腰かけた大夫さん&三味線さん全員の肩衣になんか変わったウネウネが入っているなーとおもっていたら、草原をあらわしていたらしい。うん、ちょっとわかりづらい。
さいしょ幕が上がってすぐ、彼方から魔法使いが降ってきたなー、居酒屋の場面でもしれっと座っているなー、とおもっていたら、あいつシェイクスピアだったらしい! え、気付かず。おれ、鈍感なのかな。

ふだんの古典文楽とちがうところ7点(演目にもよるけど)
①黒衣の人形遣いさんによる「東西~東西~○○の段~カチカチ(柝の音)」はなし
②琴&大弓(おおきゅう)がシャラララ~ン♪とはじまってから緞帳があがるため、客席が拍手するタイミングを見失う。っていうか大弓ってはじめて見たぞ。胡弓の大きいバージョンみたいなかんじ。絃を引くための弓が大ぶり。
③ちょうカワイイ音がいろいろ鳴っていた
④LEDやストロボをはじめ舞台エフェクト多用
⑤出遣い(お人形を3人1組で操る人形遣いさんのなかでも頭を操るメインの方。ふだんはオールバック髪型で袴姿)のかたがたが黒衣姿だった。出遣いさんが登場すると拍手したいもんなんだけど(花形だから)お顔が見えないので、「ん? 桐竹勘十郎さん……だよね?」というかんじでやっぱり、客席が拍手するタイミングを見失う。舞台が星月夜設定なので、お人形を浮かび上がらせるため?
⑥花道もないのにお人形が客席乱入ハイタッチ(ハイタッチはしないけど。したらいい)しちゃう
⑦シェイクスピア本人が登場しちゃう

人形がすごいことになっていた。パッと見はお着物なんだけど、時間がたつにつれ14世紀から17世紀半ごろまでフランス(ヨーロッパ?)で流行っていたプールポワン&キャノンズに見えてきた。ガイド本で美術・石井みつるさんが「スラッシュ(=切込み装飾)を入れて……」という話をされていたので、合ってる! 鈍感じゃない! 角度によってオリエンタルにもアジアンテイストにも道化師にも見えるってゆうミステリアスなお衣裳でした。とりあえず、ちょうオシャレ☆
みんな華美なピアスしているし、布地の表面にデコレーションされたビジューがキラキラキラ~☆ ってしてるし。ヘアスタイルも派手! あとファンタジー設定だけどヨーロッパ人っぽく(?)ボディに厚みをかなり出していたような気がする(ふぁるすは破格の奥行き)。逆にふぁるすの“へそピ”はあまり目立っていなかった。もっと下品にしたらよかったのに。

一番客席が盛り上がったせりふはラスト場面
ハル「前代未聞の大越冬ぢゃ!」

せりふは幕切れにおけるふぁるすの独白以外は、ほぼずっと軽妙爽快である(独白はちょいマジメ)。

ぜんたいとしては≪浮遊系スペクタクル・ロマンス≫カテゴリーなので(そんなカテゴリーない。いま作った)、現代美術家の杉本博司さん&鶴澤清治さんの演出・作曲で作られた杉本文楽:曾根崎心中とおなじ系譜に属する、とおもわれる(作曲どちらも清治さんだし)。縦に深い空間の使い方に特色がある(古典文楽は平べったい空間がおおい)。
≪浮遊系スペクタクル・ロマンス≫というジャンルは、ほかに2003年の野村萬斎さんによる舞台・ハムレット、山海塾、プラネタリウム、星月夜と風雪がカテゴライズされています(たったいま作者が認定しました)。

↑こちらも翻訳は河合祥一郎先生でした
山海塾『降りくるもののなかで―とばり』
国立天文台三鷹キャンパス観望会

じつは劇場なんか(失礼!)に足を運ばなくても、星月夜や風雪(自然現象)がお芝居としては最高傑作です。浮遊系スペクタクル・ロマンス☆

個人的には原作に登場する口上役“噂”(←キャラ名)がいちばん好きなので、出してほしかった(内容的に不可)。
『“噂”登場。一面に舌の模様を描いた服をつけている。
噂「さあ、耳を開いて聞きな。それがし、“噂”が大声でしゃべろうってんだ、耳に蓋するわけにはいくまい?……」』
……舌の模様って! そう、いちばんの遊び人でコンコンチキなのは、清治さんでも、ハルでも、ふぁるすでもなく、シェイクスピアだ。もっとキツイやつをぶち込まないと、だれもあいつに勝てない。だから、ふぁるすはもっと下品なほうがいいとおもう。

