2018年9月26日 (水)

[世界を変えた書物]展@上野の森美術館

金沢工業大学主催の[世界を変えた書物]展を観に、台東区・上野公園内にある上野の森美術館へ行ってきました。予想以上に混んでましたが、よかった。

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むりょう

お客層 男女比4:6 年齢層 学生ぐらい~おじいさんまで?
比較的男性多め、その代わりチビッ子はいなかった。

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撮影可

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レプリカじゃなくて本物(?)の本による『知の壁』エリア

金沢工業大学ライブラリーセンターの『工学の曙文庫』とゆう、科学者たちの重要な発見・発明を発表した初版を中心に2000点を擁する稀覯書コレクションが、とりあえず入口にドーン。当初ディスプレイ(ハリボテ)かとおもいきや、本物らしい。
※遠目だし暗めなんで稀覯書じゃないかもだけど、とりあえず図書館の所蔵本だった

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落下防止策が講じられてた

地震発生時の高所の本は凶器だからな、とおもった。

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アインシュタイン(1879~1955年)の自筆研究ノート、けっこう字が細かい

さいしょの『建築書』エリアからアルブレヒト・デューラー(1471~1528年)の『人体比例論四書』(1528年)がしれっとあってビビる。500年前のヒトだし、いまでも読みたい本だし、グーテンベルクによって活版印刷術が発明されて間もないし(推定)。びっくりして撮り忘れた。


左はデューラー自画像、右は邦訳『人体均衡論四書』31320円也

ガラスケースに入った稀覯書を見たからって、なにも知識は増えないんだけど、もうこの時点で大満足である。デューラー、生きてたんだなー。

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目的のアイザック・ニュートン(1642~1727年)の『プリンキピア』初版(1687年)

比べると上下の本で印刷したヒトがちがうのかしら(扉下部の文字だけ異なる)。それとも1巻2巻に分かれてたのか? ラテン語の壁。訊けばよかった。

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ガラスケース下は鏡になってるので装幀が見える

初版1687年/第2版1713年/第3版1726年と出版されたが、2冊とも初版本の扉。ガラスケースに入った稀覯書を見たからって(以下同文)。ニュートン、生きてたんだなー。
ここは02『ニュートン宇宙』カテゴリーでコペルニクス(1473~1543年)、ガリレイ(1564~1642年)、ケプラー(1571~1630年)、ニュートンがぐるりと固まってる。展覧会フライヤーのトップに使われ、重要な書物として「チェック20冊」に選んだうちの5冊がココにあった。

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05『光』カテゴリーにもニュートン『光学:反射、屈折、光の伝播と色について』初版(1704年)があった

説明文「(略)現代の光学理論が認める粒子と波動という光の二重性格を提示していた」らしい。えらいなー、ニュートン。そして英語だ。

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05『光』カテゴリーのニュートンのそばにゲーテ(1749~1832年)の『色彩論』初版(1810年)があってびっくり

おれ、『色彩論』(もちろん邦訳)をおもしろいなー、ってエンタメ作品として読んじゃって、そんな重要な書物だったとは。ゲーテは世界を変えていたのか! まるでわかってなかった。すまん、ゲーテ。


左はゲーテ肖像、右は邦訳『色彩論』

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10『電磁場』カテゴリーにデカルト(1596~1650年)の『哲学の原理』初版(1644年)があった

デカルトの渦動宇宙論(のちにフックが「エーテル」と呼んだ媒質粒子が宇宙空間に充満してる説)の影響を受けた渦動論者は重力に反対、とゆうか非科学的だと1687年時点でも主張していた。そこでニュートンの「わたしは仮説を作らない」という有名な一説(第Ⅲ編の一般的注釈ちゅう)で渦動説を批判・否定したってゆう対立構造(?)だったんだけど、やー、両方のずっしり重い書物を目の当たりにできてありがたやー。

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プリンキピアの複製本は自由閲覧できた

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ケプラーの第2法則に関する命題のようですな

まとめ①リンネはなかった
東京展特別出展エリアにダーウィン(1809~1882年)やメンデル(1822~1884年)はあったのに、分類学の父リンネ(1707~1778年)『Species Plantarum植物の種』初版『Systema Naturae自然の体系』第10版(1753年/1758年)はなかった。げんざいの国際植物命名規約と国際動物命名規約の出発点なのに、なぜないのだろう。
a工業じゃないので蒐集していない
b初版本が存在しないなど蒐集不能
c所蔵してるけどスペースの都合で展示されず
d世界を変えてないから?

…………、世界は変えたとおもうのだが、どうだろう。

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こちらは『知の森』13カテゴリーMAPの模型

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改めて見るとアインシュタインがポツネンとしてる

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こちらは『知の系譜MAP』流れを追える

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あらゆる知を集約したアインシュタインがやっぱりポツネンとしてる

まとめ②ファインマンも朝永振一郎もなかった
13『アインシュタイン宇宙』カテゴリーには『一般相対性理論の基礎』初版(1916年)と『特殊相対性理論及び一般相対性理論』初版1917年のみである。ポツネン。いっそ12『非ユークリッド幾何学』にいれちゃっても……、だめかしら。だとしたら、ここに量子力学ファインマン(1918~1988年)の『ファインマン物理学』(1964年)とか朝永振一郎(1906~1979年)の『量子力学』(1949年)を添えたらよいかとおもうけど、そこは、書き換え作業できていないからだめなのか。
aげんざい普通に入手できるから稀覯書ではない
b著作権の問題
cスペースの都合
d量子力学はまだ世界を変えていないから?
eげんざい学生がぜっさん使用ちゅう☆

……eの理由なら、しょうがないよね。

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段ボール型の展望論文と言える

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アリストテレス(紀元前384~前322年)のお向かいに

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アインシュタイン

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木の板(?)のインスタレーション

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焼きプリント

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グッズ売り場(ビニ傘とかラインナップ独特)でお買い物するともらえるポストカード

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レントゲン(1845~1923年)の『新種の輻射線について』初版(1895‐1896年)

まとめ③書物は重いほうがいい
ノルウェー・スタヴァンゲル大学Anne Mangenによる研究で「電子書籍は紙の本に比べて内容(時系列)が記憶に残りにくい」(2014年発表)とゆうのがあった。
紙の香りがしたり、ページをめくったり、書物が重かったりすることで「体験」に近づけたほうが記憶に重量が生まれるのかもしれない、とおもう。知の重し。

2016年7月 9日 (土)

上野動物園ミミセンザンコウのみ

2016年6月28日付のナショジオニュースに「1.3億円相当、センザンコウのウロコ4トン押収」とゆう記事が掲載された。事件は香港で貨物の総量はアフリカセンザンコウの1100~6600匹分(最小最大値にけっこう幅あるな)に相当するとゆう内容とともに、2015年にインドネシアで摘発されたセンザンコウの死体の写真が添えられていた。
…………なんだろう、この生き物。見たことないな。「世界で最も密売されている哺乳類」なんて不名誉なあだ名で呼ばれているのか。しらなかった。
灰色を基調とするツルツルのウロコ(密猟目的)をまとい丸められた体と尻尾、きっと殺され捕獲されたときに付着したとおぼしき乾いた血が首のあたりを伝い、もう小さな瞳が瞑っているから息はしておらず2度と目覚めないのだと直感する。そんなセンザンコウたちが大量に貨物コンテナへ詰め込まれたサマ、かなしい。

どこかに生きてるセンザンコウはいないだろうか?

そうゆうわけで生きてるミミセンザンコウが見たくて東京・台東区にある恩賜上野動物園(都立動物園HPは7月7日に攻撃を受けて以来サイト閉鎖ちゅう・動物園本人はやってます)へ行ってきました。ちなみに国内の動物園では愛知県名古屋市・東山動植物園と合わせて2施設のみのようです。

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参院選の街頭演説とカメラクルーが忙しいJR上野駅を素通りし

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陽射しが照りつける上野公園に入り現在工事ちゅうの正門を右折

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クラシックでむしろ雰囲気いい臨時門(旧正門)から入園します

一般600円。今日のチケット柄はタテガミオオカミさんでした~。

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…………園内地図を見上げるが「センザンコウ」表記なし        夜行性らしいので候補の施設は2つ(けっこう離れてる)

候補は「夜の森(コウモリ)」か「小獣館(メガネザル・ノネズミ)」か、あとはフェイントでバードハウスってこともあるだろうか(なかった)。カッコ内にもセンザンコウのセの字もない。ところで「穿山甲」(せんざんこう)って即変換できてウィンドウズ賢いな、とおもった(いまさら)。
とりあえず入口に近い方の「夜の森(コウモリ)」へ足を運んでみる。

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あ! 入口の木絵レリーフに御姿が!                  この奥にいるッポイ!

ビンゴ! 作者はウキウキであった☆ (この時点がピーク)

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愛くるしいスローロリスを素通りし目的のミミセンザンコウへ!           木や擬岩がふんだんに置かれた展示室

★ここで大問題発生★
①「夜の森(コウモリ)」施設内は相当暗い
補正写真だとそれなりに照度がありそうに見えますが、実際はオート設定だとシャッターが切れないくらいの暗さです(だから夜行性のスローロリスが活発に動き回っていられるんだけど)。撮影難儀とかはどうでもいいんだけど(写真目的じゃない)、そもそも見えない。人間は昼行性だから眼球も昼間に特化してるもんな。月のない夜くらい暗かったかも。うーむ。
※夜行性動物に限らず動物園内はストロボ厳禁です
②「夜の森(コウモリ)」施設内は通路が細い
ミミセンザンコウ展示室ガラス(来園者が観察できる立ち位置)の幅がせいぜい1.5~2mなうえに、通路(後ろ)は大人ひとり分の幅しかない。結果、ミミセンザンコウを探してると「ジャマ」「ジャマ」「ジャマ」状態で渋滞。ほかの来園者を通すために行ったり来たりするためゆっくり観察する雰囲気じゃない。それでもミミセンザンコウは見つからない。うーむ。

だんだん目が暗さに慣れてくれば見えるかも、とおもったんだけど生き物の気配が全然しない。木や擬岩の陰にいたらムリ、トウホクノウサギ(夜行性で人間から見えない位置に隠れるのが基本)やツシマヤマネコ先生(人間から見えない位置に隠れるのが基本)なんて目じゃないわー。気配がぜんぜんしないんだよね~(きっと密猟者たちはワナを仕掛けて捕獲してるんだろうな)。

生き物が見えないまま10分以上経過。………………………あ、いた。

ミミセンザンコウ:【有鱗目センザンコウ科】絶滅危惧ⅠA類、生息地は東南アジアから中国南部の森林。夜行性。

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展示場手前の隅っこで直径15~20cmのボールになってた          シャッター音に反応してちょびっと動いた

ダンゴ虫が開くように肢をモゾモゾさせたとおもったら、直後に「いません!」モードに戻られたミミセンザンコウ先生。写真でも体色さえ判然としないけど、直接見るともっと判然としない。白っぽく見えるけどウロコは茶色いはずなんだけどな~。難敵すぎる(施設含む)。ってゆうか夜行性のミミセンザンコウ先生のためにこんなに暗くても休んでるのは、基本的に1日のうち活動時間が短い性質なんだろうか(体力温存タイプ?)。

作者は生きてるミミセンザンコウが確認できてホッとしたので、これ以上の観察はあきらめた(眼疲労)。これ、おやつタイムとかやってるんだろうか。

こうして当初の目的は果たしたわけですが、かくれんぼ名人のミミセンザンコウ先生と同位置&同ポーズで休んでた動物がいたのであわせて紹介します。

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不忍池のハス越しにスカイツリー

「西園」と呼ばれるエリアで池之端門(東京メトロ千代田線根津駅側)に近い場所へ移動しました。

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赤玉土(?)を敷いた展示場の手前下角で丸まっておられます

フォッサ:【食肉目マダガスカルマングース科】絶滅危惧Ⅱ類、生息地はアフリカのマダガスカル島のみ。樹上生活・夜行性。

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お、起き上がられた!                            水を飲んでおられます!