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床本付きガイドは700円(第1部&2部パンフとは別にわざわざ用意されたスペシャル版)

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中秋の名月・前夜の小望月

当夜は悪天候。「中秋の名月、10年に9年は見えず」by江戸っ子

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中秋の名月・後夜の十六夜月

舞台の背景は↑こんな≪浮遊系スペクタクル・ロマンス≫で、たいへん眼福でした~☆

2013年9月21日 (土)

国立劇場文楽『通し狂言伊賀越道中双六』

東京・半蔵門の国立劇場小劇場へ文楽『通し狂言伊賀越道中双六』(いがごえどうちゅうすごろく)を観に行ってきました。

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【竹本義太夫300回忌記念】と銘打たれています。竹本義太夫(←人の名前・浄瑠璃語りの始祖)が1714年に亡くなったので。

第一部                     担当の太夫さんと三味線さん

和田行家屋敷の段 11:00~11:27 豊竹咲寿大夫(←イケメンと評判)&竹本小住大夫&鶴澤清公
                         豊竹松香大夫&鶴澤清友
円覚寺の段      11:29~12:20 (竹本相子大夫休演)豊竹靖太夫&鶴澤清丈
                        竹本文字久大夫&鶴澤藤蔵
休憩25分
唐木政右衛門屋敷の段 12:45~13:56 豊竹希大夫&豊澤龍爾(←イケメンと評判)
                        豊竹睦大夫&鶴澤清志郎
                        豊竹咲大夫&鶴澤燕三
誉田家大広間の段  13:58~14:27 豊竹咲甫大夫&野澤喜一郎
休憩10分
沼津里の段    14:37~15:13 竹本津駒大夫&鶴澤寛治(←人間国宝)&鶴澤寛太郎
平作内の段       15:14~15:39 豊竹呂勢大夫&鶴澤清治(←人間国宝)
千本松原の段      15:40~16:02 竹本住大夫(←人間国宝)&野澤錦糸&鶴澤清公

第二部

藤川新関の段 引抜き 寿柱立万歳 16:30~17:05 竹本三輪大夫&豊竹始大夫&豊竹咲甫大夫&豊竹咲寿大夫&
                    竹本亘大夫&野澤喜一郎&鶴澤清丈&豊沢龍爾&野澤錦吾&鶴澤燕二郎&鶴澤清允
竹藪の段             17:05~17:14 豊竹靖大夫&鶴澤寛太郎
休憩10分              
岡崎の段              17:24~19:29 豊竹芳穂大夫&鶴澤清馗
                            豊竹呂勢大夫&竹澤宗助
                            豊竹嶋大夫(←8代目。81歳)&豊澤富助
                            竹本千歳大夫&竹澤團七
休憩30分
伏見北国屋の段   19:59~20:40 豊竹英大夫(←66歳でも文楽の世界では中堅)&鶴澤清介(←61歳中堅)
伊賀上野敵討の段 20:43~20:52 竹本南都大夫&豊竹芳穂大夫&竹本津國大夫&竹本文字栄大夫&竹本小住大夫&竹澤團吾

人形遣い(お名前は出遣いの方。人形1体につき3人で操ります。左遣い、足遣いは黒衣です。1人で操るタイプもあります←奥行きがなくてペラペラでいっそキュート♡)
娘お袖 吉田文雀(←人間国宝)
和田志津馬 豊松清十郎
奴助平 桐竹紋壽休演につき桐竹勘十郎
沢井股五郎 吉田玉輝
唐木政右衛門 吉田玉女(←おぐしがすてき)
山田幸兵衛 桐竹勘十郎
お谷 吉田和生
娘お米 吉田蓑助(←人間国宝)
傾城瀬川 吉田一輔
呉服屋十兵衛 吉田和生
人形遣いさんは総勢40名。第一部・第二部を問わず同じ役には同じ主遣いの方がだいたい担当、また1人で何役か兼ねたり。人形が5人くらい一場面に登場すると舞台上には15人+α(小道具運びとか端役とか色々)がズラッといることになる。

お客層 30~60代  男女比 3:7 女性が多かったような気がする
文楽の場合、座席数560。上手には文楽廻し。(ご存じない方はNHK『にほんごであそぼ』をご覧ください)
作者は第二部だけ観ました。座席はほぼ埋まっているようにも見えたが満員御礼幕は出ていなかった。ほんとうは第一部・第二部通しでチケットを買おうとおもっていたのだが、第一部のソールドアウト速度がはやかった(いつも手抜かり!)ので第二部のみとなってしまった。むねん。やっぱりみんな沼津(沼津里の段・平作内の段・千本松原の段のこと。日本三大悲劇場面)ねらい。そして史上最高齢太夫となった住大夫さん(もうすぐ89歳。大正生まれ。人間国宝にして文楽界のアイドル)ねらいだろうな~。それとも夕方には帰宅したいねらいなんだろうか。いえいえ、作者はぜひとも岡崎の段(こちらも有名な悲劇場面)観たかったからいいんだけどね…………。一日で通しで観ようとすると幕間含めて朝11時~21時まで10時間いないといけないのでいいんですけどね(別日でそれぞれ観ればよい)…………本心は、くやしい! 第一部も観たかった! う~。11月に大阪の国立文楽劇場まで行くって手も(←同演目上演予定。内容を少し加えて)……。う~む。

なにぶん時間めいっぱいなので、第二部の開場時刻にまだ第一部ラストの『千本松原の段』おわっていない。そして第一部おわりで帰る方々の疲れつつも嬉々とした表情とすれ違った……くわえて、『藤川新関の段』はじまりの太夫さん三味線さんの生き生きとした気合い! これは、……直前の段すごかったんだろうな~、という空気! き~、くやしい!

と、作者は悔しがっていたのですが、丸2時間かかる『岡崎の段』で、やっぱり1日通しで観るのはおれにはキツいな、と諦観。
直後の休憩では「あ~つかれた~」「腰いたい~」「油断していた~」という疲労困憊のため息がロビーに降り積もっていた。『岡崎の段』は時間が長いだけでなく、雪がしんしんと降り続くなか、主人公の唐木政右衛門(=荒木又右衛門)が敵討ちのために身分を偽っている都合で、ちょう具合の悪い元・女房お谷を雪中へポイッと放り出し(ひどい!DVだ!)、おなじく元・女房が連れていた我が子(赤子)をグッサリやっちゃう(涙目で)。という、なんとも重~い場面なので重い。
『千本松原の段』『岡崎の段』両方いっぺんになんて贅沢な負担ですよ。くっ(まだ悔しい)。

ラストは『伊賀上野敵討の段』でグッサリ敵討ちを果たしてめでたし、めでたしである。
グッサリやった後のお客の拍手は「志津馬、政右衛門、よくやった!」というよりは「やった。大団円。ホッとした。ふ~」という気持ちも混じっていた。もちろん「ここまでよくぞ語ってくだすった!」というのもあるけど。もやし者の作者のみならずみんなもそんなに体力ない。

こうなったら、いっそのこと『鶴が岡の段』と『郡山官居の段』もやって1日12時間超公演にして持久戦に……11月の大阪・国立文楽劇場では朝10:30開演で『鶴が岡の段』もやるらしい……! なんと! 演者か見物に人死にが……! (だいじょうぶです)

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国立劇場のパンフレットは字数が多い上に床本付きで親切(600円)

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11月の歌舞伎公演は『伊賀越』かぶせなので「ダブル観劇キャンペーン」として、どちらも観劇すると複製の双六『諸芸尽し出世壽語録』がもらえるという企画。まにあっく。

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月齢8の宵月も出ていました

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