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睾丸がふるふるなのでベザ♂さんのようですな               アンバー♀嬢はご不在のようですな

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足裏のお肉球がケープハイラックス・レベルのもちもち  そして威風堂々と「あっつ~」「だっる~」とゆうかんじで定位置へ戻られた

樹上のところどころに2cm角くらいの生肉ブロックが置かれてたんだけど、手つかずだった(夜食べるつもりなのかもしれないけど)。なにしろ、当日は猛暑日で湿気もひどかった。出身地のマダガスカル島は位置でいえば熱帯だろうけど、フォッサが暮らす辺りは(とゆうか夜は)もっと涼しいのかもしれない。ゆで肉ブロックになってしまう!


≪おまけ≫ジャイアントパンダ:【食肉目クマ科】絶滅危惧ⅠB類、生息地は中国。

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シンシン♀さん11歳のお誕生日プレ……破壊!       シンシン♀さんの瞳がイキイキとしておられます!

パンダ舎前を通ったらちょうどお誕生日イベントやってたんだけど、プレゼント(食べ物)のみならずメッセージボード(食べ物じゃないほう)までかぶりつきで破壊するシンシン♀さんに一瞬フリーズする飼育員さん、、すぐ水&エサで気をそらして強制回収である。
あとでシンシン♀さんのプロフィール板を見たら「怖いもの知らず」「竹グルメ」って書いてあった。冒頭の記載が「怖いもの知らず」ってホンモノだ。クマのお嬢さんたちは全世界共通でアクティブ(破壊王)なのかもしれない。

2013年8月29日 (木)

古典落語『唐茄子屋』がおもしろい

たびたび書いたけど、あらためて金馬が語った古典落語『唐茄子屋』(とうなすや)がおもしろい。
どれくらいおもしろいかと言うと、ちょうおもしろい。

ちょう。

せっかくなので、この喜びを脚本に変換して伝えよう。

(※不朽の噺家の人情噺なので落語CDが色々販売されています。だからべつに脚本化する必要はぜんぜんない。ぜんぜんない、でもやる)

三代目三遊亭金馬らぶ♡

 

『唐茄子屋』

目次
①隅田川吾妻橋の場
②本所達磨横丁の場
③浅草広小路の場
④吉原田んぼの場
⑤浅草誓願寺店の場

登場人物
徳 日本橋横山町にある大店の惣領息子。吉原での女郎遊びが過ぎてオヤジから勘当された。そのあと芸者や船宿、太鼓持ちの家を転々と居候するが、放逐され野宿ちゅう。
おじさん 本所達磨横丁の大工。清元が得意。面倒見がよい。徳の伯父。
おばさん 日本橋横山町の大店に嫁いだ姉がいる。働き者で子どもに甘い。徳の伯母。
浅草の若者 おせっかいで粋な兄ぃ。職人。
崋山 吉原の女郎。粋な年増。
誓願寺店の貧乏母子

①隅田川吾妻橋(あづまばし)の場
江戸市中、文久2年の盛夏、盆前。ジリジリとした午後の油照り。途切れない蝉の声。本舞台中央に大川(現在の隅田川)と吾妻橋。下手が浅草側西岸、上手が墨田区側東岸の遠見。たもとに橋番小屋。よきところに柳の立木。棒手振りや町人が両河岸をさかんに行き交う。

都々逸にて幕あく。

〽道に楽しむと書いて道楽 道に落ちると書いても道落 踏み迷ったは女道楽
寄ってたかって意見する親類連中馬耳東風 猫の額みたいな家もらうのにへぇへぇして合うもんか 米の飯とおてんと様はついて回らあ 向う見ずに飛び出す若い者
船宿を三日 頭の家に二日 太鼓持ち 芸者屋と居候の転々々 十日が二十日三十日 いい顔されず相手にされなくなるまであっという間 金の切れ目が縁の切れ目 あっという間の転々落 すってん、すってん、すってん、すってん、すってんてんのてん

両河岸の売り声。

号外屋(尻端折り)「あ~ら、ごうがい! ごうがい! ごうがい!」
冷水売り「氷水、あがらんか~。ひやっこい。汲みたて、あがらんか~。ひやっこい」
麩屋「い~ふやでござい! い~ふやでござい!」
葉唐辛子売り「とんげ~! どおじ~!」
金魚売り(浴衣に置き手拭いで一際ゆっくり)「め~~~だか~~~~、きんぎょ~~~~~~~」
イワシ売り「おおぃ、いわ~しこ! おおぃ、いわ~しこ!」
歯磨き売り「こうばいさん、匂い、歯磨き、口中の一切の妙薬~」
笊売り(よろず台所道具売り)「ざるやぁ~、みそこしぃ~~」
風鈴売りは荷台の風鈴を揺らすのが呼び声の代わり。
足駄屋はリズミカルに鼓を打って呼ぶ(雨乞い)。

突然の雷鳴。夕立。ザーッという大粒の雨音とともに口々に「雷だ」「夕立だ」「わあ」と慌てて手拭いや着物の袖で頭を覆いながら、それぞれ雨宿りへ駆け出す。
西の橋番おやじ「おーい、兄ぃ、忘れもんだよ。橋銭2文、橋銭2文!」
ト、笊を持ったまま、番小屋を飛び出し若い町人を追って浅草方向へ。極度の吝嗇。
東の橋番おやじ「桑原桑原、南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏……」
ト、真っ青な顔で震えながら橋番小屋の雨戸をぴったり閉める。極度の雷嫌い。

人通りの絶えた吾妻橋。川音がどんどん増す。東岸からボロをまとった青年が強い雨に打たれながらトボトボ登場。崩れた鬢が顔にかかって表情が見えない。無精ひげ。薄汚れた絹の小袖、皺くちゃの三尺帯、反り上がった薙刀草履。背中には泥ハネで水玉模様。身を屈め、横揺れのおぼつかない足取りで橋の袂へフラフラ近付いてゆく。ト、ひとり言。
徳「雨降らば降れ、風吹かば吹け、だ。」
当てもない様子で、橋の袂をグルグルする。
徳「どうせ今日一日こうやっていた日にゃ、じりじり死んじまうんだ。昨日っから何にも食べないんだからなぁ。そいで日に当たって、雨にあって……人間の干物みたいなモンができちゃう。ジリジリ死ぬくらいなら、いっそ一思いに死んじまおうかしら。なにか楽~に死ねる工夫ないかなぁ」
ト、顔を上げ、袖に手を隠しながら、引き込まれるように吾妻橋を渡り始める。
徳「……大川だ。吾妻橋。よく流れてんなぁ。こっから飛び込んじゃおうかしら。川の水飲むから、いくらかお腹がくちくなるかしら」
ト、橋中央から川面をおそるおそる覗き込む。
徳「水膨れになった死骸が、戸板にのっけられてオヤジの前へ出すとオヤジはびっくりするだろうなぁ。こんな姿になるんなら勘当を許してやろう……死んでから許してもらっても何にもならないからなぁ。死んじまおう」
ト、欄干によじのぼる。徐々に弱くなった雨があがって日が差す。涼風サッと吹く。
徳「おとっつあん、おっかさん、先立つ罪はお許しください。目が覚めましたけど、もう親戚もだぁれも相手にしてくれませんで、今日で二日食べないんです。じりじり死んじゃうくらいなら、いっそ一思いに死んじまいます。ぐす。何百年後か、あの世とやらでお目にかかって親孝行もします。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……」
ト、涙声で手を合わせながら欄干の上へ。
ト、手拭いであがりかけの小雨を避けながら西岸を歩いてきた大工が気付き、慌てて駆け出し帯をつかまえる。
大工「ああ、っとっと。お待ち! おい。若ぇの。ああ、あぶねぇ。もう一足で飛び込むところだ。おい、欄干から足をおろしな。おろせってんだよ!」
徳「助けると思って殺してください!」
大工「バカ言え、助けたり殺したりできるかよ。おい、足をおろせってんだ。おめぇには死神がとっ憑いてんのかもしれねぇよ。おりろってんだ、きかねぇか」
ト、大工、徳をバシッと強く打って欄干から叩き落とす。
徳「あいたたた。なにをするんです。もし、ケガしたらどうすんです」
大工、キョトンとする。
大工「おめぇ、死ぬんじゃねぇか? なにを言ってやんでぃ。そういうやつだよぉ。若ぇうちはなぁ、ちょいちょい死にたがるもんだ。おれみてぇに年を取ってみな、一日も長生きはしたいよ。いや、訳を話をしなよ。こういう訳でもって死ぬんだっと、なるほどっ、と聞いて合点がいったら、おれぁ新規でこっからおめぇを放り込んでやらぁ。え、そんなに話のわからねぇ男じゃねぇつもりなんだ。どういう訳で死ぬんだか、おめぇがな、ちゃんと……」
ト、大工、手拭いを外し、しゃがんで濡れたままの徳の顔をぬぐってやろうとして、ハタと気付く。
大工「あれぇ、…………おや。おめぇ、徳だな!」
徳「あ! わぁ、おじさんだ」
ト、徳、きまり悪そうに頭を隠す。おじさん、徳の姿をまじまじと見る。蝉の声。
おじさん「てめぇか。んまぁ…………てめぇなら止めるんじゃなかった。死んじまえ」
ト、立ち上がって行こうとする。
徳「助けてくださいっ」
ト、おじさんの脚にすがりつく。
おじさん「なに、なんだこのやろう。今、死ぬって言ったじゃねぇか」
徳「今日で二日、なんっにも食べないんですよ。ジリジリ死ぬくらいなら一思いに死んじまおうと思ったんだけど、本当っは死にたくないんです。助けてください」
ト、声を詰まらせてさらにすがりつく。
おじさん「親類じゅう、よってたかって意見した時なんってった? 米の飯とおてんとさまはついてまわります、お前さん方の御厄介にはなりません、って顎を出したじゃねぇか。米の飯とおてんとさまはついてまわるか?」
徳「おてんとさまはついているんですが……、お米のご飯がちょいちょい離れます」
ト、涙を落としながらも苦笑い。
おじさん「あったりめぇだ。てめぇみてぇな道楽者に米の飯がつくか。じゃ、目が覚めたか?」
徳「すっかり覚めました……、お昼過ぎです」
おじさん「なにを言ってやんでぇ。こっから飛び込んで死んだ気になって、なんでもするか?」
徳「なんっでもします」
おじさん「死んだ気になりゃなぁ、できねぇってことはねぇんだ。あれがいやだ、これが決まりが悪いなんて言わねぇで、なんでもするな?」
徳「なんっっでもしますから、助けてください」
おじさん「つかまるんじゃねぇ。……じゃ、もいっぺん助けてやらぁ。さ、歩け」
徳「ありがとございます」
ト、立ち上がって二人揃って橋を渡り始める。
おじさん「しっかり歩けよ。強い風が来るてぇと川の中へさらいこまれちゃうぞ。金っくずみてぇな歩き方してやがる。あっちへヒョロヒョロこっちへヒョロヒョロ。だらしのねぇ野郎だ」
ト、二人東岸へ去る。

蚊帳売り「かやぁ、かやぁ、萌黄の蚊帳ぁ~~」
ようやく浅草から橋番小屋のおやじが戻ってくる。西岸から吾妻橋を渡ろうとした蚊帳売りにニコニコしながら竿と笊を突き出す。蚊帳売りは心得て2文置く。
蚊帳売り「かやぁ、かやぁ、萌黄の蚊帳ぁ~~」
呼ぶ声を聞いて、東岸の橋番おやじが雨戸の隙間からそっと顔を出す。

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(現在の吾妻橋は欄干が朱色。アサヒビールとスカイツリーがよく見える)

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(大川=現在の隅田川も水量豊富。風が強いので川面を覗き込むとちょっとキケン)

②本所達磨横丁(ほんじょだるまよこちょう)の場

夕暮れの本所達磨横丁。軒下で揺れる釣りしのぶと風鈴の音が涼を誘う。小商人が店を構える表長屋前を通り過ぎる。床几など出して夕涼みしたり、女たちが連れ立って湯屋へ行く表通りの角、麦湯売りの赤地黒文字「むぎゆ」竪行燈がボーっと浮かび上がるところを裏通りへ一本入る。近所の人に挨拶などしながらどんどん歩くおじさんに、徳がコソコソついていく。下請けの職人や棒手振りたちが暮らす割長屋。二間二階(ロフト)。火を寝かした長火鉢の奥でおばさんが繕いものをしている。

おじさん「ばあさん、今けぇって来た」
ト、戸を開けると同時にむせる。
おじさん「あぷ。いけね。ひどい蚊だなぁ~。本所に蚊がいなくなりゃ大晦日、うめぇこと言いやがった。おい、継ぎ物してんのか? 蚊やりでも焚けやい。目の悪いのに継ぎ物はよしなよ」
ト、土間から話しかける。
おばさん「おじいさんかい? たいへん遅かったじゃあない」
ト、はじめて魚油の灯りを入れ、長火鉢の火を起こす。
おじさん「うん。話は早く済んだんだよ。お互いに江戸っ子だ。手貸しておくんねぇ、シャンシャンシャン、でもってな手打ちは済んじゃった。一杯呑むってのを、それだけ預けておきますって。いや、途中で拾いものしたから、遅くなっちゃったんだ」
おばさん「なんか拾ったの? あ~、うまくやったね」
ト、継ぎ物を片し、足を洗うための水を土間の瓶から小桶に汲み、素焼きのブタに蚊取り線香などをいそいそ用意する。
おじさん「うまくやりゃあ、しねぇんだよ。人間一匹拾ったんだ」
ト、上がり框に腰掛けて足を洗う。
おばさん「にん、人間、ってんで、一匹、ってのはおかしいじゃない。身投げかい?」
おじさん「ああ」
おばさん「そりゃあ、いいことしたねぇ~」
おじさん「よくねぇんだよ!」
おばさん「男か? 女かい?」
おじさん「がらぁ、男だよ。了見、女の腐ったような野郎で、役に立つヤツじゃねぇや」
おばさん「せっかく助けてやって、そんな悪いこと言うもんじゃないよ。かわいそうに」
おじさん「悪く言ったっていいんだよ。おめぇの知っているヤツだ」
おばさん「え? あたしの知っているって?」
ト、はじめて手を止めておじさんの傍らに座る。
おじさん「徳だよ」
おばさん「徳って……あ、横山町の! あの子っ……んまぁ~、呆れましたね」
おじさん「な~にを言ってやんでぇ。ばあさん、おめぇ、今頃あきれましてるんだろ? おれぁ、あいつには3年前ぇからあきれましているんだ。こっちへ上がれ、徳。近しき仲にも礼儀ありって、おばさんに挨拶しろ。手ぇついて」
蚊に食われながら表で待っていた徳、決まり悪そうにそっと入って来る。
おじさん「ばあさん、そこへ来た。見てやんな」
徳「おばさん、どうもすいません。ぐす。今度は死のうと思ったところ、おじさんに助けられたんです。死んだつもりで、なんっでもしますから、もういっぺん助けて置いてください」
ト、涙声で訴え、手をついて頭を下げる。
おばさん「まあ~、なんてぇ成りして、歩いてんだね~。木綿もんだって小ざっぱりしたものがあるよ。絹もんだってワカメみたいな着物だよ。猫のひゃくしろ(腸のこと)みたいな三尺(三尺帯のこと)しめてさ、薙刀草履で背中までハネがあがってんじゃない。まあ、そんなだらしのない成りでこの近所を歩いておくれでないよ。うちはぁいいんだけど、お前さんのうちの恥になるよ」
ト、前掛けの端を持ち上げ、涙を拭う。
おばさん「こないだ横山町行ったら、あたしの姉……、おまえのおっかさんがそう言っていたよ。あたしゃあ、入れてやりたいと思うんだが、おやじが頑固でやかまし……」
ト、それまで腕を組んで黙って聞いていたおじさんが割って入る。
おじさん「うるせぇ、ばばあ。余計なこと言うんじゃねぇ。何言ったってわかりゃぁしねぇや。二日間食わずにいるってんだよ。食わしてから文句言うんだ。飯を食わしてやれ、飯を。飯だよ!」
おばさん「あの、ごはんたって、あの、おまんま、おかずがないんだけども。せっかく来たんだから……鰻でも、そう言ってやろうか」
おじさん「ばか! このばばあ。お客様に来たんじゃねぇんだ。居候に来たんだぃ。ひと月いるか半年いるかわからねぇのに、鰻なんか食わせるなぃ。うめぇもの少ぅしより、まずいもんでも腹ぁくちくなりゃいいんだ。たくわんの尻尾でいいんだよ。うんと食わしてやれ。何でもいいから。飯を食っちまえ」
徳「へぇ」
おばさん、台所のおひつから冷えた白飯と香の物を用意する。おばさんに何事かささやいて、おじさん出掛ける。おばさん、長火鉢にかけておいた薬缶から白湯を湯呑に注ぐ。徳、勢い良く食べるとすぐ、柱に寄りかかってウトウトし始める。おばさん食器類を片してやる。
おじさん、用を済ませた様子で戻って来るとすぐ、笑う。
おじさん「ちっ。張り合いのねぇ野郎だなぁ。今まで死ぬの、生きるの、って涙こぼしてやがって、今度は居眠りを始めやがった。二日間、寝ずに食い物を探して歩いていたぁ? はっはっはっ。迷子犬だなぁ~。二階上がって寝ろ寝ろ。おめぇんとこの二階と違って、斜に上がる階段段じゃねぇ、真っ直ぐにあがるんだぞ。気を付けろよ。立って歩くてぇと梁で頭ぶつけるぞ。這って歩くんだ。隅っこのほうにな、風呂敷あるだろ。そん中に布団が一枚ぇ入ってら、薄いんだけど、せんべえ布団だ。そいつを敷きゃいいや」
徳、ウトウトしながらも梯子段をのぼり、言われた通りにする。
徳「あの、蚊帳がありませんか……」
ト、蚊の鳴くような声で二階から訊ねる。
おじさん「なんだぁ? はっきり口きけ。……蚊帳がありませんかぁ? あの野郎、まだ寝ぼけてやんな。土左衛門が蚊帳ぁ吊って流れてくるか! 死に損なったんじゃねぇか、ばかやろう! 蚊に食われたって死にゃあしねぇよ。風呂敷かぶって寝ろ!」
徳、慌てて布団をかぶって寝る。
おじさん「ばあさん、ちょいと来いよ」
ト、おじさん小声で話しかける。
おばさん「なんだい?」
おじさん「なんだい、じゃねぇよ。おめぇ、子どもに甘くっていけねぇぜ。今日吾妻橋でな、おれが、一足遅きゃ、野郎飛び込んでんだ。人間死のうっと思うくれぇ、正直なことはねぇぜ。野郎、目が覚めたらしいんだ。ここでもってため直さなきゃ、人間なり損なっちゃうんだよ。人間ひとりこしらえるか、出来損なうかの境なんだから、おめぇ甘くっていけねぇよ。余計なとこいちいち口出すんじゃないよ」
おばさん「は、はいよ」
ト、二人ボソボソと何事か相談を続ける。暗転。

早朝。汗だくのおじさん、仕入れたカボチャをたくさん背負って外から帰ってくる。長屋の前で納豆売りとすれ違う。
納豆売りの婆「なっと、なっとう~~~、なっと。おはよう~ございます」
おじさん、挨拶を交わして家へ入る。がぼちゃは土間へ置く。

おじさん「行ってきた!」
おばさん「お帰りかい」
おじさん「あつい、あつい。あ~、たまらねぇ。夏だな。肩掛けのあるうちと思ったけど、汗びっしょり出ちゃった。冷たい水汲んでくれよ。体拭くんだから。あ~、暑い。野郎どうした?」
ト、おばさんが小桶に汲んだ水に手拭いを濡らして体を拭き始める。
おばさん「朝一番で湯屋へ行かせたんだけど、帰ってきたら、くたびれた、とめいて、おじいさん、よ~く寝ているよ」
ト、おばさん嬉しそうに言う。
おじさん「ばか! このババア! 夕べ、あれほどそう言ったじゃねぇか。よ~く寝ているよ、って喜んでるやつあるかい。起こさねぇか?」
おばさん「起こしてもね、眠いんだ、ってから。可哀想だから寝かして……」
おじさん「それを起こすんだよ、ばかやろうめ。徳や! 徳!」
ト、二階へ向かって大声で呼ぶ。反応がない。
おじさん「ん? 死んだんじゃあるめぇな……、徳や!」
徳「はい」
おじさん「おい! 下りて来い! 何してやんでぇ。人の家へ来たら、起こされねぇうちに起きるもんだ。下りて来い!」
徳「はい、はいはいはい。ただいま。ただいま。おはようございます」
徳、寝ぼけて頬を叩きながら、やっと梯子段を下りてくる。
おじさん「何言ってやんでぇ。お早かねぇやい。おれぁ、もう使いから帰って来てるんだぃ。グルグル回ってねぇで面洗うんだ。台所で洗っちゃいけねぇよ、長屋の井戸端行って洗うんだよ。手桶持っていくんだ。面洗っちゃったら、ゆすいで新しい水一杯汲み込んでおくんだ。いいか、居候慣れねぇやつはしょうがねぇや。おれぁ若ぇうち、居候してって、明日っから他行きますって言ったら、もうちょっとうち居て下さい、と頼まれた居候だぞ、おれなんざ。なにをグルグル回ってやんだ? なんだぁ?」
徳「おばさん、歯磨きありませんか?」
おじさん「この野郎、まだ寝ぼけてやんな。土左衛門が歯磨き使うかい。親のすね、かじる息子の歯の白さ。ってや。歯より了見、磨くんだ。塩でグズグズっとやっておけ」
徳、おばさんにそっと手渡された手桶と手拭いと塩を持ち、大慌てで出て行く。
おじさん「え、洗いに行っちゃった? ばあさん、飯食わしてやんねぇ。うんとこさと、食わしてやれ。それからな、弁当詰めてやってくれ。竹衣の弁当箱あったろ? 飯が腐るといけねぇから梅干しひとつ入れといてな。それから、あの~、笠あったか? 御山行った笠。浅いのと、深いのと。浅ぇほうがいいだろ。中へ青っ葉一枚ぇ入れといてやってくんなよ。攪乱起こすといけねぇからな。それからなんか鬱金の財布ねぇか、あった? 弁天様の。うん。身になる金。あいつぁ、いいや。長ぇ紐がついていたろ。細けぇ銭を入れて、首下げるんだ。釣銭入れて。うん。足袋はねぇだろ?」
ト、次々に用意したものを上り框に並べていく。
おばさん「あるよ、白の足袋がね、左が片っぽ」
おじさん「……どうかしてやんだな、こんちくしょう。左が片っぽじゃしょうがねぇじゃねぇか」
おばさん「紺が右が片っぽ、あんだよ」
おじさん「なんだい、右と左と紺と白かい? 碁石みてぇな足袋だな。いいだろ、目に立っていいや、そいつ出しといてやれ」
ト、徳が戻ってくる。おばさんが朝飯を食べさせてやる。
問屋の奉公人「おはようございます」
おじさん「どうも、ごくろうさま。ええ、おたくの旦那に言ってね、天秤棒借りるように話をしてきましたが、お聞きですか? 暑いのにごくろうさまですね。まあ、一服のんでいってください。そうですか、ごくろうさま」
ト、奉公人天秤棒を丁寧に置き、煙草盆の勧めを断って帰っていく。
おじさん「ばあさん、よく働く若ぇ衆だな~。奉公人みてぇじゃねぇや、自分の家みてぇに働いてら。ああいう風に働く奉公人を置き当てたとこの主さん、幸せもんだぜ。うん」
ト、話している内に徳が食べ終わり、茶碗などを台所へ片付ける。
おじさん「あ、飯を食っちゃったか? さあ、こっち来いこっち来い。あの~、そこに草鞋が出ているから履け」
徳「草鞋履いて、どっかお使いですか?」
おじさん「お使いじゃねぇやい、仕入れたもん知ってっだろ?」
ト、土間に積まれたままのカボチャを見て言う。
徳「大変唐茄子をお仕入れになりました。あの唐茄子どうなさるんです?」
おじさん「言いにくいこと言うなよ。とうなす、どうなさるんです、だって。売るんだよ」
徳「おじさんが?」
おじさん「バカ言え。てめぇが売るんだい」
徳「ここで?」
ト、いかにも呑気な様子で言う。
おじさん「こんなとこで唐茄子が売れるかい。籠入れて天秤で背負って往来売って歩くんだ、おめぇが!」
徳「あたしが? あの、唐茄子担いで往来を? は……おじさん、それは勘弁してくださいよぅ。つい、こないだまで、おあし使って遊んでいたんだから、女の子やなんか顔見知りがありますよ。見得ってものがあるんですもの。いい若い者が、あの~唐茄子背負って往来売って歩けやしません。なんか他のことやらせてくださいな」
ト、いかにも体裁が悪いといった風情で渋る。
おじさん「イヤなのか? よせ! 唐茄子売ってもらうんじゃねぇんだ。売らしてやろうと思ったんだがな、嫌だってんならよせ! すぐに出てけ!」
徳「や、やります、やります! 置いてください!」
ト、追い出そうとするおじさんを押し留めながら、徳が必死に謝る。
おじさん「いいよ、やらなくて。行け!」
徳「や、やります! 売りますから、置いてください」
ト、土間に落とされながら徳、謝る。おばさん、おじさんの袖を引いて留める。
おじさん「何言ってやんでぇ。あんなもの売らして、おれが家に居て、旨ぇ酒呑もうの、甘い露吸おうってんじゃねぇんだ。てめぇのために売らしてやるんだ。いいか、あんなものを売って歩いているのが、世間の人の目に入る、オヤジの耳へ入ぇるだろ? あ~、あいつもそんな了見になったのか……と、我の折れたところを抱き込んで詫びしてやろうってんだ、お詫びの手蔓で売らしてやるんだ! たったひとりの甥があんな商売ぇするんだ、本来なら深ぇ笠でもって顔を包んでやりてぇや。わざわざ浅~い笠出してあるのはな、顔がはやく知れるようにってんだ。笠いっかいだって無駄なことはしてねぇ。生涯、八百屋しろってんじゃねぇんだ。生涯、唐茄子屋するにしたってだよ? 自分で儲けた楽しみってものを味わわせてやろうってんだ。おらぁ、おめぇんとこのオヤジとは訳がちがう。わからねぇことは言わねぇや。遊べよ。人間遊ぶってぇ楽しみがあるから、稼ぐって張り合いがつくんだ。古い都々逸にな、酒も呑みなよ、博打も打ちな、たんと稼いだはしただけ。てめぇのは、はしただけ使ぇやいいけど、元利ひっくるめて使っちまうじゃねぇか! だから、オヤジに文句言われんだ。銭を持ってきたら、おれんとこいっぺん見せろ。これだけ儲けてきました。えらいなぁ。遊んで来い。って遊びにやってやらぁ! これじゃおあしが足りないんですが……おれが足してやらぁ! ひとりで行くのは決まりが悪いんですが……おれが一緒に行ってやるじゃねぇか!」
徳「ありがとうございます。おじさんホントにご意見がお上手で」
ト、にこにこして頭を下げる。
おじさん「ほめるな! んなもの!」
徳「いえ、うちのオヤジなんぞはね、貯めろだのね、あらもう、固くしろの一点張りで、遊べだの、使えなんてことは、これっぱかりも言わない……」
おじさん「親がそんなこと言うやつがあるかい!」
徳「いや、遊んでいる時分から女にね、よく言われたんですよ。あなた、こんなに居続けしててお家のひびがいいんですか? なんて、言いますからね。あの、オヤジはやかましいんだけど、本所ぅの達磨横丁のおじさんってぇのは、清元が上手くって、ここに大きなコブはあるけど……」
おじさん「余計なこと言うんじゃねぇ!」
徳「粋な人で謝ってくれんの。ってぇとね、まあ~今どき珍しい粋なおじさんだわね、会いたいわ。じゃあ、今度は連れて来てやろうか? ってたら、是非連れて来てね♡ って言ったきり……あ、行かなくなっちゃった。今度はおじさん行きましょう。おじさん、年を取っているから、若い女の子の方が好きぃでしょ? 今夜行きましょ」
おじさん「唐茄子売るんだよ! 唐茄子を! はっはっはっはっはっ! ばあさん、見ろよ! 白い歯見せりゃ、おれを遊びに連れて行く了見でいやがる!」
ト、おじさんおばさん大笑い。徳もつられて苦笑い。

5 6
(現在の東駒形一丁目あたりと思われる。路地には植木がたくさん。ニオイバンマツリ=アメリカジャスミンのいい匂いがする。神輿庫があった【5月撮影】)

都々逸〽あねさん、道楽なんじゃいな。芝居にこんにゃく、イモ、かぼちゃ

おじさん「さあ。今日っから唐茄子売るんだぞ。笠ぁかぶったか? 弁当はな、日陰日陰へと置いて行くんだ。わかったな。つり銭の財布持ったか? 首からかけた。足袋は履いたか? ええ、紺と白で碁石の足袋。それがいいんだよ、目に立って。で、担いでみろ。表通り売って歩いちゃいけねぇよ。裏通り裏通り売らなきゃな。うん。張り合いがつくようにみんな売ってきな。残してきちゃいけねぇよ。おめぇだって商人の息子だ。元はわかってんだ。損しちゃいけねぇけど、元でいいから売ってきなよ。張り合いがつくようにな。儲けはおめぇにやるんだ。おれが儲けを取ろうってんじゃねぇんだから。いいか、それからな、弁当使うったってな、あの、雅なとこで食わねぇで、唐茄子買ってくれたら、すいません。弁当使わせてください、てぇと、さあさあ、てってお茶と香々ぐれぇ出してくれらぁ。利毛を争う商人だ。そういうところへ気を付けなきゃいけねぇよ。わかったな」
ト、身支度を整えた徳が土間で天秤棒を担ごうとする。
おじさん「あ~、だめだだめだ、そんな担ぎ方じゃ担げねぇ。いや、言うことは一人前ぇだ、すること半人前ぇもできねぇな。へっぴり腰してやんじゃねぇか。担ぎ物は肩にはちげぇねぇが、腰がきれてねぇよ。それ、あ~、じれってぇ。どいてみろ!」
ト、徳をどかしておじさんが天秤棒を担いでみせる。
おじさん「だらしのねぇ野郎だ。言うことは一人前ぇだ、することは半人前ぇもできやしねぇ。担ぎ物は肩にはちげぇねぇが、腰で担ぐんだよ。腰がきれてねぇ、よく見ろ。いいか。天秤肩へ当てたら、腰をきっといて、それでこうやって……ぐぐぐぐg」
ト、担いでみせようとするが持ち上がらない。徳、声を立てずに笑う。
おじさん「なに笑ってやんでぇ。おれだって年を取ったら、そう短兵急にいくか。じりじり上がるから見てろ、今。ええ。おめぇのは肩ばっかりでやるから上がらねぇんだよ。わかったな。天秤肩へ当てたら腰をきって、それから……ぐぐぐぐg、いよっ、ぬぬぬn。よいしょ!」
ト、おばさん駆け寄って後ろ籠を押し上げる。
おじさん「どうだ? う~、後ろだけ上がったろ?」
徳「おばさんが持ち上げたんだ」
おじさん「余計なことするなよ、ばばあ」
ト、あきらめて天秤を下ろす。
おじさん「まあ、どうも年を取っちゃあしょうがねぇや、しかたがねぇ、2つ3つ下ろして胴周り入れて行きな。担げるだけにしていきなよ、いいか、わかったな。ばあさん、手桶どかしてやれ、出入口邪魔っけだ。どぶ板踏むといけねぇよ、こっち踏むと向こう、ぺーっと上がるからな。気を付けて」
ト、おばさん足元の手桶などをどかしてやる。
おじさん「横ブレしちゃだめだ。天秤は横ブレ振るてぇと、だめだだめだ、担ぎにくいよ。真直ぐ……そうだそうだ。そう、その調子だ。しなうようにな。うん! うめうめうめうめ、その調子だ。儲けてこいよ!」
徳「へぇ」
ト、蚊の鳴くような声で返事をしてフラフラ出て行く。

③浅草広小路の場

浅草広小路の往来。油照りの午前中。中央に浅草寺雷門の遠見。たすき掛けに手拭いをかぶった女子どもが打ち水をしている。ねじり鉢巻姿の職人衆や粋な刺青を入れた駕籠かき、物売りたちが威勢良く行き交う。
豆腐売り「え~う~、え~う~」
卵売り「た~まご~、た~まご~。まめや、えだまめ~」

吾妻橋方向から徳が唐茄子を担いで汗びっしょりになり、右の肩だけを赤く腫らしながらフラフラやってくる。往来中央で突然天秤棒を投げ出し、へたばる。
徳「……人殺し~!」
若者「わあ、たいへんだ!」
ト、倒れている徳のもとへ駆けつける。
若者「若ぇ衆さん、どこだい? 人殺しは」
徳「あそこでござんす」
若者「あ?……あれぁ、唐茄子じゃねぇか!」
徳「あ、あいつが、人殺しで」
ト、籠いっぱいに積んだ唐茄子を指差す。
若者「唐茄子の人殺しってのはねぇやな~。どうしたんだい。長く唐茄子売っているやつとも見えねぇな、色がなまっちろいところを見ると。お店もんか?」
徳「…………」
ト、徳が息も切れ切れに言うことに耳を傾ける。
若者「横山町の? うん。大ぇ家の若旦那? そう~かい。道楽の末、カマになった? 親戚が、え? どこもかまってくれねぇ? 吾妻橋から身を投げようとしたところをおじさんに助け? 上手くおじさんに出くわしたもんだな~。権八して(居候すること)、懲らしめのために、唐茄子を売っている? そう~か、道楽して覚えがある。買ってやる、買ってやらぁ、え? いくらだ?」
徳「ありがとうございます。いくらでもよござんすから、みんな持って行ってください」
ト、泣きながら答える。
若者「みんな持って行かれやしねぇや。相場ってぇものあるよ。銭をやるよ。2つもらっていいか? え、損しやしねぇかい? 大丈夫か? よし。なら、おれ、この町内顔が広いんだ。2つ3つ口きいて売ってやらぁ。さ、汗吹きなよ、手拭い……なんだ、腰に手拭い持っているんじゃねぇか、おめぇ。汗拭くことを知らなきゃ、手拭いぶら下げたって、何にもなりゃしねぇよ。さ、扇子があらぁ。扇げ、扇げ。おい! 吉さん! 唐茄子買ってってくれよ!」
吉「……おめぇ、八百屋になったのか?」
たまたま通りかかった町人が驚いて足を止める。
若者「いや、おれじゃねぇんだよ。この若ぇのはな、しくじって、おじさんの家で懲らしめのために権八して唐茄子売っているってんだ。お互ぇに若ぇ内、バカして覚えがあらぁな。神奈川まで逃げたなぁ。はっはっはっは! あれだよぅ。すまねぇ、すまねぇ」
銭を置いて、去ろうとした吉を若者が呼び止める。
若者「いや、銭さえ置いていっちゃいけねぇんだい。軽くなんなきゃ、1日でも2日でも、こいつ歩けやしねぇもの。3つでもいいから、持って行ってやってくれ。あとはおれが仕切っちゃうから。すまねぇ、すまねぇ。ありがとよ」
そう頼まれて、素直に2つのカボチャを吉が抱えて行く。
若者「おう、お金さん。唐茄子買って行けよ! ……昨日買った? 昨日買ったっていいやな。おめぇんとこ、子どもがいるじゃねぇか。安倍川にして食わしてやんなよ。唐茄子の安倍川ってぇのは子どもは喜ぶよ。ありがとう、ありがとう。そうか。持って行ってくれ、3つでもいいから。持てるだけ持って行ってくれ。あとは銭は、おれが仕切るんだから。うん、あの、持って行ってくれよ。ありがと、ありがと。すまねぇな」
頼まれて、2つのカボチャを女性が重そうに抱えて行く。
若者「げんぼう! 唐茄子買って行けよ!」
げんぼう「おれぁ、唐茄子嫌ぇだ」
若者を避けて通り過ぎようとする。
若者「ちょっ、はっきりしやがった、また……。嫌ぇだけど、買って行ってくれよ!」
立ち止まり、Uターンして戻ってくる。
げんぼう「いやだよ。いい若ぇ者が日中、唐茄子持って歩けやしねぇやな。よいよい(現代では差別用語。古典なので気にしないで頂きたい)の稽古するんじゃねぇやな」
若者「よいよいの稽古するんじゃなくたって、唐茄子買って行ったっていいじゃねぇか」
げんぼう「おれ、嫌ぇなんだよ。唐茄子の皮を見るてぇと、えぼ蛙みたいにゾーッとするんだよ。食ったことがねぇんだからな。うん。日中、おれぁ、んなもの持って歩けやしねぇ。いやだよ」
若者「だけどさ、おめぇ、ものには義理って……」
げんぼう「義理たって、おれぁ唐茄子屋に義理はねぇもの」
ト、手拭いをのせてへたばったままの徳をチラッと見て、行こうとする。
若者「この野郎、いやな野郎だな。やい! 唐茄子屋に義理がなくたって、町内でおれが口をきいてんだぞ! おれの義理……」
げんぼう「わかった、わかったよ。おめぇには世話になったことあるよ。だけど、おれぁ、おめぇ、唐茄子嫌ぇなんだからね。銭さえやりゃあいいだろ、ね? おめぇ、いい若ぇ者が唐茄子持って歩けやしねぇ。さ、銭はやらぁ。唐茄子いらねぇよ」
ト、徳の足元に銭をパッと落として行こうとする。
若者「待て! 若ぇ衆さん、当たりゃしねぇだろ? 天下の通用金、あの野郎、放りやがったから、あん畜生叩きつけてやっから、勘弁しておくれよ」
ト、すごい剣幕でげんぼうに向かって銭を投げつける。げんぼう、足に当たって倒れる。
若者「銭が欲しかったら、こっちからくれてやらぁ! この野郎、唐茄子が嫌ぇだと抜かしたな! 3年前ぇにおれんとこの2階ぇに居候したこと忘れたか! てめぇ、唐茄子の安倍川38切れ食らったぞ、てめぇは! なにが旨ぇって、唐茄子は安倍川に限る、と抜かしやがった!」
げんぼう、起き上がり銭を拾い集めていたが、慌てて戻ってくる。
げんぼう「わかった、わかった。わかったよ。この人なかで、唐茄子の安倍川38切れはねぇ……」
若者「食ったろ!」
げんぼう「食った、食った。食ったよ。持って行きゃいいんだろ」
若者「持って帰れ!」
げんぼう「持って行くよ~。おめぇ、見ず知らずの人のそんな、おめぇ肩ぁ持って、友達とケンカ……」
若者「なにを!?」
げんぼう「いや、持って行くってんだよ。も、持って行くよ! 持って行けやしねぇじゃねぇか。おめぇ、もう~ホントにお節介だってありゃしねぇや、ホントに」
ト、ぶつぶつ言いながら籠から唐茄子を取り出す。
若者「あの野郎、いやな野郎だな。唐茄子は嫌ぇだ、滑った転んだ、抜かしやがって、持つ段になったら、ケツの方から大きいの選ってやがる。おまけに3つも抱えやがって、ヒョロヒョロしてやがらぁ。そんなに食えるか! よいよい」
げんぼう「へへ、まだ食わねぇ」
ト、改めて銭を渡し、一際大きな唐茄子を3つ抱えて帰って行く。
若者「なに言ってやんでぇ。畜生め!」
ト、自分の懐から銭を出して、持って行かせた分の代金を足して徳に渡してやる。
若者「さ、銭はこれだけだ。おい。足りなかったら、おれが足してやるぜ? いいか?」
徳、うんうん頷いて起き上がる。
若者「え、あの、暑さにやられちゃうてぇと、明日って日があるんだ。そうだろう? あと3つっか残ってねぇや。みんな持って来いってぇのは言葉の行きがかりだよ~。3つぐれぇ残したって、おじさん何とも言や~しねぇよ。陰じゃな、おじさん、涙こぼしているよ、おめぇのこと。おれ、目に見えるようだ。うん、わかっているよ。な、明日来な! 明日来なよ! な、いいか。明日来な!」
徳「ありがとうございます。ありがとうございます。どこのなんて方で? お名前を承りとうございます」
ト、泣きながら道端に手をついてたずねる。
若者「よせやい! 唐茄子売ってやったり名前聞かれて合うかい。この町内の若い者だよ。明日来いよ、明日!」
徳「ありがとうございます。これをご縁に、明日もここでぶっ倒れてます」
若者「毎日ぶっ倒れちゃいけねぇや! 暑さにやられねぇようにしなよ~!」
ト、若者は吾妻橋方向へ去る。
徳「ありがとうございます、ありがとうございます」
ト、3つだけ残った唐茄子の籠を天秤棒で担いで、振り返り振り返り吉原方向へ行く。

7 8
(現在の雷門通り。でも“広小路”のほうがご年配ジモティ―には馴染みあるらしい)

④吉原田んぼの場

正午近く、人通りの少ない吉原田んぼ。いくつかの萱葺き小屋の奥に吉原遊郭の遠見。

上手から、涙を拭きつつ徳が天秤棒を担いでやって来る。振り返り、ひとり言。
徳「ありがとうございます。ほんとうの江戸っ子だなぁ、お友達とケンカしてまで売ってくれた。あと3つっかない。3つくらい自分で売りたいな……今までのみんな、あの人が売ってくれたんだからな」
ト、天秤棒を右を左へかわして担ぎ直す。
徳「ああ、唐茄子…………。売り声ってのは難しいってがホントだな。…………ええ、かぼちゃ。…………え、かぼちゃ」
ところてん売り「……よせやい! おれの後ろから頭見てかぼちゃ、かぼちゃって。おれの頭がかぼちゃに似ているようじゃねぇか!」
徳「そうじゃないんですよ。かぼちゃがあなたの頭に似ている……」
ところてん売り「おんなしこっじゃねぇか! なに言ってやんでぇ! ところてんや~い、てんやぃ!」
ト、訝しそうな顔をしつつ、商売に戻る。
徳「うまいなぁ、商売人だ。ああいきゃいいんだな。ところてん!……、じゃないんだ、唐茄子なんだ。人がギョロギョロ顔見てしょうがないから、人の見ないとこ行こう」
ト、田んぼの真ん中までやって来る。
徳「ここならだ~れも見ていない。吉原田んぼだ。いくら大きな声出したってだいじょぶだ……その代わり、唐茄子は売れないや……。売り声覚えたら町に出りゃいいや。唐茄子屋でござい……あ、うまい、うまい。これだ。唐茄子屋、とうなす。唐茄子屋、と~な~~~す。長く引っ張りゃいんだな。と~……」
ト、田んぼの向こうの吉原遊郭の屋根を見つめ、天秤棒をおろす。
徳「吉原だ。今年のお正月まであすこの二階で芸者、太鼓持ちに取り巻かれて……あら、若旦那、随分だわ、よくってよ……なんか言われたのが、唐茄子売ろうとは思わなかったなぁ。ええ、……玉の輿、乗り損なってもクヨクヨするな、まさか味噌漉しゃ、下げさせぬ……ったが、大~きな籠を担いじゃって、碁石の足袋履いて。忘れもしないお正月の、5日だ。粉雪が降っていたな……帰るから、駕籠をそう言ってくれよ、っつったら。七草まで流すって言ったじゃないの? 急に思い立った用があるんだ、帰るんだよ。お正月早々帰る帰るって縁起でもないよ、そんなに帰りたきゃ、帰れ! かえらなくてよ! ……って廊下へ飛び出すてぇと隣りの部屋に居たのは崋山、年増だけども、江戸っ子だったな~」

都々逸〽つねりゃ紫 食いつきゃ紅よ 色で仕上げたこの身体

崋山「あら、若旦那。痴話げんか? いい加減にしておくれよ。隣には独り者がいるんだよ。あたしが仲人(仲裁人のこと)になるから、仲直りして」
徳「うん、おめぇにまかせらぁ。扱いするよ」
崋山「ありがとう。うちへ来てよ」
ト、二人揃って部屋へ入る。
崋山「なんかあったかいもの取りましょうか?」
徳「寄せ鍋がいいな」
崋山「ありがとう」
ト、寄せ鍋をつつき、酌などしながら飲み交わす。
崋山「若旦那、あたし、酔ったわ」
ト、真っ赤な顔で徳に寄りかかる。
徳「おれも酔っ払っちゃった。三味線持って来いよ」
崋山「ありがとう。なんか唄って聞かせてくれるの? なあに?」
徳「小簾の戸、やろうか?」
崋山「上方唄、だいっすきなの!」

小唄「小簾の戸」〽浮草は思案のほかの誘ふ水 恋が浮世か 浮世が恋か ちょっと聞きたい松の風 問えど答えず山不如帰 月夜はものの やるせなき
癪に嬉しき男の力 じっと手に手をなんにも言わず 二人して吊る 蚊帳の紐

ト、徳が文句を畳んでゆくに合わせて、崋山がうっとりする。「蚊帳の紐」まで来るとくわえていた黒文字(楊枝のこと)を奥歯でバリバリと噛み砕く。
崋山「ほんっとうにおつなノドだよ。素人にしておくには惜しいよっ」
ト、徳に抱きつく。

昼九ッの刻の鐘。ここで、思い出から目覚めた徳が吉原田んぼの前で、相変わらずひとりで立っていることに気付く。
徳「唐茄子屋、とうな~~~~す!」
ト、板についた呼び声で天秤棒を担いで下手へ去る。

9 10
(現在の吉原田んぼ。マンションが立ち並んでいた。ホテルと飛行機雲)

⑤浅草誓願寺店(せいがんじだな)の場

午後遅く。いかにも寂れた風情の貧乏長屋が連なる誓願寺店。ぶかぶかの着物を着た裸足の子どもがひとりで遊んでいる。手前に墓と石塀。玄関先に枯れた植木鉢。不恰好に干された洗濯物。

上手から唐茄子を担いだ徳がやって来る。
徳「唐茄子屋、とうな~~~す! 唐茄子屋、とうな~~~す……はあ、おじさんが言った裏通り裏通りをちゃんと歩いているけど、なかなか売れないもんだなぁ。それに腹ペコだなぁ。そうだ、そうだ、おばさんが用意してくれたお弁当食べたらいいんだ」
ト、長屋をキョロキョロ見る。
徳「このお弁当……、雅なとこで食わねぇでって言っていたからなぁ。雅じゃないとこ、雅じゃないとこ、あはれっぽいとこ、あわれっぽいとこ、貧乏くさいとこ、貧乏くさいとこ…………あ、ここだ、な!」
ト、貧乏長屋の中でも最もうらぶれた家屋を指差し、入口の前に籠をおろす。
徳「すいません、唐茄子屋です。お弁当使わしてくださ……」
ト、遠慮なくボロボロの表戸を開けてから、ハッとする。家屋の中では梁に縄を吊って、女性が今まさに首を括るところだった。
徳「あ、あたし、間違えちゃった。おじさんは唐茄子買ってくれたら、って言っていたんだった、……わあ!」
ト、一度表戸を出てから、改めて大慌てで内へ駆け込んで身体を抱きかかえる。
徳「お待ちください、お待ちください!」
ト、徳の大声を聞きつけて、表でひとり遊んでいた子どもも駆け込んで来る。
子ども「おっかさん!」
ト、徳と子どもが力を合わせて母親をかび臭い畳へようようおろす。子どもが割れた茶碗に汲んだ水を飲ませてやる。
徳「あ~、あぶない、あぶない。もう一息で死ぬところでしたよ……」
母親「助けると思って殺してください!」
徳「あれ、どっかで聞いたような何だな……いえ、助けたり殺したりできませんよ。え~っと、訳を! 訳をお話ししてみてください。それで、なるほどっとあたしが合点したら、新規で首を絞めてあげます……あたし、そんなことしなくちゃいけないのかしら。あ~、たいへんなこと言っちゃったな」
ト、母親が涙を落としながら、蚊の鳴くような声で訳を話し始める。
徳「……え? ご主人が急に亡くなって、家主に借金がある? え? 明日までにちょっとでも返さないと、この長屋を追い出されるかもしれない? そりゃ~、いけませんね。え? あなた、3日前から病に臥せって、お子さんに2日間なにも食べさせてあげてない? あ~、たいへんだ……このまま母子で飢え死にするくらいなら、いっそ一思いに? え? お子さんを養子にもらいたいって遠いご親戚が?……あ~、でも何回連れて行ってもあなたの元へひとりで戻って来てしまう?…………ああ、あの、あたし。あたしね、唐茄子屋なんです、今ちょうど、売れ残りのかぼちゃを表に置かせてもらっているんです。すぐ、すぐ持って来ましょう」
ト、大急ぎで表に置きっぱなしの籠を土間へ運び込む。
徳「これ、これです。3つ売れ残りなんで、これを食べて下さったら、あたしも助かります。もう~重たくって重たくって、かぼちゃに殺されるところでしたから」
ト、徳が大きなかぼちゃを土間に並べると、母子が顔を見合わせて微笑む。
徳「あ、まだ、あります! これも重たくって重たくってしかたなかったので、綺麗に平らげてくださったら、あたし、助かりますんです」
ト、竹衣の弁当も出してやる。母親、丁重に断ろうとする。一方、子ども、よだれを垂らして見つめているので徳が広げて食べさしてやる。母親、手をついて礼を言う。徳、空きっ腹を隠れて押さえる。
徳「それに、そう。それに、まだ、あるんですよ。重たくって、重たくってしかたなかったんです。この、おあし。少ないですけど、これでなにか買って下さいまし」
ト、唐茄子の売り上げを鬱金の財布からぜんぶ取り出して、渡そうとする。母親、とんでもないといった様子で断ろうとする。
徳「いいんです、いいんです。重たくって困っていたんですから、受け取ってください、受け取ってください。もし、よかったら、代わりにこの縄をくださいまし。ちょうど、こんな縄を探していたんです。ね、交換にしましょう。あたし、明日も来ます。明日も来ます。明日も来ますから!」
ト、徳が拝むように頭を下げると、母親も頭を下げる。弁当を食い終わった子どもも、負けじと畳に手をついて礼を言う。
母親「ありがとうございます、ありがとうございます。どちらのなんて方でございますか?」
子ども「ありがとうございます、ありがとうございます。なんて方でごじゃいますか?」
徳、ひとしきり挨拶を澄ますと母親が括れようとした縄と空になった籠を担いで長屋を出る。母子、表まで出て拝むようにしてその背中を見送る。
徳、一度だけ振り返り、軽やかな足取りで家路を辿る。

暮六ッの刻の鐘。夕暮れ。本人の身体が見えないくらい虫籠を積んだ虫売りとすれ違う。松虫、鈴虫、カミキリなど、哀愁のある虫の声。

金馬「初めて自分で儲けたお金の楽しみに、商売が面白くなります。誓願寺店へかかりまして、あはれな親子に売り上げのお金から唐茄子をそっくりやって、おじさんにその訳言って誉められます。末に巨万の富をつくるという、唐茄子屋というお話でございますが、お時間でございます」幕。

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(誓願寺はすでに無いので、写真は南となりの東本願寺の高塀。誓願寺内にあった八幡神社だけは再建されていた。手前には曖昧茶屋てきラブホが林立。名前が秀逸)

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(再建された八幡神社の境内に金魚甕が置かれていた。張り紙は「エサを入れないでください」)

※落語CD出典でセリフ以外は確認できないため、作者がちょう勝手にト書きを加えております。
※「達磨横丁」が現在どのあたりか不明だったため、こちらのサイトを参考にさせて頂きました。ありがとうございました。⇒落語の舞台を歩く

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(西浅草路地の細さもらぶ♡)

2013年3月 9日 (土)

ごはんは文房具です

あ。1ばばあがすずめのしたをきったよ。


(安野光雅著『きりがみ昔咄―舌切雀』より)




おとぎ話の「舌切り雀」では、スズメという弱者の存在を主軸とし、心優しいじいさんと、心浅ましいばあさんの対比を原動力にシーソーのように物語が展開される。「つづら」という当時は身近であったアイテムをキーポイントとして挿み現実味を印象付けつつ、欲深なばあさんを恐怖に追い込んで、めでたいんだか、めでたくないんだか、判然としないまま結末を迎える。そうやって数多くの疑問を残すことで聴き手の興味をひきつけ、論理的思考を促す作用を狙っていたのかもしれない云々。

試しにインテリ気取って説明してみたけど、ほんとうに気になる疑問は「え、スズメ。糊なんか食べるの?」という1点だ。
小判とかつづらとか、ばばあとか、どうでもいい。


ごはんは文房具だった

疑問をもったので当時ちびっこだった作者はもちろん大人たちに訊ねた。
ちびっこ作者「スズメって糊、食べるの?」
おとな「食べない」
なんとも消化不良な答えだ。糊の容器には「たべられません」ってでかでかと書いてあるしさ。スズメ死んじゃうんじゃない? 意味わかんねぇ。大人って偉そうなわりにショボいぜ。
こういうことを積み重ね、その後ちびっこ作者は大人たちから“問題のある子ども”としてマークされるようになった。ちびっこの疑問にはきちんと答えるべきだとおもうの。

で、大人たちがちょうショボいので自分で調べました。古典落語のなかに答えを見つけたよ。

「おまんまがあったら、ひとかたけ貸してくれないか―」
「―あしたまで置きゃあね、臭くなっちゃう。糊になっちゃうんだからね」
(三代目三遊亭金馬『堪忍袋』より)


そうか! 古くなったごはんをそのまま糊にしていたのか! でんぷんベタベタだもんね! 100%白米と水で作った糊ならスズメが食べても食中毒を起こさないね! やったね!

※ちなみに作者はご存じなかったけど、「そんなの常識だろ」という方は以下読む必要ありません。

ちびっこ作者の思い描いていた“糊”とは、成分がちがうってことがわかってひとり納得。

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ちびっこ作者の思い描いていた糊             後頭部に凸部を切り取ると貯金箱になる、と書いてある

最近この糊の容器にミルクプリン詰めて売り出されて話題になっているらしい。そりゃ食べちゃうね。

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舌切り雀がなめたであろう糊

↑コレ。先ごろ、炊いたご飯をうっかり置きっぱなしにしてダメに(臭い!)してしまったので、それを水煮しました。たぶんもっと潰したほうがいい。
これ、ほんとうに接着力あるのかしら。

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ミルキーな色紙をご用意しました

糊をたくさん使う作業と言えば、ちぎり絵だ! というわけで色紙を多数ご用意。

指先がガサガサになったけど、できた。

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なにを模ったのか、わかった人は手を挙げてー!             くにゃっくにゃだ

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比較のためフエキノリでもやってみた(※ミルクプリンではありません)

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なにを模ったのか、わかった人は手を挙げてー!            こちらもウネウネだ

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正解:葛飾北斎の富嶽三十六景『凱風快晴』1830年代の名作

北斎先輩が生きていた頃はごはんを糊にしていただろうけど、一体いつ頃まで、臭くなったごはん=糊、で生活していたのか。電気通って冷蔵庫できるくらいまでかな? それとも化学薬品出回ったころかな?
明治時代に東京市中では一般家庭でもときどき停電しつつ、通電していたという噂だ。
一方、東京の辺境・町田市南部では大正8年(1919年)に電気が通ったという記録がある。
……通った、というより通した。まず電線電柱は自費で用意、設置の際には労役があり、相武電力という小さな水力発電の会社だったので社債を買わなければならず、しかも夕方から朝までの送電だったとか。おおごとだな。

そんなことを考えあわせると20世紀までは、このくにゃっくにゃになるごはん糊、広く使われていただろう。たぶん。
※くにゃっくにゃになったのは作者に水分調節の腕がないせいかもしれない。

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20世紀のごはん糊⇒21世紀フエキノリまでタイムワープ! ……人類は進歩した? 見た目は微妙だが、どちらも接着力は充分だ。


ごはんは糊付けだった

また、前出の安野光雅著『きりがみ昔咄―舌切雀』には、こんな場面が描かれている。

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着物を糊付けするために、ごはん糊を軒先に出していたらしい

そうか、ごはん糊でお着物の糊付けを……!!

というわけで、ごはん糊 vs スプレー糊 による糊付け対決です。

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冷えて再び固くなってきたので、刷毛でつぶす           対して一般的な糊付け用スプレー

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クシャックシャTシャツ                              もう一枚のクシャックシャTシャツ

ちなみに作者はTシャツをクシャックシャで着るものだとおもっていたので、今回人生ではじめてアイロンかけ&糊付けしました。ふだんから糊付けまでしているひと多いのかな。みんな、えらいな。

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刷毛でペタペタ                                スプレーでシュシュッ

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アイロンでシュコーっとな                             こちらもシュワーっとな

そして! 糊付け完了だ!

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こっちが20世紀まで大活躍していた、ごはん糊           こっちは今現在活躍ちゅうのスプレー糊


Photo
20世紀糊付け⇒21世紀糊付けへのタイムワープGIF

……どうだろうか。糊付けの効果というより、アイロンかけてキレイなったな。やったね! という感じ。見た目、差がわからない。びみょう。いちおう、ハリは出たかもしれない。


ごはんはお手紙だった

そんな人生初のTシャツ糊付けをしていたところ、郵便物が届いた。

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ASAKUSAの消印だ! (アニメ切手であることは気にしないで頂きたい)   なんと! 二代目河竹新七さんから……!

二代目河竹新七=黙阿弥じいちゃん
1816年~1893年。いまでも上演され続けている『弁天小僧』『三人吉三』『十六夜清心』などを書いたちょう人気歌舞伎作者。天保の改革により江戸三座の移転および芝居関係者に対し猿若町への囲い込みを命じられたため、当時郊外(!)であった浅草寺子院正智院境内に新七さんも転居し以後40年ほどその地に暮らして仕事をしたので、みんなからは「地内の師匠」と呼ばれていたそうだ。「黙阿弥」は隠棲する時に名乗った洒落た(?)お名前。すてき。

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江戸~明治時代なので封はもちろん、ごはん糊!  平成2年に建てられた黙阿弥住居碑は浅草仲見世の1本裏通りにあります

郵便局の手を経てもしっかり封印されていますな。ごはん糊。えらい。

ところで、ウソを吐きました。

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しっかり自分で投函しました                  浅草でスカイツリーと観光客を眺めながら

文書偽造の現場を公開。

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20世紀ごはん糊による封印                  こちらは21世紀テープ糊による封印

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くにゃっくにゃだね                             こんなに均一に薄く塗れて21世紀ってすごいね

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21世紀テープ糊のスキのなさ……! 美麗!

中身は内緒。

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ところで浅草寺境内にある9代目市川團十郎に12世團十郎への献花がされていた(この『暫』像は12代目が襲名した時に再建されたもの)

まとめ;ごはん糊の接着力は21世紀のいまでもなんら問題ない。ごはんはいまでも自信を持って文房具です! ただし、どんどん臭くなるという欠点がある。21世紀糊の安定剤投入は鼻ストレスの軽減に貢献している。
そして自分にはちぎり絵の才能がない、ということがわかった。

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舌切りばばあになれず!

2012年7月17日 (火)

浅草の四万六千日さま

7月9日、10日の東京・浅草寺の四万六千日(しまんろくせんにち)さまへ行ってきました。

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ごちゃー

この日(ほんとは7月10日だけ)にお参りすると四万六千日ぶんのご利益があるという、年に一度の縁日。
ふだんから神信心なおじいさんおばあさんと観光客で大人気の浅草観音が輪をかけてごちゃー、とする日。
落語「船徳」に登場する船宿のおかみさんに「今日は四万六千日さま、もうたいぃへんな人出で」というセリフもある。江戸時代には浅草を行き帰りする舟で隅田川が渋滞したとか、しないとか。

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雷門の大提灯は裏側がカッコイイ

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本堂はさらにごちゃー

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境内のほおづき市(1鉢2500円)もごちゃー

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ふだんは比較的しずかな奥山までチョコバナナとたこ焼きと綿菓子と人と人と人でごちゃー


どういう由来でこの日が縁日なんだ、とか、なんでほおづきが縁起物なんだ、とか聞くのは野暮です。ぼんやりとした由来はあるけど。
それは、花屋にとっての母の日とカーネーション、チョコレートメーカーにとってのバレンタインデイとチョコ、みたいなもんだ。聞くだけ野暮だ。べらんめぇ。


そういうわけで江戸東京・夏の三大風物詩(①愛宕の千日詣り ②入谷の朝顔まつり)を制覇しました。
なんか他にも色々ある気がするけど、とりあえず3つ制覇しました。

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制覇の記念に四万六千日さま限定アイテム・雷除(かみなりよけ)を買ってみました。500円也。頭上より高いところに置くものだという、避雷針。昔は2階以上の建物がなかったので落雷による事故も多かったらしい。

今後、四万六千日のあいだ作者は災厄と無縁だ! 無敵!

2012年5月 7日 (月)

「ボストン美術館 日本美術の至宝」@東京国立博物館

「ボストン美術館 日本美術の至宝」を観に上野・東京国立博物館へ行ってきました。

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本館(特別展は平成館で開催)が立派                       内部も立派

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古いけどやっぱり立派

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このひとは複製

特別展のチケットでも入れる本館の総合展「日本美術の流れ」が地味によかったです。
土器~仏像~国宝平治物語絵巻~茶碗~鎧~屏風~能面~浮世絵~小袖~根付をぐるぐる~と廻って楽しめます。
「葵紋蒔絵野弁当」のプレートに「picnic set」と英訳されていたり、季節感のある藤の花や端午の節句を描いた浮世絵が並べられていました。収蔵品がたくさんあるってこういう贅沢なことなんだ! とひとりでコーフン。総合展だけで1日いられます。

平成館の特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」は予想通り混雑していましたが、動く歩道にでも乗っているかのようなスピードでみなさん一様に進むのでとくに問題なく観ることができました。こちらは派手やかです。もうちょっと保存状態がいいことを期待していたのですが、これ全国巡回してだいじょうぶなんだろか。

それからみなさん小奇麗なかっこうをしていらっしゃる。作者は自分がデフォルトで小汚いかっこうをしているので、おんなじような小汚い方(しつれい)をさがしましたが、見当たりませんね。むねん。
気候のせいかもですが、ワンピース&襟シャツ率たけかったです。

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限定ガチャガチャ でも作者の好きな十雪図屏風アイテムはなかった……地味だからか

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「車窓から虹がみえます」という電車内アナウンスを聞いた
過剰サービスだとおもったが車掌の人の良さは伝わってきたのでいちおう見た

2011年9月17日 (土)

半七塚をさがしてみた

岡本綺堂翁の「半七捕物帳」がすきです。
(参照※愛宕の千日詣り あしたの七夕は晴れるらしい

ずいぶん以前に読んだ「文藝別冊岡本綺堂」という河出書房のムック本に
「半七塚」なるものが浅草寺付近にある旨が載っていた(まさか本が違うかもしれぬ)。

それには「半七事件地図」なるものまで掲載されていて(製作者は沢淑男氏のようだ)
江戸名所図会をベースに69以上におよぶ各事件のフラグが(重複あり)立ててあった。

翁は本気であいされているな~、とおもったものです。

そんでもって何度か東京・浅草寺に行った時にさがしたのですが
……ない。いやいや、ないわけがない。えーっと見つからない……

ずっと気になっていたので、改めて「半七塚」をさがしてみました。
こんどはちゃんと。ご利用は計画的に。

半七塚への道

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まずは地下鉄銀座線浅草駅出口の階段上を鑑賞する いい仕事してますな

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観光客と人力車の車夫でごった返す雷門前

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仲見世通り 作者もがんばっております

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五重塔を左折する

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「鳩ポッポの歌碑」このあたりから石碑群が増加

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お、なにやらあやしい看板が……

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江戸時代に「奥山」と呼ばれ大道芸人や見世物小屋がさかんに……云々

おー「奥山」!
「半七捕物帳」の「幽霊の観世物」という事件で、お半という女隠居について
「……まず観音に参詣して、そこらで午飯でも食って、奥山のあたりでも遊びあるいて、それから仁王門そばの観世物小屋へ入り込んだのであろう」
という一文があります。

おー!ここ「奥山」で「遊びあるいて」いたのね。
「半七」の匂いがプンプンしてきました。

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あれかなあれかな…… 「半七塚」キター!!

というわけで、やっと(いつから見つけられなかったか忘れるぐらい、やっと)見つけました。
そうか、戸田茂睡の墓所の脇にあったのか……だれだか存じ上げないが(歌人らしい)
そして裏側には捕物作家クラブの文が!

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草木が繁茂しております

改めて!裏面には捕物作家クラブの文が!

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かろうじて「岡本綺堂先生」の文字が読める

碑文……碑文が……よめない。
えっと……署名!作家クラブのそうそうたる顔ぶれの署名は!

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かろうじて「野村胡堂」が読める 「銭形平次捕物控」の作者 この碑文を書いたひと

風雨にさらされて?みんなになでられて?彫り目がのっぺりしてしまっている。なにがなにやら。
いやいや、なでられないだろう。
この時、周囲には気功らしきことをやっている数名しかおらなんだ。浅草寺境内でもとみに静かな一角ですよ。なにしろ気功ができるくらい。
(ただ、花やしきの方から「きゃー!!」という絶叫はこだまする)
いま検索してみたところ、「半七は生きてゐる」というサイトによれば
2000年ころにはすでに「判読できない」箇所があったようです。
そうか……捕り損じちゃあ事こわしです。お察しください。(半七調)

馬道へむかう

いちおう満足したところで「馬道」にも出向くことにする。
「馬道」は半七の子分である庄太の住まいのあるところです。
ふん、ふ~ん、ふん、ふ~んん、と鼻唄まじりに浅草寺境内を北進したところ

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「劇聖」と讃えられし九代目市川團十郎の銅像(再建)とご対面

おー九代目がにらんでおられる。
ちなみに岡本綺堂翁による「三浦老人昔話」のなかに名前もそのまま
「権十郎の芝居」という作品があります。
 
河原崎権十郎とは、九代目を襲名する以前、だいぶ若い頃の芸名です。

「河原崎権十郎は後に日本一の名優市川團十郎になりました」

作品中での一文です。九代目は明治30年代になくなっているので
明治5年生まれの綺堂翁が30歳頃のことかと思われます。
でもって、この作品が書かれたのが大正の終わりごろかな。

新歌舞伎の劇作家ではあっても役者さんと個人的な交遊はなかったと言われる綺堂翁。
根っからの芝居好きで、筋を通す性質だったという翁が「日本一」と言うなら
きっと「日本一」。

さらに北進して病院の裏手、言問通りへ出る。

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馬道の交差点

ありましたよっ!庄太は!庄太はいないのかっ!(錯乱)

せっかくなので「馬道通り」をうろうろして
「あま酒売」に登場する「馬道の河内屋という質屋」をさがす。

ないかな、ないかな……いや、ないだろ。

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ビルケンシュトックのリペアハウス!?

おービルケンシュトックを発見しました。⇒BIRKENSTOCK公式サイト
えーなぜならこの日
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作者の足元

ビルケン先輩のサンダルを履いておりました。
おーリンクリンク♪

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そこらじゅうに履物・皮革かんけいの会社が……&古びた外階段がカッコイイ写真

そうか!ここは江戸時代から続くという「浅草花川戸の履物問屋街」だ!
おー江戸時代江戸時代。半七半七。リンクリンク。

ちなみに「花川戸皮革産業資料館」という粋な資料館があるらしいのだが
この日は発見できず。

隅田川沿いをてくてく

せっかくなので大川沿い(隅田川の吾妻橋より下流)を歩くことにする。
半七も子分と歩いたことがあったはずだ。
てくてくてくてく……あれ、ここは吾妻橋より上流では?言問橋?……ま、いいか。
てくてくてくてく。区立隅田公園ふきんは絶賛工事ちゅうでした。

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スカイツリー どーん

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足下がぷかぷかする言問橋下の浮き橋?

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金色に輝くアサヒビール本社とゴトゴト橋を渡る東武伊勢崎線

さて、満喫したし撤収するかな。とおもってから閃きました。
浅草寺の観音様にお詣りしていない!よこを素通りしてしまった!あわわわわ……
だ、だいじょうぶなのか?(ぶるぶる)
こうして再訪が決定しました。

2011年9月10日 (土)

シャボン玉の似合う風景:上野公園編

以前、勢いで買ったシャボン玉液がまだまだ残っていたので
とりあえず、持って出かけることにした。

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3本使った……でもあと2本も残っている。どうしよう。

「シャボン玉と言えば公園だろう」
と安直に結論をだして、上野公園へGO!


上野公園へ潜入する

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コチラ側から見ると相当なレトロぶりの上野駅

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パンダ・西郷どん・パンダの3ピースバンド


①国立西洋美術館でシャボン玉

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ビフォー⇒

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アフター 人通りはMAX でも凄ーく避けられました……

国立西洋美術館は本館がル・コルビジェの設計(1959年)
新館が前川國男による設計(1979年)
という豪華極まりない(建築ファンにとっては)建物。世界遺産に認定したいらしい。
入口にはロダンの「考える人」と「地獄門」もいるよ。

吹いてみてわかったのは、けっこう手とレンズが汚れる。
あと風向きでシャボン玉があさっての方角へ行ってしまう……


②東京文化会館でシャボン玉

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ビフォー⇒

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アフター 風向きと人通りに配慮して建物の裏手をチョイス

コチラも前川國男設計、1961年4月OPENの歴史的建物。

どうもうまいこと幻想的?牧歌的?メルフェン?な画が撮れない……
どうしよう。

よし!ここはやっぱり噴水池だろう……とテクテク歩いていくと

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!!!

池、なかった……東京都美術館ともども平成24年4月まで工事中のようだ。
噴水にシャボン玉を吹いてキラキラさせたかったのに……むねん。

気を取り直して後ろを振り返る。


③東京国立博物館でシャボン玉

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ビフォー⇒

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アフター あ、トラックが……

1872年開館の日本初の博物館。愛称は「トーハク」らしいが
そう呼んでいる人を見たことはない。というか知らなかった……


④東京都恩賜上野動物園でシャボン玉

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ビフォー⇒

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アフター 空へと舞いあがるシャボンの群れ

1882年開園のコチラも歴史ある動物園。

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あ、あれ……?

団体ツアー客&添乗員によって突然ゆく手をふさがれる。
数による圧力……撮影続行不可。


⑤時忘れじの塔でシャボン玉

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ビフォー⇒

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アフター すこしばかり牧歌的になったような気もしないでもない

「故・林家三平師匠の未亡人、海老名香葉子さんが建立した東京大空襲を忘れないための母子像」とパンフレットには書いてある。
そうだったのか……

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スカイツリーと手前は東京メトロ本社屋

ふと見上げると上野公園内から634(むさし)ことスカイツリーが見えた。
634mってホントにスゴイんだな……


⑥西郷隆盛銅像でシャボン玉

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ビフォー⇒

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アフター おー 西郷どんがシャボンの中に!!

西郷どんの像は高村光雲作で有名。
あと資料がなくて顔の造形はテキトーらしい。


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風がつよい

そんな感じで西郷どんを撮影をしていたところ、斜め後ろあたりから
「カメラマンもどき(笑)」という冷笑が聞こえてきた。
見れば若い人が作者に対し言い捨てて、去ってゆくところであった。

!!!もどき?もどき、とな!!!

カメラマンを1㎜も装っていないのに!もどき、とは!?これ如何に!!!
う~う~(抗議の遠吠え)こんなモヤシなカメラマンいねぇ!

もどきじゃない……
チキン・ハートが折れ、テンションが深海8000m付近まで沈んだので、即時撤収。

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いまハトになりたい気分……

2011年9月 3日 (土)

台東区立一葉記念館

樋口一葉の「わかれ道」がすきです。
(文庫本にして10頁の超短編。仕事屋お京と傘屋の吉、ほぼ会話のみで上中下構成)

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五千円札のこの人


学校で「たけくらべ」だったかを教えられたときには「ケッ」ぐらいに思っていましたが
一葉が岡本綺堂翁と同じ年(明治5年=西暦1872年一葉は新暦5月、綺堂は新暦11月生まれ)であることを知ってから、もう一度読んでみると……

いいね!(ポチッとな!) 注※作者は単純な人間です

やっぱり読書は順番が大事だと思いました。
ちなみに1998年12月に蜷川幸雄・演出で「にごり江」が帝国劇場で上演されたことがあるそうです。
「にごりえ」プラス「たけくらべ」「十三夜」「わかれ道」を見事にMIX!!したお芝居。
「にごりえ」主役「りき」は浅丘ルリ子さん。おー。
「分かれ道」主役「お京」は加賀まりこさん。おおー。相当豪華メンバーであったらしい。
加賀さまのお京、観たかったなー。


そんなわけで、台東区立一葉記念館へ行ってきた。⇒一葉記念館

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東京メトロ日比谷線三ノ輪駅と町並み

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電車の中では樋口一葉を読み返してテンションを上げておく ※画像はイメージ図です

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自転車用と歩行者用でタイルが違う親切な街 格子がキレイなこの建物は……? 

ウロウロしつつ10分くらいで記念館を発見!!(気付くのがおそい。にぶい)

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柳が揺れている 入場券の方がいい写真のような……

一般300円です。やっぱり区立だからか建物が立派だ。
昨年閉館してしまった文京区の立原道造記念館をさみしく思い出す⇒立原道造記念会

二階が原稿・手紙などの資料。
三階は物語をもとにした模型とか風俗資料。

意外に少ない執筆資料……やっぱり残っていないのかー
「複製」が多いのは展示による経年変化を嫌ってのことなのか
どなたかが個人所有しているのか、聞き忘れました。

新五千円札の「0002」番も展示されていました。
「0001」番は造幣局が所蔵しているとのこと。ほー

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休憩室がいい感じです 窓の向こうは一葉記念公園の柳

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一葉のお顔を刻んだ「一葉飴」 悩んだ末に買わないことにする 食べるのはちょっと……

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記念スタンプにも失敗する 不器用にもほどがある

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わりとまともに押せた一枚 趣味のいいデザインのスタンプ

グッズが結構たくさんありました。関連資料も一階に集められていました。


吉原はけっこう広い
一葉記念館を出て、吉原大門(跡)を目指します。

三代目三遊亭金馬の古典落語「とうなす屋」の枕として色町の話が出てきます。
(※「とうなす屋」は吉原での道楽の末に勘当された若旦那が主人公です)

※参考まで。次の話が出てくるかどうかは不明。

「むかしは売春禁止法なんて、舌噛みそうなことのなかった時分に…」
で始まります。
「通い慣れたる土手八丁」⇒「ところが八丁行くと三ノ輪へ抜けてしまうんです…」
「衣紋つくろう衣紋坂、見返り柳」⇒「振り返ったって女の子なんて見えやしませんが…」

近世から続く身売買の町といえばそれまでですが、こういうリズムの良い洒落とか
都都逸とか三味線の音色とか、身上を崩してしまった若旦那とか
それに一葉の描いた「りき」や「美登利」の姿が見え、聞こえてきそうな気がし……
いや、幻聴ですね。

それにしても「八丁」ぜんぶが色町で石畳に五十軒の店だったとは!そらすげぇ。

というわけで、吉原へGO!

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「吉原」感のある看板がそこここにある いまの住所は台東区千束です

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「安全で安心な町 よしはら」と書かれた幟 逆にマジでコワい

けっこうウロウロしました。広い。柳もそこかしこに植えられている。
ここは一体どこなんだ……(台東区千束であることは間違いない)

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はっ! あれは……

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どーん よし原大門跡

やっとキター!
昔は木造屋根付き黒塗り門。一葉の生きていた明治期にはアーチ型鉄製門だったらしい。
いまや単なる柱か……(しばし感慨にふける)

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町のど真ん中に交番があるあたり どこかを思い出す

えー、蝶ネクタイをした兄ちゃん達がいっぱいいました。
思い出した「どこか」は新宿駅の歌舞伎町、渋谷駅の円山町、町田駅の原町田あたり。
でも歩道が狭いせいか、兄ちゃん達がすごく近い。親近感?
いえいえ、とくにふれあいもなく素通りしました。向こうも仕事中ですし。
ストリップ劇場があったら入ったのですが……⇒ストリップ劇場を断念する

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台風12号の影響下で荒れ狂う柳の枝

ついに!見返り柳を発見!!(時間にして記念館から20分くらい。迷い過ぎ?)
なにはともあれ、いえーいv
「たけくらべ」冒頭の「廻れば大門の見返り柳いと長けれど……」の「見返り柳」ですよ!

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見返り柳とスカイツリーの130年越しのコラボ かっけえー

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要約すると「移転および再建」とのこと

「樋口一葉もさぞ喜んで…」と思ったら、「見返り柳」の注意書きに
「移転および再建」と焼失した各地の天守閣みたいなことが書いてある……
そうだよな火事多かったもんな……何代目の柳なんだろか……

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吉原神社もありました

大事なことを忘れる
「満足満足」と思って撤収したあとで
「一葉旧居跡碑」と「千束神社」へ行き忘れたことに気付く。あれ。
……また行けばいいや。

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